昨年10月、三重県伊勢市に開院した「さいとう内科呼吸器科三重スリープクリニック」は、近隣病院の山田赤十字病院、三重ハートセンター等の循環器科と連携してSAS(睡眠時無呼吸症候群)の診断・治療を行っている。
「SASは高血圧、不整脈、狭心症や心不全などの心臓疾患と合併している例が多く、循環器内科に通院中の患者さんに潜在しています」と同クリニックの齋藤公正院長は語る。米国のガイドラインでも、高血圧の患者を診たら、SASの合併の有無を調べる必要があると記載されている。最近では特に、不整脈との関連が注目されているようだ。「全国に100万人近く存在すると考えられている心房細動患者の中には、SASが関与している例もあります。実際、SASの治療により不整脈が治まったり、薬の投与が不要になるケースも多く経験しています」と齋藤院長。潜在している対象患者への啓発活動も重要な課題のようである。
重症のSASに対しては、CPAP(持続陽圧呼吸)と呼ばれる装置を自宅で用いることが、現在最も効果的とされている。CPAPとは、圧力をかけた空気を鼻マスクから送り込み、気道が閉じるのを防ぐ治療法である。終夜睡眠ポリソムノグラフという検査を受け、SASの確定診断が得られれば、医師の処方のもとにCPAPを使うことで、保険適用が認められる。ただし、月に一度、病院へかかることが条件である。CPAPを装着したまま眠るには慣れが必要で、治療適応患者のCPAP装着率は約7割とも報告されている。約3割の方がCPAP治療の適応でありながら継続できていないことになる。
「患者さんの中には『昼間の眠気がなくなった、頭がすっきりした、血圧が低下した、夜間にトイレへ行く回数が減った』など、CPAPの効果を実感できた方が半数以上はいます。その一方、効果が実感できない方もいるので、この治療を継続していただけるように動機付けることが重要なんです」と齋藤院長はいう。
同クリニックでは、患者本人の睡眠検査時のビデオを見てもらうこと、さまざまな種類のマスクを試用すること、呼吸療法認定士による装着指導やアンケート調査などの努力を行っている。また、毎月の外来受診時に、睡眠中の無呼吸数の改善や血液データの改善を視覚的に提示することを工夫しており、同クリニックにおいては、この半年間で治療からの脱落率は10%以下になった。SAS患者が増加する中で、装置の小型化、携帯性や静音性など、今後さらなる治療の快適さが望まれていくだろう。







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