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特集記事: 2008年6月24日 [ 週刊朝日 2008年7月4日号 掲載 ]

突然死を切らずに防ぐ低侵襲治療 ステントグラフトによる大動脈瘤治療特集

石丸  新先生写真

【特別寄稿】

ステントグラフト実施基準管理委員会
副委員長・事務局長

石丸  新

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突然死を起こす大動脈瘤(りゅう)とは

高齢化社会を迎え、動脈硬化による心臓病や血管病は増加の一途をたどっています。胸部や腹部の血管が膨らむ大動脈瘤も多くは動脈硬化が原因で、瘤の拡大が進行しても痛みなどの自覚症状がないまま、やがて血圧に耐えきれず破裂し、大出血となる危険な病気です。

破裂を予防するため、これまでは外科手術による治療が行われてきましたが、最近では“ステントグラフト”という人工血管を細いカテーテルによって動脈瘤まで運んで治療する新技術が登場し、別名“切らない手術”といわれ注目されています。

動脈瘤を内側から支えて破裂を防ぐ

ステントグラフトは人工血管にバネ状の金属を付けたもので、これをカテーテルという細い管の尖端に込めておき、動脈瘤の位置で押し出します。人工血管はバネと患者さんの血圧によって動脈の内側に張りつけられるので、手術で縫い付ける必要がありません。これで動脈瘤内には血圧がかからず破裂を防げるのです。

ステントグラフト(図)

脚の付け根からカテーテルを挿入

この治療はカテーテルを脚の付け根にある動脈から挿入するだけですので、外科手術のように胸部や腹部を大きく切り開くことはありません。レントゲン撮影をしながら人工血管を動脈瘤の位置に運んで固定したのち、カテーテルを動脈から抜いて体外に回収し、挿入した部位の動脈と皮膚を縫合すると終了です。

入院期間の短縮で早期に社会復帰

多くの場合、治療中は麻酔が必要となりますが、治療時間は3時間程度ですみ、輸血もほとんど必要ありません。そのため体への負担が軽く、治療当日あるいは翌日には食事や歩行が可能となり、入院期間も外科手術の半分以下ですみます。退院後は特別な薬を飲む必要もなく、日常生活はほとんど制限されません。ただし、治療後は経過確認のために年1回の定期検査が必要です。

医師に求められる高度な技術

腹部大動脈用ステントグラフトは2007年1月に初めて保険適用となりました。また胸部大動脈用は今年中に使用可能となる予定です。このような先端技術を安全で確実に行うためには高度な知識と技術が必要で、治療を実施する医師には研修を受けることが義務付けられています。

指導医のいる全国30病院を公開

高い治療水準を確保するため、ステントグラフト実施基準が定められ、基準管理委員会による審査が行われています。このほど、審査に合格した指導医がいる専門病院が公開されました。現在、全国の30病院(平成20年5月末)ですが、今後も合格施設は増えていきますので、治療を希望する際には確認することが大切です。

ステントグラフト実施基準委員会HP「実施施設一覧」
http://www.stentgraft.jp

石丸  新

ステントグラフト実施基準管理委員会
副委員長・事務局長

1976年東京医科大学卒業
1979年スウェーデン留学
1995年東京医科大学教授
2005年より戸田中央総合病院副院長
「大動脈瘤セカンドオピニオン外来」開設
専門は大動脈瘤ステントグラフト治療

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