「メタボ健診元年」となる今年。健康維持のための適切な運動を行うために、スポーツドクターは欠かせない存在となっている。
スポーツドクターは、日本体育協会の公認スポーツドクターの理念によれば、「スポーツ活動を実践している人達の健康管理やスポーツ障害に対する予防、治療等の臨床活動を行うと共に、スポーツ医学の研究、教育、普及にあたる者」とされている。
しかし、近年では高齢化社会を迎え、中高年の健康増進と健康寿命の延伸が叫ばれてきている。その意味で適度なスポーツ身体運動は、メタボリックシンドロームや生活習慣病を予防し、体力の衰えを防止し、健康で豊かな老後を築く上でも重要な手段となってきている。スポーツドクターは、スポーツ選手に対して外傷・障害の診断、治療と予防の指導を行えるだけでなく、スポーツ身体運動が必要なあらゆる階層に対して、健康維持のための適切な運動処方を出す能力が問われるようになってきている。
さらなる活躍が期待される今後
日本のスポーツドクターには大きく分けて、前述の日本体育協会の公認スポーツドクターと、日本整形外科認定スポーツ医、日本医師会認定スポーツ医の3種類の組織があり、各々が資格認定のための講習会を開いている。
基礎講習は3者とも同じ21単位であり、日本整形外科認定スポーツ医には、その後、各論10単位が、日本体育協会の公認スポーツドクターには20単位の応用編の受講が義務づけられている。
最近では国会内でもスポーツ省設立の機運が高まりつつある。そこで、今後、医学の中でスポーツの担い手としてのスポーツドクターの重要性はますます高まるものと思われる。なお、現在はスポーツドクター専門の育成機関はないが、将来、スポーツドクターの専門医制度が確立されれば、スポーツドクターの研修病院なども整備されてくることと思われる。
福林 徹 (ふくばやし とおる)
日本体育協会スポーツ医・
科学専門委員会 委員長
早稲田大学スポーツ科学部 教授
昭和47年 東大医学部卒、整形外科
平成 8年 東京大学総合文化研究科 教授
平成16年 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授
膝関節および傷害予防を中心としたスポーツ医学の研究と教育
にあたる。
学会・スポーツ関係
日本臨床スポーツ医学会理事・次期会長
日体協国体委員会医事部会長
サッカーフランスワールドカップ代表チームドクター