視覚障害の大きな原因となる加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは、視機能が集中している眼底の黄斑が障害される疾患である。これに罹患すると中心暗点やゆがみを生じ、見ようとするところが見えなくなる。高齢社会の出現とともに、近年、加齢黄斑変性が増加している。日本では視覚障害の原因(※)として、緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性についで、加齢黄斑変性が第4位になっている。米国では法的失明(視力0.1以下)の原因のトップが加齢黄斑変性であることから、本症の頻度はさらに増加すると考えられる。
加齢黄斑変性は萎縮型と滲出型に大別される。萎縮型は非活動性で視力の低下が緩徐であるが、現在のところ治療法はない。滲出型は脈絡膜、すなわち網膜の裏側から新生血管が成長し、出血や滲出病変を起こしながら黄斑を破壊する。本症の治療は脈絡膜新生血管の退縮を目的としている。
以前からレーザー光凝固による治療が行われていたが、適応症例が限られていた。また頻繁に再発するなどの問題があったため、光線力学的療法が開発された。この方法ではビスダインという感光色素を静脈注射する。この色素は血液中のリポ蛋白に結合し、その後、新生血管の内皮細胞に選択的に集積する。そこへ網膜を焼かない程度の弱いレーザーを当てると、色素が光化学反応を起こし、血管内皮細胞を障害し、その結果、新生血管が閉塞する。光線力学的療法は2004年5月に厚生労働省から認可された。光線力学的療法では、いったん閉塞した新生血管が再発することが多く、繰り返し治療をしなければならない。日本では平均3回、治療が行われる。その過程で滲出病巣は退縮するが、結局はある程度の黄斑の萎縮を引き起こす。それでも無治療より視力低下が緩徐であることが証明されている。
また最近では、脈絡膜新生血管を誘発する血管内皮成長因子(VEGF)をブロックする抗VEGF薬が開発され、期待を集めている。
※
厚生労働省難治性疾患克服研究事業 網脈絡膜・視神経萎縮症に関する研究班
平成17年度研究報告書
岸 章治(きし しょうじ)
眼科PDT研究会 世話人
1976 群馬大学医学部 卒業
1979 群馬大学 眼科 助手
1981 イリノイ大学 眼科 研究員
1985 群馬大学 眼科 講師
1997 群馬大学 眼科 助教授
1998 群馬大学 眼科 教授
専門分野:網膜硝子体疾患
著書:OCT眼底診断学









全国病院・医院選び RSS