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特集記事: 2008年7月 8日 [ 週刊朝日 2008年7月18日号 掲載 ]

脳神経外科領域にも広がる内視鏡手術 開頭しない脳内手術

河瀬  斌先生写真

河瀬  斌
(かわせ たけし)

大平 貴之先生写真

大平 貴之
(おおひら たかゆき)

慶應義塾大学医学部 脳神経外科 教授
平成20年度 日本神経内視鏡学会 会長

慶應義塾大学医学部 脳神経外科 准教授
日本神経内視鏡学会 技術認定制度 委員長

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15年程前から、脳神経外科領域でも低侵襲(ていしんしゅう)治療が盛んとなっている。定位放射線治療をはじめとした手術を行わない治療法とともに、可能な限り小開頭で行う神経内視鏡を用いた脳手術も、そのうちの一つだ。

神経内視鏡は、他分野の内視鏡とほぼ同等の構造であるが、その径は、通常2~6mmである。脳神経外科領域ではすでに顕微鏡を用いた手術法が確立しており、顕微鏡を用いた最小限開頭手術(通常最小で4cm程度の開頭)を、内視鏡を用いることでさらに小開頭(通常1~2cmの小穿頭・しょうせんとう)で行うことができる。これにより、術中の脳の圧排も最小限となり、なおいっそう低侵襲的な手術が行われ、さらに手術時間の大幅な短縮も可能となる。また、顕微鏡手術に際しては、内視鏡を併用して観察することで、顕微鏡下では死角となる部位をより、安全・確実に手術できる(内視鏡補助顕微鏡手術)。

対象となる疾患は、第1に、水頭症(すいとうしょう)やくも膜嚢胞(のうほう)などの嚢胞性疾患、さらに脳室内腫瘍である。特に水頭症の1型である閉塞性水頭症は内視鏡手術の最も良い適応である。これまで脳から腹部まで細いチューブを皮下に埋め込んで治療していたシャント手術という方法を、脳内で3mm程度の小さな穴を作る(第3脳室底開窓術)ことで治療可能となり、異物を体内に埋め込む必要がなくなった。脳室内腫瘍で水頭症を伴う症例では、同様に第3脳室底開窓術により、水頭症の治療を行うとともに、腫瘍の生検により診断をつけることが可能である。また、2cm程度であれば腫瘍の全摘出も可能である。

第2に、この数年、これまで顕微鏡で行われてきた下垂体腫瘍摘出術と脳内血腫除去術が、内視鏡を使って行われるようになってきており、今後は顕微鏡にとってかわるであろう。いずれも、より小切開で行われ、低侵襲かつ短時間で同様の手術効果が得られる。また、内視鏡補助顕微鏡手術としては、頭蓋底(ずがいてい)腫瘍摘出術や脳動脈瘤クリッピング術が良い適応となる。

神経内視鏡手術は低侵襲であるが、限られた視野で手術操作が行われるため予期せぬ合併症を生じる可能性もある。このため、平成18年度より日本神経内視鏡学会に技術認定制度が発足し、内視鏡手術のトレーニングと技術指導を積極的に行い、内視鏡に習熟した技術認定医が安全に手術を行える体制を作っている。技術認定医は、毎年行われる日本神経内視鏡学会学術集会に参加して常に知識を向上することも要求される。

河瀬  斌(かわせ たけし)

慶應義塾大学医学部 脳神経外科 教授
平成20年度 日本神経内視鏡学会 会長

大平 貴之(おおひら たかゆき)

慶應義塾大学医学部 脳神経外科 准教授
日本神経内視鏡学会 技術認定制度 委員長

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