治療と検査の最新医療情報トップページ 人工関節置換術の進歩 64列マルチスライスCT検査 バックナンバーはこちらから

特集記事: 2008年5月27日 [ Web単独掲載 ]

自分の健康は自分で守る時代 健診新時代 全国人間ドック総合ガイド

日野原 重明先生写真

【特別寄稿】

日本総合健診医学会 理事長
聖路加国際病院 名誉院長

日野原 重明(ひのはら しげあき)

***

人間ドックの歴史と将来

これまでの歩みと現状

見かけ上、健康な社会人が、健康診断を受けて潜在している病気が発見されれば、自覚症状がなくても早期に治療が開始される。こうした予防的な健康診断を受けることを、個人または企業に雇われている従業員にすすめたのは、英国ロンドンのDr. Horace Dobellが最初で、1861年に提唱された。20世紀半ばの1948年には、米国バージニア州のオハイオ鉄道が、従業員に健診を始めた記録が残っている。

日本では、結核の健診は昭和10年代から学校や会社で行なわれていた。見かけ上、元気な人を1週間入院させて精密検査を行うことは、1954年7月に国立東京第一病院で小人数を対象にして行われた。その規模を大きくして聖路加国際病院では同年9月から実施し、私はその担当者となった。これらの健診が後に「人間ドック」と呼ばれるようになった。

しかし、これが3日間に短縮され、その後1泊2日の検査で行うことが試みられるようになり、そのうちに外来での3日くらいの通院で同じ検査が行われるようになった。

ところが、1964年(日本の人間ドック発足の10年後)には、米国オークランド市にあるカイザー財団が、微量の血液で数多い血液成分やその化学成分の分析を短時間で自動的に行えるオートアナライザーを発明した。このアナライザーとコンピュータを用いることで、短時間に検査が終わり、検査データがコンピュータから打ち出され、その日のうちに生活指導ができるシステム、すなわちAutomated Multiphasic Health Testing and Service (AMHTS)がカイザークリニックで開発された。1970年には、同じシステムが東芝総合健診センターに導入され、まもなくPL東京健康管理センターや聖路加国際病院その他に普及するようになった。

聖路加国際病院の予防医療センターを見学した台湾のMJクリニック経営者である曹(Tsao)氏は、その後、同システムを台北市の美兆クリニックで大規模に導入し、これがさらに香港、北京、上海へと普及するに至った。

一方、1970年に米国ハワイ州のStraub健診センターのDr. Gilbertらは、世界の健診システム機関に呼びかけ、国際健診連合としてInternational Health Evaluation and Promotion Association(IHEPA)を発足させ、第1Region(北・中央・南アメリカなど)、第2Region(欧州とアフリカ)、第3 Region(アジア、オーストラリアなど)に分類し、日本は第3Regionを総括することになった。IHEPAは2年ごとに3つの地域のいずれかで開催することになった。

2008年9月には日本総合健診医学会理事長の私が、中国の北京でIHEPAを、中国医師会副会長Dr. Baiを大会長とし開催することになっている。

今日、日本の自動化健診システムの学会は、日本総合健診医学会のほかに、日本人間ドック学会があり、両者の合同が望ましいとされているが、それぞれの歴史があるために、合同がかなえられず今日に至っている。日本総合健診医学会は、健診施設の検査の精密度を評価する事業を長年行ってきた。さらにこれに携わる医師や検査センター要員の能力を高めるため、人間ドック専門医の資格制度を発足させ、その普及に努力している。

人間ドックの将来

今後、人間ドックは健診の精密度を高め、ただ検査に終わるのではなく健康状態の正しい評価を行った上で、具体的な生活指導を行い、生活習慣病を予防し、発見された疾患は早期に処置をする方向に進む進歩すべきであると思う。ただ生活習慣の改善を指導するのでなく、正しい行動を習慣づける行動科学的指導が大切である。

人間ドック施設は発見された疾患を、最も早く、そしてレベルの高い治療を行う専門病院と、よい関係をもつことが必要と考えられる。さらに今後の人間ドックは、認知症(アルツハイマー病)や心身症、精神病の早期発見法をもっと緻密に考え、この方面の領域の専門医との連携を保つようにすることが大切である。

少子老齢化が進む日本では、老人の健診評価をもっと立ち入って行い、栄養、運動、睡眠、生きがいを生じさせる趣味、社会活動への参与などの指導も重要なことと考えている。

日野原 重明

日本総合健診医学会 理事長
聖路加国際病院 名誉院長

1911年 山口生まれ。
1937年 京都帝大医学部卒業。
1941年 聖路加国際病院の内科医となり、内科医長、院長等を歴任。
現在、聖路加国際病院長名誉院長・同理事長、聖路加看護大学名誉学長。
財団法人ライフ・プランニング・センター理事長。
日本音楽療法学会理事長。
全日本音楽療法連盟会長。

バックナンバーはこちら(医療新聞社サイトへ)

このコーナーの運営は、医療情報サイト「治療と検査の最新医療情報:全国病院・医院選び」(http://www.jmnn.jp)を運営する株式会社医療新聞社が行っています。

朝日新聞社は、このコーナーの運営、情報提供の内容、並びにこのコーナーの利用を通じて行われたお客様と各病医院の情報提供については、一切責任を負いません。

「治療と検査の最新医療情報:全国病院・医院選び」の各コーナーでは、株式会社医療新聞社が情報提供した医療機関情報を掲載しています。

株式会社医療新聞社は、サイト運営者として信頼性の高い情報を提供するよう努めていますが、各医療情報の内容について、保証するものではありません。本サイトご利用に際しては、利用者の皆様ご自身が、本サイト及び本サイトにおいて提供される情報やサービスのそれぞれの有用性等を判断し、ご自身の責任でご利用下さい。

「治療と検査の最新医療情報:全国病院・医院選び」の運営についての各種お問い合わせは、下記までお願いします。

株式会社医療新聞社
TEL 03-5337-2551