「マイホームは、絶対一戸建て!」と考えている方の中には、憧れの住宅街に土地を購入して、家族みんなの希望を詰め込んだ、世界にひとつだけの住まいづくりをしたいと思う方も少なくないでしょう。しかし、いくらお金があったとしても100%希望通りの住まいを作るというのは難しいことも多いもの。なぜなら、住まいづくりは様々な法律の規制を受けることになるからです。
この法律やあの法律の規制がなかったら、希望通りの住まいが建てられるのに…と思った経験のある方もいるのではないでしょうか。しかし、一戸建てを含めたすべての建物について、「建てたい!」と考える人が好き勝手に、思い思いの建物を建築できることになったら、どうなるでしょう。確かに、皆さんの希望は100%かなうかもしれませんが、一方で、お子様の通う学校の隣に好ましくない商業施設ができたり、住まいの近隣に黒煙を発する大きな工場ができたり、という可能性もあるということになります。つまり、各種法律の規制がなければ、日当たりや風通し、街並みや住環境なども考慮されることない街が出来上がることになってしまうんですね。
今回からは、数回にわたり、住みよい街づくりのために定められている様々な法律による規制についてのお話をしていこうと思います。

<住居系>
第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域で、建物の高さにも制限があります。住宅の他には、店舗事務所兼住宅、小中学校、診療所などが建てられます。
第二種低層住居専用地域
主に低層住宅のための地域で、建物の高さにも制限があります。小中学校のほか,150平米までの小規模な店舗などが建てられます。
第一種中高層住居専用地域
中高層住宅の良好な環境を守るための地域です。住宅の他には病院、大学、500平米までの店舗なども建てられます。
第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅の良好な環境を守るための地域です。住宅の他には病院、大学などのほか1,500平米までの一定の店舗や事務所なども建てられます。
第一種住居地域
住居の環境を守るための地域です。住宅の他には3,000平米までの店舗、事務所、ホテルなども建てることができます。
第二種住居地域
主に住居の環境を守るための地域です。住宅の他には店舗、事務所、ホテル、パチンコ屋、カラオケボックスなども建てることができます。
準住居地域
主に道路の沿道に定められる地域で、自動車のショールームなど、いわゆるロードサイド店舗と住宅が混在しているエリアです。
<商業系>
近隣商業地域
近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の業務の利便の増進を図る地域です。住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。
商業地域
銀行、映画館、飲食店、百貨店、事務所などの商業等の業務の利便の増進を図る地域です。住宅や小規模の工場も建てられます。
<工業系>
準工業地域
主に軽工業の工場等の環境悪化の恐れのない工業の業務の利便を図る地域です。危険性、環境悪化が大きい工場は建てることができませんが、その他の用途であればほとんどの建物を建てることができます。
工業地域
主として工業の業務の利便の増進を図る地域で、どんな工場でも建てられます。住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
工業専用地域
専ら工業の業務の利便の増進を図る地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
市街化区域では、都市計画法に規定されるこれらの用途地域が適切に配置され、さらに建築基準法で、それぞれの用途地域ごとに、建てることのできる建物の用途や建ぺい率(敷地に対する建築面積の割合)・容積率(敷地に対する延床面積の割合)が細かく定められています。
検討している一戸建てが属する場所が、どの用途地域に該当するのかを知っておくことで、将来的にどんなものが近隣に建設される可能性があるのかの目安を得ることができます。まだ具体的に検討物件がないときは、都市計画図で、検討しているエリアがどの用途地域に属するのかを見ておくとよいでしょう。都市計画図は市・区役所などの都市計画課などで入手することができるほか、インターネットで都市計画図を閲覧できる自治体も増えています。
ところで12種類の用途地域のうち、工業専用地域以外の用途地域には住宅を建てることができますが、一戸建てに適している地域はどこなのでしょうか?一般的には、第1種低層住宅専用地域が適しているといわれます。先ほどお話をした各用途地域で、建てることのできる建物用途を上から順に見ていくと分かるのですが、第1種低層住居専用地域は、12種類の用途地域のうち一番制限が厳しい地域で、住宅以外に建てることのできる建物は極めて限られています。また、建ぺい率・容積率は他の地域よりも低く設定してありますし、建物の高さについても制限(10mまたは12m)があるため、隣の建物の影響で日当たりを確保できないという心配も少ないといえます。そのため、閑静な住環境を守りやすいという点において、一戸建てに適している地域といわれるのでしょう。
とはいえ、裏を返せば、生活利便施設へのアクセスは不便という面を合わせ持っていることもあります。また、住居系のエリアでないのに、実際の土地利用のされ方は住宅街となっているエリアもあります。用途地域をひとつの目安にしながら、最終的には実際にそのエリアを歩いて、皆さんの五感をフル活用して希望に沿うものか否かを確認してみるということは忘れないでくださいね。
いとう みき