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特集記事: 2008年2月19日 [ 週刊朝日 2008年2月29日号 掲載 ]

少ない痛みで歯を削らずに治療 ドリルを使わない虫歯治療

【監修】 医学ジャーナリスト牧野 賢治
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ドリルを使わない虫歯治療とは

現在の歯科医療では、虫歯部分を除去するために歯科用ドリルが用いられている。しかし、ドリルは患者を怖がらせるだけでなく、虫歯部分のみを選択的に削るのにはあまり適していない。そこで、近年こうした欠点をなくそうとドリルを極力使わないで済む治療方法が開発されつつある。その一つとして最近注目されているのが、カリソルブという薬剤を用いた化学的な方法だ。

カリソルブはスウェーデンで開発された薬剤で、低濃度の次亜塩素酸ナトリウムとアミノ酸を主成分とする混合溶液だ。臨床試験によって副作用やアレルギー反応などの悪影響を及ぼさないことは確認済み。歯科用材料として厚生労働省の承認も受けているので、安全性は保証されている。

カリソルブは、歯の健全な部分や歯髄に悪い影響を及ぼさずに、虫歯によって破壊された象牙質だけを溶かす効果がある。これを患部に塗布し、しばらく時間をかけて浸透させると虫歯部分だけが柔らかくなる。あとは、専用器具で虫歯部分を完全に除去し、開いた穴に詰め物をするだけでよい。

カリソルブの使用で歯科用ドリルの使用を減らすことができる。ドリルを使用しなければならない場合は、虫歯が薬剤の届かない箇所にできた時だ。歯の表面のエナメル質を削るなど最低限の使用で済む。ただし、カリソルブが有効なのは、エナメル質とその内側の象牙質に発生する比較的浅い虫歯に限られる。神経まで到達するような進行した虫歯には効果がないため、そうなる前に早めの受診が求められる。また、現在この治療には保険が適用されず、医療費は全額自己負担となる。費用は詰め物を含めて7000円から1万円程度。

負担の少ない快適な虫歯治療

カリソルブは歯科用ドリルの使用を抑えられるために、音や振動による患者の精神的な苦痛が少なく、薬剤塗布時や虫歯除去時の痛みもほとんどない。従って、虫歯治療を怖がる子どもなども抵抗なく治療が受けられる。また、麻酔も控えられるため、心臓病などの理由で麻酔が禁じられている方の治療にも適している。

さらに、虫歯部分のみを除去できるため、健全な部分を不必要に削る心配もない。歯の保全に効果的なほか、神経に近接している虫歯などでも、周囲の部分に影響を与えず治療できる。

従来の虫歯治療においては、虫歯の周囲も大きく削って再発を防ぐのが一般的だった。しかし、近年はミニマルインターベンション(最小限の侵襲)と呼ばれる、健康な歯を最大限に残す考え方が広まりつつある。カリソルブはそれを実現する治療方法だろう。

【文/鈴木 健太】

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