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特集記事: 2008年4月30日 [ 週刊朝日 2008年5月9日号 掲載 ]

より低侵襲で安全な手術への期待 体にやさしい腰椎手術特集

駒形 正志先生写真

【特別寄稿】

厚生中央病院 整形外科 脊椎部長

駒形 正志(こまがた まさし)

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腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の手術

腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症は腰椎(ようつい)の加齢変化のために神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、腰痛や下肢の痛み・しびれが出現する疾患です。休みながらしか歩けない間欠性跛行(はこう)が特徴です。現在手術される腰椎疾患の約70%がこの疾患で、椎間板ヘルニアの約20%を大きく上回っています。

手術療法は最も低侵襲な拡大開窓術が広く行われています(図1)。これは脊柱管が狭くなった場所だけ骨を削って、神経の通り道を広くする手術で、全身麻酔で通常2時間前後で終わります。手術の翌日から座って食事ができ、2~3日で歩くことができます。入院期間は3週間程度です。治療費は保険が適用されて、3割の自己負担分(20~30万円)が必要ですが、高額療養費制度により、通常6~7割が戻ってきます

拡大開窓術

腰椎椎間板ヘルニアの手術

(1)経皮的髄核摘出術(Percutaneous Nucleotomy: PN)

腰の皮膚を1cmほど切開し、金属の管を椎間板の中央まで入れて髄核を摘出する方法です(図2)。ヘルニアを摘出せず、椎間板の内圧を下げることで神経の圧迫の軽減を期待します。40歳以下の若い人が対象となりますが、再手術の方やヘルニアが脱出して移動したタイプには適応されません。局所麻酔で行うため、日帰りか数日の入院で済み、保険が適用されて最終的には数万円の自己負担で受けられます。効果については70%の人に何らかの改善があると報告されています。

経皮的髄核摘出術

(2)Love法

腰部の皮膚を5cmほど縦に切開して椎間板ヘルニアを切除する方法です。ヘルニアを直接切除して神経の圧迫を取り除くので下肢痛の改善が良く、古くから椎間板ヘルニアの標準的な手術方法として広く行われています。全身麻酔で行われ、良好な視野を得るために骨の一部を削る場合もあります。術後2~3日で歩行を開始し10日から2週間ほどで退院になります。

最近では従来のLove法よりも小さな手術創や、神経を愛護的に扱うことを目指して顕微鏡視下椎間板ヘルニア切除術(Micro Love法)も行われるようになってきました。いずれも保険が適用され、最終的には10万円以下の自己負担で手術を受けることができます。

(3)内視鏡椎間板切除術(MicroEndoscopic Discectomy: MED)

直径16mmの内視鏡を通して椎間板ヘルニアを切除する方法です(図3)。手術創が16~20mmと小さいことが特徴で、筋肉への侵襲や術後疼痛も少ないとされています。Love法と比較した多くの報告がありますが、下肢痛の改善はLove法と同程度に良好で、手術の翌日から歩行を開始し約1週間で退院になります。

また、保険が適用されますのでLove法と同じ程度の費用で受けられます。このようにメリットの多い方法ですが、デメリットとして手技に習熟を要することが挙げられます。そのため、現在MEDの専門医のもとでトレーニングを受けることが勧められており、多くの脊椎外科医が指導を受けています。

内視鏡椎間板切除術

駒形 正志(こまがた まさし)

厚生中央病院 整形外科 脊椎部長

1975年東京医科大学卒業
1998年東京医科大学助教授
2007年8月厚生中央病院勤務
日本整形外科学会評議員
日本脊椎脊髄病学会評議員
日本腰痛学会評議員
脊椎脊髄病指導医

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