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特集記事: 2009年2月12日 [ 『いい病院 2009』 2009年2月12日 掲載 ]

前立腺肥大症の新しい治療 ホルミウムヤグレーザー
松田 公志

【特別寄稿】

関西医科大学泌尿器科 教授

松田 公志 (まつだ ただし)

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前立腺肥大症の治療法

前立腺肥大症の治療は、古くは開放手術で肥大した前立腺の一部(腺腫と呼びます)を摘除する方法が行われていました。1930年ころに内視鏡手術が開発され、尿道から内視鏡を挿入し、半円形のループのような電極を用いて、電気メスで腺腫をひとかきずつ削り取っていく手術が行われるようになりました。経尿道的前立腺切除術(TURP)と呼ばれます。現在まで、前立腺肥大症に対する標準術式として、多数の患者さんに行われています。

この経尿道的前立腺切除術は、従来の開放手術に比べれば体への侵襲(影響)が小さい手術です。しかし、一方で、切除に際して出血のコントロールが難しかったり、また、内視鏡手術では特殊な水を流しながら手術操作を行うため、その水が血管内に大量に入って体液のバランスが悪くなる合併症などが生じることがあります。特に50gを超える大きな前立腺では、手術時間が長くなりがちで、出血量や合併症も多い傾向がありました。

レーザーを用いたHoLEP

そこで、より体に優しい、低侵襲の治療法として出現したのがレーザー手術です。前立腺肥大症に用いられるレーザーには、ホルミウムヤグレーザー、KTPレーザー、色素ダイオードレーザーなどがあり、それぞれの特性に応じて、組織の蒸散(細胞を蒸発させてしまうこと)、切開、凝固などを行い、最終的に肥大した前立腺を小さくすることができます。これらの前立腺に対するレーザー手術の中で、肥大した前立腺の腺腫を丸ごと切除してしまうのが、ホルミウムヤグレーザーによるレーザー核出術(HoLEPと呼ばれています)です。核出術とは、従来の内視鏡手術のように前立腺の尿道面の表面から一かきずつ切除するのではなく、肥大した腺腫とそれを取り囲む外科的被膜と呼ばれる正常の部分との間をレーザーで止血しながら剥離し、腺腫をそのまま膀胱内にピンポン玉のように落とし込むことを意味します。周囲組織から剥離され、遊離状態となった腺腫は、特別に設計されたモルセレーターという電動式の機械を尿道から挿入し、膀胱内で細かく切りきざんで体外に出してきます。

HoLEPの特長

HoLEP手術の特長は、血管をレーザーで丁寧に止血しながら手術を進めるので出血が少ないこと、大きな前立腺でも比較的短時間で手術できること、腺腫の取り残しがほとんどないので再発が少ないと予想されることなどです。これまで、100gを超えるような大きな前立腺肥大症の患者さんには、内視鏡手術が普及した現在でも、従来の開放手術が行われることが少なくなかったのですが、HoLEPでは、さほど困難なく100g以上の前立腺肥大症の手術を行うことができます。一方で、完全に腺腫を切除するため、手術直後に一時的に尿失禁が起こりやすいともいわれています。

私どもの関西医科大学枚方病院泌尿器科では、2006年6月にHoLEP手術を導入し、2008年10月まで65人の患者さんの手術を行ってきました。平均前立腺重量は72g、平均手術時間は109分、手術中の出血量は少量のことが多く、これまで輸血をした患者さんはいません。手術後は1~2日目に尿道に留置したカテーテルを抜去します。術後の平均入院期間は6日です。現在では、全国の多くの泌尿器科でHoLEP手術を受けることができるようになってきています。

松田 公志(まつだ ただし)

関西医科大学泌尿器科 教授

昭和53年京都大学医学部 卒業
平成7年から現職

第20回日本Endourology・ESWL学会会長(平成18年)
日本Endourology・ESWL学会 副理事長

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