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特集記事: 2009年2月12日 [ 『いい病院 2009』 2009年2月12日 掲載 ]

高度生殖医療で可能性広がる 現代の不妊治療

【監修】医学ジャーナリスト 牧野 賢治

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10組に1組のカップルが不妊に悩んでいる

子どもが欲しいのに、なかなか授からない、いわゆる不妊症は、国際不妊学会では「避妊をせず健常の性生活を送っているにも関わらず、2年以内に妊娠しないものを不妊とする」と定義されている。避妊しなければ、1年以内に約80%のカップルが、2年以内に約90%が妊娠するといわれているため、残りの10%が不妊症である。国内で不妊治療を受けている患者は約47万人と推計されている(2002年度厚生労働省科学特別研究)。

不妊治療を始めるときは、検査でその原因を明らかにする必要がある。不妊症の要因は男女ともに持っており、その割合はほぼ半々といわれる。男性側の原因としては、精子の数が少ない、もしくは精子の運動量が少ない造成機能障害が約90%を占めている。そのほか無精子症や勃起不全(ED)などが挙げられる。女性側の原因は、排卵に問題がある排卵因子障害、卵管が狭くて卵子や精子、受精卵が卵管を通過できない卵管因子障害、子宮に問題がある子宮因子障害、子宮の中に精子を入りやすくさせる頚管粘液の量が少ない頚管因子障害などが挙げられる。

男性側の原因を探る検査には血液検査、尿検査、精液検査、性交後検査(排卵日の性交後に粘液頚管中の精子を確認する)がある。女性側の原因を探る検査には子宮卵管造影検査、通水・通気検査、子宮鏡検査、ホルモン測定、性交後検査がある。女性の体は月経周期内で変化するため、検査はそれぞれの時期に合わせて選ぶ。

高度生殖医療ARTとは

不妊治療では、一般不妊治療として、まず子宮内に精子が入って受精する自然妊娠を目指す。主な方法は、超音波検査での卵胞の観察や、基礎体温表から排卵日を割り出して性交の時期を計るタイミング法、採取した精子を子宮に注入する人工授精がある。また不妊因子ごとの治療として、排卵誘発剤の使用、詰まった卵管の拡大、子宮筋腫の摘出なども行う。

こうした一般不妊治療を1年以上続けても効果が表れない場合に医師が勧めるのが高度生殖治療(ART)だ。ARTとは体外受精・胚移植法(IV-FET)や顕微授精法(ICSI)、胚凍結などの技術を使って不妊治療を行う医療を指す。一般不妊治療と同じく、患者の不妊状況や原因に合わせた治療を行うため、最初に丁寧なカウンセリングと検査・診断を実施する。

体外受精・胚移植法は、卵巣から成熟卵を採取し、精子と一緒に体外で培養して受精卵(胚)を作り、数日かけて増殖させた後に子宮内へ移植する。受精の成功や胚の増殖を確認できるメリットがあるため、広く実施されている。顕微授精法では、顕微鏡で卵を見ながら精巣から直接抽出した精子を直接注入する。精子を用いることができるため、精子が少ない患者にも有効だ。

二人だけで悩む前に早期に受診する勇気を

こうした不妊治療技術の進歩により、以前に比べて妊娠の可能性が高まったが、まだ万能のものではない。とくに加齢に伴い生殖機能が低下する点は変わらないため、なるべく早くから治療を開始したほうが良い。ARTにより、適切な治療で妊娠できる道が開ければよいが、結果によってはあきらめなければならない場合もある。治療を受けるかどうか二人で話し合い、納得した上で検査を受けることが望ましい。男女のどちら側に原因があるのかわからないので、カップルで検査するほうが効率的である。原因を知り、適切な治療を受けることが大切だ。

【文/飛鳥 漣】

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