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特集記事: 2008年9月 5日 [ 『がんで困ったときに開く本』 2008年9月5日 掲載 ]

正確な診断と適切な治療が求められる 慎重に治療したい甲状腺腫瘍
高見  博先生写真

【特別寄稿】

日本甲状腺学会 理事
日本甲状腺外科学会 理事長
日本内分泌外科学会 理事長

高見  博 (たかみ ひろし)

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20代でも発症する甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)があります。そのうち、約80%が良性腫瘍で、残りの20%が悪性腫瘍となります。この甲状腺腫瘍で特徴的なことは、20歳代からでも発症することです。しかし、最も多いのは40歳代です。また、女性が約80%と多くを占めます。それが若い女性でも甲状腺の検診をすすめる大きな理由です。

多くを占める良性腫瘍では、超音波検査(エコー)、場合によっては細胞診を行い、「良性」と診断されたならば、甲状腺ホルモン剤を内服するか、経過観察します。むやみに手術は受けないで下さい。手術後に甲状腺機能低下症になったり、合併症の原因になったりします。

甲状腺がんの多くは乳頭がんですが、その他にも約5%に濾胞(ろほう)がん、非常にまれに未分化がん、髄様(ずいよう)がんがあります。

また、がんではありませんが、まれに甲状腺のリンパ組織からできる悪性リンパ腫もあります。

これらのがんは初期のうちはまったく症状がありません。特に、乳頭がんは進行しても他の臓器(肺や骨)への転移はまれで、多くは首のリンパ節への転移のみです。ですから、乳頭がんは非常に予後の良い(たちの良い)がんといえます。

一方、濾胞がんは良性腫瘍と区別のつきにくいものがあり、また肺や骨に転移することもあるため、注意が必要です。

これらの診断は良性腫瘍と同じく、超音波検査と細胞診を行い、がんであることを確認することです。最も多い乳頭がんではこの検査でほぼ確実に診断できます。

初回に確実な手術が不可欠

どんな手術でも同じですが、再手術は困難です。特に、甲状腺手術は甲状腺の背側に反回神経が通っていて、それは声帯を動かし声を出す神経です。もしこれを傷つけると嗄声(させい・しわがれ声)になります。

また、甲状腺の背側には体のバランスを調節する副甲状腺という小さな臓器があり、副甲状腺を損傷すると機能低下になり一生カルシウム剤の内服が必要となってしまいます。

甲状腺がんと診断されたら、ごく小さい腫瘍は別にして、治療法としては手術が一般的であり、甲状腺切除を行います。初回に確実な手術を受け、前述のような合併症を防止することが大事です。

甲状腺切除後にホルモン療法(甲状腺ホルモンの内服)を行うことがありますが、その場合も副作用はほとんどなく、不快感などの愁訴もありません。化学療法・放射線療法については前述したまれながんにのみ行われます。

正しい診断と治療が重要

甲状腺腫瘍にはいくつかの病型があり、その病型に応じて治療方法も異なってくるため、正しい診断が非常に重要となります。また治療に際しては、甲状腺とその周囲が細かな血管・神経、副甲状腺に囲まれていますので、より確実な手術が必要となります。

高見  博(たかみ ひろし)

日本甲状腺学会 理事
日本甲状腺外科学会 理事長
日本内分泌外科学会 理事長

帝京大学外科主任教授、慶應義塾大学講師(非常勤)
東京大学大学院外科(非常勤)、日本外科学会理事、日本内分泌学会理事、国際内分泌外科学会理事、アメリカ内分泌外科学会会員、日本外科学会指導医・専門医、日本甲状腺学会専門医

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