アフリカ開発会議 横浜開催記念シンポジウム 〜緒方貞子氏講演会及びパネルディスカッション〜

 さる3月29日(土)、パシフィコ横浜会議センターにて、「第四回アフリカ開発会議 横浜開催記念シンポジウム」が行われた。参加者は定員の2倍を超える希望者から抽選となるなど、市民の関心の高さをうかがわせた。

 アフリカ開発会議(TICAD = Tokyo International Conference on African Development)は、日本政府が国連などと共催する国際会議で、93年の第1回以来5年ごとに開催。03年の第3回は、アフリカ諸国だけではなく欧米やアジアの各国、多数の国際機関から1000名を超える参加者を得て、わが国の外交史上類を見ない規模の国際会議に発展した。第4回はこの5月横浜市で開かれることになっており、本シンポジウムはそのプレイベントの一環だ。以下に当日の模様をレポートする。

 冒頭のあいさつは、TICADIVの横浜開催推進委員長でもある横浜市長・中田宏氏が行った。横浜市が開港150周年の大きな節目を迎え、国際都市としての更なる発展を目指すこの時期にTICADIVの開催地となったことの意義を強調した。

第1部 緒方貞子氏による講演 〜アフリカの開発と日本の役割〜

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JICA理事長・緒方貞子氏

 第1部では、JICA理事長・緒方貞子氏が「アフリカの開発と日本の役割」をテーマに基調講演を行った。氏は、21世紀に入って、紛争解決の面でも経済成長の面でも、アフリカ諸国の状況が大きく好転しつつあること、しかしそこにはまだ脆弱性が伴い、将来に向けて楽観できないことを指摘。そこで大きな役割を担うことになるTICADIVについて議論の柱となる3つの課題をあげた。

 第1の柱は「経済成長の加速化」。具体的には、国境を越える縦貫道路の建設が必要であり、JICAも関わっている「ワンストップ・ボーダー・ポスト(国境の通関手続き等を一本化・簡素化)」などのインフラ整備の取り組みが様々な面で成果をあげつつあることが紹介された。

 第2の柱は「人間の安全保障」。国内紛争が未だ各地で発生する現在、国家ではなく、ひとりひとりの人間に目を向けた安全保障が重要であるというこの考え方を、緒方氏自身が長年提唱し続けていることは周知の通り。ここでは、ITを含む理数系教育充実の取り組みなどが紹介された。

 第3の柱は「地球環境問題への対処」。アフリカ諸国は、砂漠化をはじめ、特に水資源に関わる深刻な問題を抱えており、国際的な取り組みの必要性が指摘された。

 そして氏は、7月の洞爺湖サミットに先立つTICADIVの意義の大きさ、日本のリーダーシップの重要性を強調。講演を締めくくった。

第2部 パネルディスカッション 〜アフリカの発展に貢献する横浜の役割〜

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JICAアフリカ部長 黒川恒男氏

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女優 紺野美沙子氏

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横浜市長 中田宏氏

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進行役 草野満代氏

 第2部のテーマは「アフリカの発展に貢献する横浜の役割」。JICAアフリカ部長の黒川恒男氏、国連開発計画(UNDP)の親善大使でもある女優の紺野美沙子氏、そして中田宏氏も参加、フリーアナウンサーの草野満代氏が進行役をつとめた。

 議論の中で黒川氏は、「人々の自立支援」「平和の定着」「経済成長支援」を柱とするJICAの様々な取り組みを紹介。具体的な事例として、ニジェールにおける住民自身による学校運営の支援、紛争が終結した地域における職業訓練、経済成長を支えるインフラ整備への支援などをあげ、住民への直接援助という手法が、彼らの生活の向上に確実に結びついていることを示した。さらに黒川氏は、「アフリカ諸国において、今後ますます重要性が高まる『港』というインフラについて港湾施設などの整備・充実というハードの面でも、マネジメントのノウハウというソフトの面でも、横浜は大きく貢献できるはず。」と述べた。

 紺野氏は、UNDPの親善大使としてガーナを訪問した際の体験を紹介。エイズ孤児をはじめ、親のない子どもたちを地域住民が協力して育てる仕組みなど、かつての日本人にも共通するようなアフリカの人々の心のありように感動する一方で、幼い頃から労働を強いられる貧しい子どもたちと日本の子どもたちを比べ、生まれた場所が違うだけでこれだけの格差ができてしまう現実に胸を締め付けられたと語った。「国際協力や援助は、電車でお年寄りに席を譲るのと同じことだと思う。まず身近な第三者に思いやりの心を持ち、それを、例えばアフリカの人々へと国境を越えて広げていけばいいのではないかと。」紺野氏はそう締めくくった。

 中田氏は、「アフリカを知る」「アフリカに貢献する」「アフリカをもてなす」をテーマとする、TICADIV開催に向けた横浜市の様々な取り組みを紹介した。なかでも、各国大使館の協力を得て推進している「一校一国運動」(市内55の小学校がそれぞれ一カ国を選び、その国について子どもたちに深く学ばせ、異文化との接触を体験させる)は、大いに参加者の関心をひいた。さらに、近年のアフリカ諸国と先進国との関係が、資源をめぐる経済的利益一辺倒のものになりがちであることを指摘、そのなかにあって、早くからより広い視点でアフリカの重要性を認識し、その開発の方向性を考えてきたTICADの先見性を強調した。そして「市民のみなさんも、横浜市が提供する多彩なイベントに是非参加して下さい」と呼びかけた。

 最後に草野氏が、「横浜市でTICADIVが開催されるこの機会が、私たちひとりひとりにとって、アフリカに触れアフリカを知るよいきっかけになってほしい」と締めくくってシンポジウムは終了した。