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特集記事: 2009年2月17日 [ 週刊朝日 2009年2月27日号 掲載 ]

現代人を煩わせる睡眠障害
塩見 利明

【特別寄稿】

愛知医科大学睡眠科・
睡眠医療センター 教授

塩見 利明 (しおみ としあき)

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睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP療法

近年では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を中心として、睡眠障害に対する認識が一般的に非常に高まってきました。SASは107種類ある睡眠障害の1つで、「呼吸が10秒以上停止する無呼吸の状態が、夜間睡眠中に1時間あたり5回以上生じるもの」のことです。SASの臨床症状は多彩ですが、その2大症状はいびきと日中の耐え難い眠気です。いびきは寝ている間に起きるため、自覚症状がないまま進行してしまうケースも少なくありません。また、「眠気は事故のもと」ですが、私は「眠気は生活習慣病のもと」とも主張しています。

実際、睡眠ポリグラフ検査によって診断したSASの入院患者を調べてみると、約10人に1人が過去5年間に居眠り運転事故を起こしていました。SASの重症患者が訴える耐え難い眠気は、居眠り運転事故の危険信号です。

SASに対する治療法の第1選択肢は、睡眠時に鼻マスクを装着する在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)です。これは、鼻マスクから圧力のかかった空気を送り込み、気道を広げ、無呼吸を防ぐものです。患者ごとに有効な圧力を設定して治療を行っていきます。わが国でも1998年から保険適用が承認され、現在までCPAPを用いたSASの治療は着実に普及してきています。さらに慢性の心不全に合併したチェーン・ストークス呼吸という睡眠呼吸障害の治療法として、2004年に在宅酸素療法(HOT)、2007年にはサーボ圧自動制御型人工呼吸器(ASV)の保険適用が認可され、循環器の領域でもSASの診断と治療は急速に広がっています。

生活習慣病との密接な関わり

SASは肥満に伴う生活習慣病、特に話題のメタボリックシンドローム(メタボ)とも密接に関連しています。例えば、我々のSAS患者、819人におけるメタボの合併頻度に関する検討では、男性が正常群で22%、SAS群で49.5%、女性は正常群で6.7%、SAS群で32%と男女とも、その合併頻度はSAS群に高率でした。この結果からもわかるように、SASなどの睡眠呼吸障害の適切な診断と治療を行うことは、肥満に関連して生活習慣病と呼ばれてきた疾病の1次予防につながります。また、SASは心血管病および脳卒中という2大死因の生命予後を左右する医学的な重要課題であるということが海外の研究で明らかにされており、さらに居眠り運転事故・災害などの抑制効果もあり得るため、社会的にも大変重要であるといえます。

専門家に相談して欲しい不眠症とナルコレプシー

その他の睡眠障害として、不眠症とナルコレプシー(居眠り病)が挙げられます。眠りにつくのが難しい入眠障害や、寝ている間に何度も目がさめる中途覚醒などの不眠症が、高血圧を引き起こすことがわかっています。つまり、SASと同じくこうした不眠症の治療が、高血圧の予防や治療につながります。また、日中強い眠気に襲われ突然眠り込んでしまうナルコレプシーは、会議中や会話中などに寝てしまうため、周りから怠けていると誤解されることが多く、社会的影響も少なくありません。

この他にも、睡眠障害にはさまざまな種類があり、適切な治療を受けるためには、専門の医師に診てもらう必要があります。いびきや日中の眠気で悩み、中年太りでウエストサイズが気になりだしたら、早めに睡眠医療の専門家にご相談ください。

塩見 利明(しおみ としあき)

愛知医科大学睡眠科・睡眠医療センター 教授

1978年 愛知医科大学 医学部 卒業。
89年 スタンフォード大学で睡眠医学を学ぶ。
循環器専門医、睡眠医療認定医。
2007年より日本睡眠学会 副理事長。

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