
前回までに、いくつかの視点から一戸建ての魅力ってなんだろう?ということについて考えてきました。その中で、皆さん自身のAttention(注意)、Interest(関心)とは何か?について、大まかにでも把握することはできたでしょうか?今回は、そのまとめとして、マンションと一戸建てのメリット・デメリットを比較しながら一戸建ての魅力について考えながら、マイホーム探しのヒントを考えていきたいと思います。
一般的によく聞く「マンションと一戸建てのメリット・デメリット」には、次のようなものが挙げられます。(※あくまで一般論です。)
<メリット>
●一戸建て
庭を持てる/住宅の敷地を駐車場利用できる/ペットが飼える/リフォームや建て替えが自由 /管理費や修繕積立金がない/管理組合の煩わしさがない/住戸が密接していないので騒音問題が少ない/流通性が低い/土地が残る
●マンション
立地条件がよい物件が多い/比較的安価(一戸建て比)/セキュリティが充実/戸締りが簡単/気密性・断熱性に優れている/共用設備が充実している/眺めがよい
<デメリット>
●一戸建て
立地条件の悪い物件が多い/価格が高め(マンション比)/建物のメンテナンスは自己負担/窓が多いと戸締りが面倒/ 気密性・断熱性に劣る/建物が低いため日当たりの問題が起こりやすい
●マンション
個人の庭が持てない/管理費や修繕積立金がかかる/管理組合(集会等)への参加が必要/共用部分の改修が困難/機密性が高いため通気性が悪い/高層階では出入りが大変/流通性が高い
一般的によく言われるメリット・デメリットについて、すでにコラムの中でお話したことも含めて、列挙してみましたが、ご覧になられてどう思われますか?前回までのコラムの中で皆さん自身のAttention(注意)、Interest(関心)について考えて見られた方であれば、何をマイホームに求めるか次第で、皆さんにとってのメリット・デメリットというものは変わってくるものということがお分かりになるのではないでしょうか?
また、こうやって並べてみてみるとメリット・デメリットとは表裏一体であるということも改めてわかりますし、メリット・デメリットとして挙げられているものの中には、物件によって異なることも含まれていることに気付かれるのではないでしょうか。
今回は、一般的にいわれるメリット・デメリットのうち、「立地と価格」・「権利関係と維持管理」の2つについて、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
上記に挙げたメリット・デメリットの中で、まず立地については、「一戸建て」に関しては立地条件の悪い物件が多いなど、ややマイナス的な要素が挙げられることが多いですが、ホントでしょうか?
注意しておきたいのは、一般的にメリット・デメリット比較で使われる「立地」という言葉は、「利便性の高い立地」という意味で使われていることが多いということ。しかし、当コラム第3回で周辺環境についてお話した時にも少し触れましたが、「立地」および「利便性」というキーワードに皆さんが何を求めるのかで、そのキーワードがもつ意味は変わってきますよね。例えば、駅徒歩5分という利便性なのか、子育てに必要な施設が徒歩圏内に充実している利便性なのか、車で高速道路にアクセスしやすい利便性なのか、スーパーまで歩いて行ける利便性なのか、等々…。
また、「立地」には、単なる「利便性」だけではなく、街並みや住環境というキーワードもあるということも忘れないで下さいね。一般的な「利便性」、つまり駅からのアクセスの良さという点では優れていないエリアでも、美しい街並みは、交通アクセスという意味の利便性のモノサシだけでは計れない魅力もありますし、よくよく調べてみるとバス便といえどもバスの本数も多く、深夜バスまで走っていた…なんてエリアだってあります。
皆さんにとって、「利便性の高い立地」とは何なのか、何をもって「利便性が高い」と判断するのかの基準を明確にしておかないと、一般論に振り回されてしまうことになります。
価格については、土地を単独でまるごと所有する一戸建てでは、土地が占める割合が高いため、同価格なら土地を共有しているマンションの方が条件(専有面積の広さ、最寄り駅からの距離、等)が良くなるのは前提が違うのだから当然のことです。
立地と価格は大きな関連性があるものですが、一般論や見た目の価格に惑わされず、皆さんのAttention(注意)、Interest(関心)における「立地」とは何かを考えたうえで、「価格」に目を向け、安易に見た目の価格だけで安い高いといった比較をすることは意味がないことを知っておきましょう。
権利関係というと、堅くなりますが、要するに土地建物を共有するかしないか、ということ。一戸建ては、土地建物ともに全て自分のものとなりますが、マンションにおいては、土地を共有し、また建物についてもエントランスやエレベーターなど共用部分が存在します。そのため、マンションでは住民で管理組合を結成し、管理組合でマンション管理の方向性を決定することになります。
過去に構造計算書偽造事件があったことは、まだ記憶に新しいですが、万が一あのようなケースがあった場合にも、管理組合での話し合いが何回も重ねられ、建て替えるかどうかを決めていくことになります。
一方、一戸建てにおいては、土地建物ともに全て自分のものですので、敷地内の駐車場にお金がかかることもありませんし、管理費・修繕費などが徴収されることはありませんが、維持管理に関しては自分で計画立てて行っていくことが必要になります。
今回は、一般的にいわれている一戸建て・マンションのメリット・デメリットの比較という視点で見てきましたが、結局は物件次第ということもありますので、皆さんのAttention(注意)、Interest(関心)が何かを把握することが始めの第一歩。
ご主人と奥さま、お子様の中でご意見が分かれることも出てくるとは思いますが、笑顔がいっぱいのマイホームにするためにも、例えば週末に入ってくる新聞折り込みのチラシの物件などをきっかけにして、「この物件がこうだったらいいのに…。」、「何でそう思うの?」など、感想を言い合うことから始めてみると、堅く考えなくても、案外すんなりと、話し合いが進むかもしれません。
その上で、一戸建て・マンションそれぞれの特性を考えてみると、どちらが皆さんの希望に近いマイホームのカタチなのかは、自ずと見えてくるものです。
次回は、一戸建ての躯体構造について考えてみたいと思います。
いとう みき