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特集記事: 2009年2月12日 [ 『いい病院 2009』 2009年2月12日 掲載 ]

質の高い患者サービスの追求と侵襲の少ない人工関節置換術
米盛 公治

【取材協力】

医療法人緑泉会
整形外科米盛病院 院長

米盛 公治 (よねもり こうじ)

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桜島を間近に臨む鹿児島市。医療法人緑泉会の整形外科米盛病院は、人工関節置換術をはじめ、この地で圧倒的な手術数を誇る。厚生労働科学研究班が行った病院顧客満足度調査の入院部門で第1位を獲得するなど、患者からの信頼も厚い。患者の利益を優先する医療とサービスについて米盛公治院長に聞いた。

満足度調査で上位の患者サービスを実現

整形外科米盛病院は、文字どおり整形外科に特化した専門病院で、その手術数の多さで全国的に知られる。2008年の1年間で症例総数1268例(脊椎固定術121例、人工股関節置換術146例、人工膝関節置換術186例など)と、鹿児島県で随一の手術数を誇っている。

高度で専門的な医療もさることながら、質の高い患者サービスを提供していることで患者からの信頼も大きい。厚生労働省管轄の厚生労働科学研究班が実施し、500床未満の急性期病院167施設が参加した「2006年度病院顧客満足度調査」で、同院は入院部門第1位、外来部門第3位にランクされている。

病院前に足湯があり、8時30分~22時まで無料で利用できる。塩化物泉(弱アルカリ性)で、神経痛・筋肉痛・関節痛などに効能あり

患者から高評価を得ている背景にあるのは、病院の経営母体である医療法人緑泉会が定めた「クレド(信条)」。2006年の春にプロジェクトが立ち上がり、1年がかりで条文が作成され、約20頁の手帳にまとめられた。今では全職員が携帯し、問題があったときにクレドと照らし合わせることが習慣になっている。

「クレドは職員の行動規範や目標を記したもので、CS(顧客満足)を高めるために職員自身の手によって作られました。基本理念が病院にとって憲法であるなら、クレドはそれを実現・達成するために細分化された法律にあたります」と米盛公治院長。このクレドを基本として、病院ではさまざまな患者サービスが展開されている。例えば、月曜と金曜の週2回、職員が交代で季節の事柄や日常の気づきを語る「まごころ放送」は、職員と患者の親近感を高め、コミュニケーションが深まることで、入院患者の不安感を和らげる。また、2007年4月からは患者サービスを専門に行う医療コンシェルジュ職を配置。院内の案内や患者の介助はもちろん、飲み物のワゴンサービスなども行う。

4人の医療コンシェルジュが勤務し、患者や家族に声をかけ、相談に応じる。コンシェルジュはフランス語で案内係を意味する

クレドには法人が負うべき職員に対する約束も明記され、CSのみならず、ES(従業員満足)を高めることにも役立っている。「良質な医療の実践を前提として、次にESを実現し、最終的にCSを達成しなければ、いい病院ではない」というのが米盛院長の考えだ。過去3年間の新採用看護師の離職者はゼロ。ESは着実に向上していると院長は実感している。

緑泉会の方針や職員の行動規範を明記した「クレド」。クレドは信条という意味のラテン語。「職員のありたい姿15ケ条」「ホスピタリティを高める7つの習慣」など複数の項目で構成される

小切開で行われる人工関節置換術

人工関節置換術は、変形性関節症、慢性関節リウマチ、大腿骨頭壊死などが原因で股関節や膝関節に強い痛みを訴える患者に行われる。手術によって関節が変形・損傷している部分を取り除き、人工関節に置き換えることで痛みを緩和し、歩行能力や日常生活動作を改善させる。整形外科米盛病院では、この人工関節置換術、また腰椎椎間板ヘルニア手術や脊柱管狭窄症、不安定腰椎に対する脊椎固定術において、患者の利益が大きいという理由から、MIS(最小侵襲手術)を積極的に取り入れている。

「MISとは、新しい機材・技術を用いて小切開の手術を行う方法です。小さな傷口と少ない出血量、短い時間で手術を終わらせることができるので、さまざまな合併症やリスクを減らし、なおかつ筋肉に与えるダメージを少なくします。結果として、患者さんへの身体侵襲が少なく、早期退院・早期社会復帰を可能にします」と米盛院長は語る。最近では、人工関節そのものの耐用年数が尽きたときに行われる再手術の技術も向上し、適応年齢が下がってきているため、人工関節置換術は全国的に増えている。

しかし、MISは傷口が小さければ小さいほど術中の視野が狭くなるため、執刀医には極めて高度な技術が要求される。医師はこの技術を習得するために海外で死体標本を使ったトレーニングを行うが、米盛病院にはこうしたトレーニングを積んだ整形外科医が4人在籍する。一人の医師に極端に特定の症例を集中させることはない。「整形外科医であるなら、整形外科の分野においてはオールマイティでなければならない」というのが米盛院長の方針だ。

人工股関節置換術(写真左)と人工膝関節置換術(左)。痛みが緩和され、歩行能力が回復される

地方の鹿児島で実践する先端医療

評判を聞いて、米盛病院には離島や県外からも多くの患者が訪れる。奄美大島、徳之島、宮崎県、熊本県、遠くは神奈川県から患者が来たこともある。患者が患者を紹介してくれる口コミの効果は絶大で、それが現在の手術数の多さに結びついている。

病院をここまで育て上げてきた米盛院長は、鹿児島という地方にいても先端の医療を実践できるという考えだ。クリーン度100の最高規格である無菌手術室、医療従事者だけでなく、患者の家族が手術中の映像を見ることができるモニタリングシステムなど、全国的に数少ない、新しい設備や機器も導入されている。

筋肉を傷つけないように細心の注意が払われる最小侵襲手術。人工関節置換術など、高い清潔度が要求される手術は、ほこりが限りなくゼロに近いクリーン度100のNASA最高規格の無菌手術室で行われる

いろいろな病院にかかり、その保存的治療では治せなかった患者を、最終的にメスを使ってでも治してみせるというのが米盛院長の信念。「整形外科のみの単科専門病院である以上、医療技術も患者満足度も、複数の診療科を持つ総合病院の整形外科に負けるわけにはいきません」。米盛病院を日本で最も優れた整形外科病院へと育て上げることが院長の目標である。

【取材/駒井 一行】

米盛 公治(よねもり こうじ)

医療法人緑泉会 整形外科米盛病院 院長

鹿児島大学卒。医学博士。
一番の楽しみは双子の男児の子育てと、
約350人のスタッフがいる緑泉会グループの病院育て。
日本整形外科学会認定整形外科専門医ほか

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