アルコール依存症の治療の原則は、節酒(飲酒量を少なく抑える)ではなく、断酒(禁酒とはいわない)の継続である。なぜかというと、この病気は飲酒量をコントロールして飲むことができない病気で、短期間は節酒ができても、そのうちに元の量に戻ってしまうからである。断酒継続を行うための方法としては、有効な治療薬などは存在していない。そのため、いまだに昔からいわれている「断酒の3本柱」が基本となる。すなわち、(1)抗酒剤(この薬を飲んでその後にお酒を飲むと、頭痛、吐き気、動悸などの悪酔いの症状が出る)の服用、(2)自助グループ(断酒会あるいはAA=alcoholics anonymous)への参加、(3)定期的な医療機関への通院である。
入院治療では、(1)依存症ではお酒を止めると離脱症状(手の振るえ、イライラ、不安感、不眠、発汗、動悸など)が出現し、つらいのでその治療(抗不安薬、睡眠薬)を行う、(2)長年の大量飲酒による臓器障害(肝臓病、高血圧、糖尿病、膵臓病、潰瘍、がんなど)の精査と治療を行う、(3)その後はアルコールリハビリテーションプログラムに沿って、心理的な依存に対する精神療法(個人、家族、集団)、薬物療法、生活作業療法(規則正しい生活を取り戻す)、運動療法(落ちていた体力を回復する)などを行う。
以上が一般的なアルコール依存症の治療であるが、初期のアルコール依存症の場合、飲み過ぎによる臓器障害により、精神科ではなく一般診療科を受診するのがほとんどである。ここで医師が、これをアルコールの飲み過ぎが原因として捕らえることができれば、そこでアルコール依存症の早期治療が可能となる。しかし、残念ながらそれが行われていないのが現状である。したがって読者自身で、前述の過剰飲酒による病気がある場合には、まず4週間の断酒ができるかを試してみるとよい。それができる場合にはその後節酒とし、もしできなかった場合にはアルコール依存症の可能性が高いので、アルコール依存症の専門病院を受診することを勧める。
丸山 勝也(まるやま かつや)
日本アルコール関連問題学会 理事長
独立行政法人国立病院機構 久里浜アルコール症センター 病院長






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