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特集記事: 2008年9月 5日 [ 『がんで困ったときに開く本』 2008年9月5日 掲載 ]

つらいがん性疼痛(とうつう)の緩和 ペインクリニック専門医
花岡 一雄先生写真

【特別寄稿】

日本ペインクリニック学会 代表理事
JPAP代表世話人「チェアマン」

花岡 一雄(はなおか かずお)

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痛みの治療とこれまで

最近の医学・医療においては、目を見張るような素晴らしい進展分野がぞくぞくと登場しております。しかしながら、人類がその誕生から共に歩んできている痛みの分野における進歩状況についてはいかがでしょうか。近年、痛みの感覚が、科学として取り上げられてきてはおりますが、痛みの機序の解明やその治療法には医療者側も患者様も大変に苦慮しているのが現状です。

この大きな原因の1つとしては、痛みはその人個人の特有な感覚であり、他の人と共有ができないために、この分野の研究がなかなか進まなかったことが挙げられます。加えて我が国では、痛みを我慢することがある意味での美徳と考えられて、患者様の多くもそのように思っておりましたし、医療者側も痛みを感じているのは生きている証拠などと申しまして、現代に至るまで、その機序解明や治療に対して、積極的には取り組みにくい環境にありました。

つらいがん性疼痛の緩和

我が国における1年間の死亡者数はおよそ100万人ですが、今日、がんはこの死因の第1位に位置して約3分の1を占めております。また、そのうちの約8割の人が、がん性疼痛に悩まされております。術後痛に代表されるような急性痛では、2、3日我慢すれば痛みの程度が次第に減少していきますが、がんによる痛みなどの慢性痛ではかなりの長期間にわたる痛みとの戦いになります。このような痛みが持続しますと、精神的にも参ってきますし、食欲も減退して、検査や治療にも苦痛を感じるようになり、免疫力も低下してきます。しかも、近年、生活の質(QOL)の向上が取り沙汰されるようになって以来、痛みからの解放はQOLの向上のための最大の関心事の1つになってまいりました。

当然のことではありますが、痛みは病気の兆候の中でも最も多く、昔から医学・医療の原点でもあります。患者さんの多くは、痛みによって病院や診療所に受診に行きます。痛みを感じる部分に異常をきたしていると誰もが考えるからです。

がんになりますと、そのがん細胞によりまして、近辺の神経が刺激されたり、圧迫されたりして痛みを感じるようになります。また、正常な細胞が破壊されたり、炎症などが起きたりしますと、私たちの体の内に存在しております内因性の発痛物質が分泌されてきまして、やはり、神経を刺激し痛みを生じさせます。

我が国におきましても2007年4月より、がん対策基本法が施行され、その中に「がん患者の療養生活の質の維持向上」として、第16条において、がん患者様に対しまして、状況に応じた疼痛などの緩和を目的とする医療を、早期から適切に行われるようにすることなどを含め、国及び地方公共団体に必要な施策を講じるように定められております。つらい疼痛からの解放のためにさまざまな薬物治療、理学療法、神経ブロックなどが駆使されますが、それに対応できる医師がペインクリニック専門医です。

花岡 一雄(はなおか かずお)

日本ペインクリニック学会 代表理事
JPAP代表世話人「チェアマン」

1971年東京大学医学部 卒業
91年同大学医学部麻酔学 教授
2001~2004年(社)日本麻酔科学会 理事長
05年からJR東京総合病院 院長
06年東京大学名誉教授
世界ペインクリニック学会 元会長
世界麻酔学会 副会長
アジアオセアニア局所麻酔ペインメディスン学会 会長

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