がん薬物療法専門医制度の成り立ち
日本では、がんの治療といえば手術療法が中心と考えられてきました。
しかし、最近になり新しい抗がん剤や治療薬の導入によって、薬物療法が注目されてきており、これらの薬剤と放射線療法を併用した治療法の成績が向上してきています。その結果、治療法が複雑化し、外科医が容易に行えるような治療法ではなくなってきました。
そこで日本臨床腫瘍学会は、がんに対する診療技術と、薬物による治療成績の向上のため、がん薬物療法に関する専門医制度確立に取り組んできました。その結果、認定試験が実施される運びとなったのです。
2005年度より始まった、年1回の専門医認定試験に合格した医師が「がん薬物療法専門医」と呼ばれます。試験もすでに3回行われ、2008年4月現在、205名のがん薬物療法専門医が活躍中です。適切で幅広い対応が求められますので、高度な専門知識を必要とします。
高度な知識を必要とするがん薬物療法専門医
がんの治療は、「局所療法」と「全身療法」に分けることができます。 自分の体を畑に例えると、畑に雑草(がん細胞)があれば機械で刈り取るか、農薬をまいて除草するか、2種類の方法が考えられます。雑草が一部分だけに生えているなら、刈り取ってしまいます。これに相当するのが局所療法である手術や放射線治療です。畑のいろいろな場所に雑草が生えている場合は、雑草をすべて刈り取ることが難しいので、畑全体に薬をまき、除草します。これが全身療法である薬物療法といえるかもしれません。
がんの薬物療法は、抗がん剤、ホルモン剤、免疫賦活(ふかつ)剤(免疫力を高める薬剤)などを使います。また、がんによる症状を和らげるためのいろいろな薬剤、鎮痛剤などの使用も薬物療法の一つです。がん薬物療法専門医は、患者さんの病状・病態に合った最も効果的な全身療法として、抗がん剤やホルモン剤などの薬剤を、静脈内注射や内服といった方法で、安全かつ適正に投与しなくてはなりません。がんの種類によっては、抗がん剤によく反応するタイプと、そうでないものがあります。完全に治すことができれば理想ですが、治らない場合でも、がんを今より縮小することで、延命効果や痛みを軽減させるなど、症状を和らげることが期待できます。
また専門医会が定期的に開かれますが、情報の交換や討論などを積極的に行い、今後も、多くの優秀ながん薬物療法専門医が育ち、全国の患者さんへより良いがん医療が提供されることを願いたいものです。
【文/飛鳥漣】






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