中高年男性に多い鼠径(そけい)ヘルニア
鼠径ヘルニアは、鼠径部といわれる太ももの付け根から腹膜(腹の内側を包む膜)や小腸、大腸の一部が飛び出し、瘤(こぶ)となって現れる病気で、脱腸とも呼ばれる。小児と成人の鼠径ヘルニアがあり、成人の場合は、加齢によって鼠径部の筋膜が弱くなった中高年男性がかかりやすい。
鼠径ヘルニアは、放っておいて自然に治ることは少ないため、根治させるには手術が必要になる。
早めに社会復帰できる腹腔鏡下ヘルニア手術
鼠径ヘルニア手術は、従来は鼠径部を50~60mm切開して筋肉の裂け目を縫い合わせる手術が行われていたが、引き寄せられた筋肉や筋膜が突っ張って痛みが強く、術後2~3日は安静にし、1週間程度の入院が必要だった。
これに対して、腹腔鏡下の鼠径ヘルニア手術は、腹腔鏡という内視鏡を使用して行う手術で、傷口が小さく、出血や痛みも少ない。1日の入院で済むため、早めに社会復帰ができる。
メッシュを用いた日帰りヘルニア手術
最近は、メッシュ(人工膜)状のシートでできた補強材を用いた日帰りヘルニア手術が注目されている。肉体的にも、精神的にも、経済的にも負担が軽減でき、QOL(生活の質)の向上も早い。
日帰りヘルニア手術の「メッシュプラグ法」は、鼠径部を40mmほど切開し、傘状の栓であるメッシュプラグを入れて筋肉の穴をふさぎ、上から別のメッシュをかぶせて補強する。「クーゲル法」は、形状記憶のメッシュを用いた手術法で、腹膜を元の位置に戻したうえで鼠径部を50mmほど切開し、筋膜の下に楕円形のメッシュを挿入する。すると体内でメッシュが元の形に戻って腹圧で固定されるため、縫い付ける必要がない。このほか、一体化した2枚のメッシュで筋肉の穴を上下からふさぐ「プロリン・ヘルニア・システム(PHS)」という手術法もある。
鼠径ヘルニアは、多忙のため我慢したり、恥ずかしい病気として受診を先延ばしにしたりしがちだが、場合によっては危険な事態を招くことがあるため、専門治療を行う医療機関で早めに受診することが大切だ。
【文/秋山 晴康】








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