
前回は、一戸建てをとりまく外部環境、つまり立地と周辺環境について考えてみました。外部環境についての皆さんご自身のAttention(注意)、Interest(関心)を考えておくことは、ひいてはマイホームの資産性を高めることにもつながっていきます。今回は、その資産性というポイントについて、考えてみたいと思います。
一戸建ては土地が残るから、マンションよりも資産性が高い…なんて話を耳にしたことはありませんか?確かに、建物が滅失(なくなってしまうこと)しても土地が残りますし、土地そのものが老朽化するということはないので、その点に関してはマンションに比較して資産性が高いといえるかもしれません。
リバースモーゲージという制度(居住中のマイホームを担保にして、資金を借り入れ、生活費や福祉サービス費にあて、契約終了時や死亡時に資産を売却し精算する制度)がありますが、この制度でも一般的には、一戸建てが対象とされ、マンションは適用外とされていることが多いようです。ここにも一戸建ては土地が残るから、マンションよりも資産性が高いという観点があるのかもしれませんね。
ところで、一般的な日本の一戸建てやマンションなどは、建築から取り壊しまでの平均期間は30年。米国の55年、英国の77年という、他国の同平均期間に比較して短いといわれています。
この状況を鑑み、昨年末、国土交通省は、耐久性や耐震性に優れ、何世代にもわたって住み続けられる「200年住宅(長期優良住宅)」の普及促進策をより具体化させる動きを見せています。この200年住宅の定義はまだ、具体的にはなされていませんが、一定の基準を満たして200年住宅と認められる住宅については、登録免許税や不動産取得税、固定資産税の軽減措置を受けることができるようになる、など優遇措置が受けられる予定です。また、2006年に施行された住生活基本法でも「良質な住宅ストックの形成及び将来世代への継承」、「良好な居住環境の形成」、「国民の多様な居住ニーズが実現される住宅市場の環境整備」、「住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保」を基本方針として、良質な住宅と環境を創出し、消費者のニーズに合った住宅が市場に供給されることを目指しています。
土地が残るから一戸建ての方がマンションに比較して資産性が高いという視点は必ずしも誤りではありませんが、マンションにも敷地利用権という土地の所有権はあります。また、流通性という視点で資産性をとらえた場合、一般的には個別的要素の強いといわれる一戸建てに比較したときマンションの方が、流通性は高いといわれます。
どの視点で資産性を考えるのがいいのか、を考えるためには、まず、皆さんがマイホーム購入をする目的は何かということと、どのようなライフプランを描いているのかということを考えてみることが必要であると思います。

例えば、夫婦共働きなので職場へのアクセスが良い場所にマイホームをもちたい、とか、お子様が大きくなってきたからマイホームを購入しようと考えているが、お子様が独立された後は、マイホームを売却して都心に小さなマンションを購入しようと考えている、とか、お子様のご結婚を機に2世帯住宅に建て替えて代々住んでいきたい…等など、目的やライフプランによってマイホームの資産性を考えるポイントは異なってきますよね。
つまり、マイホーム購入の目的やライフプランによって、どの視点で資産性を重視するのか、ということは異なってくるといえます。
ただ、今後、先述の法律、税制の後押しにより、「建物そのものの質」の向上が期待されますので、マイホームを購入するにおいて、土地が残るから一戸建ての方がマンションに比較して資産性が高いという観点だけではなく、「建物そのものの質」についても注目し、長期的に資産性を有する不動産なのかどうか、という観点でも考えておく姿勢は重要度が高まっていくものであるといえます。
ここで、一戸建ての魅力として大きいのは、建て替えやリフォームの自由度が高いというポイント。確かに、購入当初から、耐久性や耐震性に優れているマイホームであることに越したことはありませんので、耐久性や耐震性などの一つの目安である、財団法人住宅保証機構などが行う保証の有無を確認したり、一戸建ての販売業者から建築資料を閲覧させてもらったりということも大切なことです。
ただ人によっては一戸建てが売り出されている、その状態よりも、更に耐久性や耐震性に優れた一戸建てを希望したり、更に住み心地のよい一戸建てを希望したり、という場合、究極的発想にたどり着くと、一から自分で建てる(注文住宅)ところに考えが及んでしまいますが、そのための初期費用もかさむものですし、土地購入からスタートする…ということは、思っている以上に大変な手間がかかります。
発想を転換させてみてはいかがでしょう。つまり、「最初から大きく費用をかけてマイホームを購入する」という発想から、「計画的に費用をかけてマイホームを育てていく」という発想に転換してみるということ。
基本的には建築確認等の基準を満たしていれば、耐久性や耐震性については過敏に考える必要はありませんから、新築建売住宅を購入した後、計画的にリフォームなどを施して、耐久性や耐震性を高めたり、仕様設備を充実させたり…ということも、一戸建てだからこそできること。
例えば、住宅を販売している時に、オール電化のマンションを見学してきたお客様が、オール電化マンションではないモデルルームのガスコンロを見て、「ウチだけIHクッキングヒーターをつけてもいい?ガスオーブンは残したままで…」とか、「窓を大きくしたいんだけど」なんて言われたこともありましたが、マンションではマンション全体の電力のキャパシティがあったり、原則共有部分に係るリフォームはできなかったり、と後からリフォームなどで自分の理想に近づけることには難しい面もあるものです。
しかし、一戸建てなら、丸ごと自分のもの。購入後IHクッキングヒーターの設備に変更するのも、外壁や外溝の変更をしたり、建て替えたり、等々、皆さんのライフプランに沿って、マイホームを理想の形に近づけるための自由度は大変高いといえます。
立地や環境、建物の質、等など、考えるポイントがマイホーム購入には多いものですが、次回は、マンションと比較しながら一戸建てのメリット・デメリットをまとめてみたいと思います。
いとう みき