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特集記事: 2008年1月31日 [ 「いい病院2008」 1月31日 掲載 ]

つらい痛みは我慢しない「慢性頭痛治療のすすめ」正しい診断と治療の重要性
 
鈴木則宏先生写真

【特別寄稿】

慶應義塾大学
医学部内科(神経内科) 教授

鈴木 則宏

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慢性頭痛に悩む人は現在、3000万人にも上ると推定されている。脳出血や脳腫瘍などのように生命を危うくする頭痛ではないものの、つらい痛みは確実にQOL(生活の質)を低下させ、さらには社会の生産性にも悪影響を及ぼしている。これに対して、最近では有効な治療薬が開発され、診療技術が進展してきた。

鎮痛剤が効かない頭痛 3人に1人程度が罹患

頭痛は一般的な症状名で、いろいろな種類があります。代表的なものに、生命を危険にさらすような「脳の病気(脳出血や脳腫瘍など)に伴う頭痛」と、日常生活を送る上で大きな障害となる「慢性頭痛」があります。頭痛全体の約80%は慢性頭痛です。

慢性頭痛は、X線検査や血液・脳波検査を行っても異常が見つかりません。このため、頭痛診療の専門家ではない医師が診ても正確な診断を下しにくく、鎮痛剤で様子を見たりしますが、痛み止めの薬が効かないのが慢性頭痛です。

日本の慢性頭痛の患者数は、北里大学医学部坂井文彦教授の調査によれば、約3000万人と推定されています。これは、3人に1人程度が罹患することを示唆しており、誰にとっても身近な疾患といえます。慢性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛があります。

  • 片頭痛(女性に多い) 脈打つ激しい痛み

    片頭痛は女性に多く、患者数は約800万人とみられます。たいていの場合、思春期から始まって閉経期まで続きます。痛む部位は頭の片側の場合が多いですが、両側のこともあります。

    症状は、脈打つような激しい痛みが数時間、ときには数日間続くこともあり、痛みがひどくなると寝込んでしまいます。片頭痛は嘔吐を伴うことが多く、光や音を負担に感じます(光・音過敏)。発作は突然頭痛が起きるタイプと、前兆を伴うタイプ(まぶしくなると同時に前方が見えにくくなり、その後頭痛が起きる)の2通りがあります。

    発症傾向としては、精神的ストレスから解放されてホッとしたときに起こりやすく、多くの場合は学校や会社が休みになる週末に発症します。原因は、脳内の血管が過剰収縮したり、過剰拡張して神経を刺激することなどが考えられますが、詳しいことはまだ解明されていません。

    治療には「トリプタン」という、血管を収縮させ、かつ神経伝達物質の働きを抑える薬が効果的です。1カ月に2回以上片頭痛が起きる患者さんには、別に予防薬が処方されます。

  • 緊張型頭痛(万人が罹患) つねに重苦しい痛み

    緊張型頭痛は、性や年齢を問わず広く万人に起こり、患者規模は2200~2300万人に達すると推定されています。症状は、頭がハチマキで絞めつけられているような重苦しい痛みです。原因は、精神的ストレス(勉強や仕事などの悩み)、および身体的ストレス(同じ姿勢でパソコンを長時間打ち続けるなど)です。

    悩みや無理な姿勢などで頸周囲の筋肉が収縮して(凝って)硬くなり、周囲の神経を圧迫する結果、発作が起こります。治療は、筋肉の緊張を取り除く筋弛緩剤や、神経系に作用する抗不安剤が用いられます。

  • 群発頭痛(男性が中心) 深夜に激烈な発作

    群発頭痛は、男性に非常に多いのが特徴ですが、数は少なく1万人未満と見られます。一定期間(1カ月半位)発作が続き、それを過ぎると2~3年は頭痛が起きません。このように、発作が起きる期間と起きない期間が交互に訪れます。

    症状は頭痛というより、「片側の目の奥をアイスピックでかき回されている」と形容されるほど激烈な痛みといわれます。睡眠中の深夜2~3時頃に発作が起きるのが特徴で、あまりの痛さに飛び起きてしまいます。痛い方の目は細くなり、瞳孔は小さくなります。同時に充血や涙、鼻水、鼻づまりなど、自律神経が変調を来たした状態が1~2時間ほど続きます。

    群発頭痛の原因はまだわかっていませんが、治療にはトリプタンが有効です。なお、発作の期間はお酒を飲むと頭痛が起きるので、アルコールは厳禁です。

確定診断に不可欠な「頭痛日記」の記録

頭痛の専門外来では、患者さんにキメ細かく問診を行いますが、話を聞くだけでは診断がつきにくいことがあります。こういうとき、確定診断に役立つのが「頭痛日記」です。これは「どれくらいの痛みが、何時に起きて、何時に消失したか」を記録するものです(縦軸に痛みの程度、横軸に時間)。月曜から日曜まで1週間単位で3週間記録して、平日に起きたのか、週末なのかを検討すれば、見つけにくい「片頭痛と緊張型頭痛の複合型」も診断できます。

慢性頭痛の自覚症状がある人は、我慢せずに頭痛外来を受診してみてください。受診時に頭痛がなくても、専門家からキチンと診断をつけてもらうことで、その後の生活はきっとラクになるはずです。

鈴木 則宏

慶應義塾大学医学部内科(神経内科) 教授

1977年慶應義塾大学医学部卒業。
81年同大大学院医学 研究科博士課程(内科学)修了、医学博士。
同年同大医学部内科助手、86年スウェーデン・ルンド大学留学後、
同大大学院医学研究科入学、89年修了、
同大から医学博士号授与。同年慶應義塾大学医学部内科助手に復職、
98年北里大学医学部内科講師、診療助教授、助教授、診療教授を経て、
2004年から現職。

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