増加する消化管がんと内視鏡治療
いまや、身近なだれもがかかりうる疾患となってしまったがん。しかし、医療機器や技術の進歩により、がんは早期発見できれば、決して恐い病気ではなく、根治が期待できる疾患となっていることも事実です。胃、大腸など消化管の早期がん、ポリープに対する内視鏡治療も進歩しており、以前は開腹手術を要した治療も、内視鏡下に行うことが可能となっています。
近年、食生活の欧米化に伴い、わが国においても大腸がんが増加の一途をたどっています。がんの部位別に見た死亡率は、男性では肺がん、胃がん、肝臓がんに続く第4位、女性では胃がんを抜いて第1位になっています(厚生労働省・平成18年人口動態統計)。特に女性の死亡率の高さはあまり知られていないのが現状です。
大腸内視鏡検査で発見される病変は大腸がんと大腸ポリープに大別されます。ポリープは粘膜の表面から盛り上がっている病変の総称で、明らかにがんと認められるものは除かれ、不明のものは病変切除後の病理学的診断を終えるまで暫定的にポリープと呼ばれます。
ポリープは腫瘍性と非腫瘍性に分類されますが、大腸ではポリープの大半が腫瘍性です。非腫瘍性のものはがんとは無関係ですが、腫瘍性のものは、たとえ良性であっても、やがてがん化する可能性があるため、早期がんと同じく放置しておくわけにはいきません。
粘膜や粘膜下層の浅い部分に生じるがんとポリープは内視鏡的に切除することが可能で、その際に用いられるのが「ポリペクトミー」です。肛門から内視鏡を入れ、先端からスネアと呼ばれる輪状のワイヤーを出してポリープに引っ掛け、その根元を締めて高周波電流で焼き切ります。
病変がきわめて小さい場合には、ワイヤーでなく、先端がハサミのようなもので焼き切る「ホットバイオプシー」を、隆起が低いものや陥没した病変には、組織下部に生理食塩水を注入し、病変を隆起させてワイヤーで焼き切る「EMR(内視鏡的粘膜切除術)」を用います。これらの内視鏡治療は患者さんの体の負担も少なく、ほとんどの場合で入院の必要もありません。
がん化した病変に対して、内視鏡治療が可能かどうかは、その深達度が重要となります。がん細胞が粘膜にとどまっている早期がんなら、内視鏡で病変を切除できます。しかし、がんが粘膜下層にまで浸潤している場合、軽度・中等度・高度と分けられ、内視鏡治療が適用できるのは、リンパ節への転移がほとんど見られない軽度までと考えられます。
内視鏡治療は病変を切り取るため、まれに術後の出血を生じる場合があります。心臓病などで抗血小板薬(血液をさらさらにする薬)を飲んでいる患者さんは、出血しやすくなりますので、治療の1週間前から薬の服用を中止するなど注意が必要です。また術後1週間くらいは飲酒やスポーツといった腸に負担をかける行為は控えなければなりません。いずれにしても大腸がんの罹患率が高くなる40歳を過ぎたら、定期的な大腸内視鏡検査の受診をお勧めします。
佐竹 儀治(さたけ よしはる)
田坂記念クリニック 院長
昭和大学医学部客員教授。
2000年より田坂記念クリニック院長に就任。
胃・大腸の内視鏡による検査において、これまでに数多くのポリープ、がんの発見・治療を手がけている。









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