治療と検査の最新医療情報トップページ がんに対する温熱療法特集 漢方専門医 バックナンバーはこちらから

特集記事: 2008年4月 8日 [ 週刊朝日 2008年4月18日号 掲載 ]

EMR(内視鏡的粘膜切除術)、ポリペクトミー 大腸がん・ポリープの内視鏡治療特集

佐竹 儀治先生写真

【取材協力】

田坂記念クリニック 院長

佐竹 儀治(さたけ よしはる)

***

男女ともに死亡率が増加している大腸がん

大腸がんは1960年代以降、肺がんと並んで死亡率が増加しているがんです。がんの部位別に見た死亡率は、男性では肺がん、胃がん、肝臓がんに続く第4位ですが、女性では第1位となっています(厚生労働省・平成18年人口動態統計)。特に女性の死亡率の高さはあまり知られていません。

大腸がんは腸壁への深達度により、早期がんと進行がんに分類できます。大腸の表面にある粘膜と、その下の粘膜下層に止まっているものが早期がん、さらにその下の固有筋層に到達したものや、それ以上に深く浸潤したものが進行がんです。

また、大腸に見られる他の病変の一つにポリープがあります。ポリープとは皮膚や粘膜の表面に生じる隆起した病変の総称で、大腸に発生するものの多くは腫瘍性です。腫瘍性のポリープは将来的にがん化する可能性があると考えられているため、良性悪性を問わず治療の対象になります。

開腹せずに大腸がんポリープを治療

粘膜や粘膜下層の浅い部分に生じたがんとポリープは内視鏡による治療が可能で、その際に用いられるのがポリペクトミーです。この手技では高周波スネアという内視鏡の先端から出すワイヤーを使用します。高周波電流を流すと高熱が発生するので、それを病変の根元にかけ、切除すると同時に血管を焼灼して止血します。

病変には隆起が低いものや、陥凹(かんおう)性の早期がんと呼ばれるような陥没したものもあります。そのままでは高周波スネアをかけることができないため、まず周囲に生理食塩水などを注射します。粘膜と筋肉の間に水が入ることで病変が浮かび上がるため、あとはポリペクトミー同様の手順で切除します。この手技をEMR(内視鏡的粘膜切除術)と呼びます。

(図)EMR(内視鏡的粘膜切除術)

このような内視鏡手術は開腹する手術に比べ低侵襲で、入院もほとんど必要ありません。ただ、病変を切除するので、腸の蠕動などで焼灼された箇所が剥がれ、出血を生じる場合もまれに起こります。そのため、手術後3日間は食事制限をし、自宅で安静にする必要があります。1週間位はスポーツや飲酒など、腸に負担をかける行為も控えなければなりません。また、アスピリンなどの抗血小板薬を飲んでいる方は手術の1週間前から中止する必要があります。

大腸がんの早期発見に不可欠な内視鏡検査

大腸がんは早期に発見できれば、ほぼ完治するため、定期的に検診を受けるのが望ましいといえます。大腸がんの検診で広く実施されているのは、便を見て血液の有無を調べる便潜血検査で、これだけでも臨床症状や自覚症状のないがんを発見できます。

ただ、早期がんは出血を伴わない場合が多く、便潜血検査で発見できるとは限りません。早期に発見するためには内視鏡検査が確実です。内視鏡検査というと、苦しい印象を受けるかもしれませんが、現在では内視鏡医の技術向上や、鎮静剤を静脈注射して浅い睡眠状態にするセデーション(意識下鎮静法)の併用などにより、苦痛を極力抑えられるようになりました。大腸がんの罹患率が高くなる中高年の方は、内視鏡手術による治療が可能な段階でがんを発見するためにも、内視鏡検査を定期的に受けるとよいでしょう。

佐竹 儀治(さたけ よしはる)

田坂記念クリニック 院長

昭和大学医学部客員教授。2000年より田坂記念クリニック院長に就任。胃・大腸の内視鏡による検査において、これまでに数多くのポリープ、がんの発見・治療を手がけている。

バックナンバーはこちら(医療新聞社サイトへ)

このコーナーの運営は、医療情報サイト「治療と検査の最新医療情報:全国病院・医院選び」(http://www.jmnn.jp)を運営する株式会社医療新聞社が行っています。

朝日新聞社は、このコーナーの運営、情報提供の内容、並びにこのコーナーの利用を通じて行われたお客様と各病医院の情報提供については、一切責任を負いません。

「治療と検査の最新医療情報:全国病院・医院選び」の各コーナーでは、株式会社医療新聞社が情報提供した医療機関情報を掲載しています。

株式会社医療新聞社は、サイト運営者として信頼性の高い情報を提供するよう努めていますが、各医療情報の内容について、保証するものではありません。本サイトご利用に際しては、利用者の皆様ご自身が、本サイト及び本サイトにおいて提供される情報やサービスのそれぞれの有用性等を判断し、ご自身の責任でご利用下さい。

「治療と検査の最新医療情報:全国病院・医院選び」の運営についての各種お問い合わせは、下記までお願いします。

株式会社医療新聞社
TEL 03-5337-2551