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特集記事: 2008年6月24日 [ 週刊朝日 2008年7月4号 掲載 ]

眼科で年に一度の検診を 早期発見で緑内障は怖くない

田原 昭彦教授写真

【特別寄稿】

産業医科大学 眼科 教授

田原 昭彦

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緑内障の3つのタイプ

私たちの目には血液の代わりをする房水という透明な液体が入っています。房水は水晶体や角膜などに栄養を補給すると同時に、目の硬さ(眼圧)を適正に保ち、眼球を球状に維持する役目を果たしています。緑内障はこの眼圧が関係する病気で、視神経が徐々に損傷し、視野が少しずつ狭くなります。

進行すると視力も低下し、失明に至ることがあります。視神経は一度損なわれると回復不能で、失った視野や視力を元に戻すのは不可能です。従って、早期発見・早期治療で視野欠損を最小限に止めることが大切です。

目の構造(図)

緑内障は40歳以上の方に多く、「急性緑内障」「慢性緑内障」「正常眼圧緑内障」に分類できます。急性緑内障は女性に多く、急に片目がぼやけるようになり、続いて激しい目の痛みや頭痛が起こり、嘔吐することもあります。慢性緑内障は、目が重い、視界が時々ぼやけると感じる人もいますが、症状が少ない病気です。これらは眼圧が上昇して起こりますが、残る正常眼圧緑内障は眼圧が正常な状態で起こります。目の血流が悪くなり発症するとも考えられていますが、詳しい原因は不明です。症状は視野障害が進行するまでほとんどありません。日本緑内障学会の調査で、40歳以上の20人に1人が緑内障を発病していて、中でも正常眼圧緑内障が多いことがわかりました。

進行した緑内障の見え方。影になっている部分のように視野が欠損する(写真)

緑内障の検査方法と治療法

緑内障による視野欠損や眼圧上昇は進行しないと自覚できません。そのため早期発見が難しく、多くは眼科受診やドック検診で発見されます。診断や治療経過の判定には次のような検査を行います。(1)視力検査=見え方(目の分解能)を調べる検査で、眼鏡をかけて測定します。(2)眼圧検査=目の硬さを測ります。(3)眼底検査=視神経の障害の程度を判定します。緑内障では視神経が束になる視神経乳頭のくぼみが拡大します。(4)視野検査=見える範囲を調べる検査で、緑内障の進行度を判断するために重要です。

緑内障の治療は、通常では眼圧を正常に戻すために、点眼薬で眼圧のコントロールを行います。点眼薬で効果がない場合は手術で眼圧を下げます。正常眼圧緑内障でも、眼圧を下げることで、視野欠損の進行を遅らせることができると考えられています。急性緑内障に対してはレーザーで虹彩に穴を開ける方法などがあります。

年に一度は眼科専門医での検診を

緑内障で何よりも大切なのは早期発見・早期治療です。目が重い、視界がかすむなどの症状があれば眼科を受診するのが賢明です。また、緑内障は気づかないうちに起こっていることも多く、眼科専門医での定期的な検診が大切です。検査を受けることで、白内障や眼底出血などの眼病の発見にもつながります。40歳を過ぎたら、少なくとも年に一度は眼科検診を受けることをお勧めします。

毎年3月6日は世界緑内障の日

緑内障は世界で約7000万人が発病しており、その中でも約670万人が失明に至っているという。今後も失明者数が増加していくと推測されている中、国際緑内障連盟が2007年7月18日~21日にかけて開催した世界緑内障会議2007において、3月6日を「世界緑内障の日」と定め、2008年より毎年各国で啓発活動を行うことを決定した。日本でもそれを受け、2008年3月8日に日本緑内障学会が市民公開講座を開催。「緑内障のこと、気になりませんか?(緑内障と暮らす)」と題して、帝京大学医学部鈴木康之教授が講演を行った。

田原 昭彦

産業医科大学 眼科 教授

1974年 久留米大学医学部卒業
1987年 米国ベーラー医科大学に留学
1989年 九州大学医学部眼科講師
1996年 和歌山県立医科大学眼科助教授
1999年 産業医科大学眼科教授

日本眼科学会評議員、日本緑内障学会評議員。

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