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特集記事: 2008年6月17日 [ 週刊朝日 2008年6月27日号 掲載 ]

メスを使わない低侵襲のレーザー治療 前立腺肥大症の最新治療特集

 

【特別寄稿】

京都大学医学部泌尿器科 准教授
賀本 敏行

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前立腺肥大症とは

前立腺肥大症は、男性特有の器官の前立腺が肥大する病気です。その定義は専門家の間でも難しく、前立腺の中に生じる顕微鏡で診断できるような「肥大結節」は加齢に伴って増加することが知られています。

割合でいうと70歳代の男性のうち70%に生じているといわれますので、全ての方を治療の対象にすると大変な人数になってしまいます。そのため、「病気としての前立腺肥大症」は、50歳以上の男性が尿の排出障害などの下部尿路症状を呈する状態を指し、ほとんどが命を脅かすような病気でないことから、自覚症状によって治療の適応を決めるQOL(生活の質)に関わる疾患ということになります。

前立腺は“みかん”のような構造で、“皮”(辺縁域と呼ばれます)と“実”(移行域と呼ばれます)からなり、尿道を取り巻いています。肥大症は“実”の部分が大きくなって尿道を圧迫している状態で、一般的に“皮”の部分から発生する前立腺がんとは全く関係ありません。

前立腺肥大症の治療は

治療の第一選択肢は薬物療法とされており、前立腺による圧迫をゆるめるように働いて排尿しやすくします。薬の効果が十分でない場合には手術療法が考慮されます。尿道から内視鏡を入れて肥大した“実”の部分を削るように切除する経尿道的前立腺切除術(TURP)が世界的にも標準の術式とされています。

ただ、この手術では手術中に用いる潅流(かんりゅう)液が体内に吸収されることによる合併症や出血が問題で、それらを防ぐため多くの低侵襲治療が考案されてきました。その中で、現在注目されているのが経尿道的な前立腺核出術と前立腺蒸散術です。これらの手術は出血が少ない上、潅流液として生理食塩水を用いることができますので、先にあげた合併症を起こす可能性が低いという特長があります。

最新のレーザー治療

経尿道的前立腺核出術ではホルミウム・YAGレーザーを用いた前立腺核出術(HoLEP)が注目されており、サイズの大きな前立腺に対しても対応できるという利点があります。具体的には、“実”の部分をレーザーでくりぬき、それを膀胱の中で特殊な機器を使って細切・吸引するという方法です。前立腺蒸散術はレーザーを肥大した組織に照射して蒸散させる方法で、ホルミウム・YAGレーザーを用いたやり方(HoLAP)やKTPレーザーを用いる方法(PVP)などがあり、TURPやHoLEPよりも安全性の高さや合併症の少ないことが期待されていますが、前立腺のサイズが大きい場合にはやや難しいとされています。

これらの新しい治療は、現在のところ、その機器のコストが高いこともあり、手術手技が十分に行き渡っていませんが、近い将来TURPに代わる前立腺肥大症の標準的な外科的手術術式になる可能性が高いと考えています。

 

経尿道的ホルミウムヤグレーザー前立腺核出術(HoLEP)
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