戦後最大のミステリー・三億円事件の犯人とその動機、事件の謎を追い続ける刑事の執念、そしてついに迷宮入りとなった真相を大胆な仮説を交えて描いた話題の映画『ロストクライム―閃光―』。その公開に合わせて、朝日新聞とテレビ朝日が5日間連続の共同企画を掲載・放送する。ジャーナリストの鳥越俊太郎さんに、当時の記憶や事件の裏側について聞いた。

れは、ありふれた殺人事件のはずだった。映画の冒頭、隅田川で発見される絞殺死体。捜査にあたる所轄署の若手刑事・片桐(渡辺大)にとっては「よくある事件」のひとつと思われたその静かなプロローグは、今から42年前に日本を揺るがしたミステリー、三億円事件へとつながっていく――。
 1968年12月10日。東京都府中市で起こった現金強奪事件の第一報を、鳥越さんは毎日新聞新潟支局の記者として聞いた。

時の3億円は、現在の貨幣価値で20億~30億円に相当する。「僕が社会人になったのは事件の3年前で、初任給は1万8000円でしたから、3億円というのはピンとこなかったですね」
 降りしきる豪雨のなか、電機メーカー従業員4600人分のボーナス3億円を積んだ現金輸送車を、ふいに現れた白バイ警官が停車させる。偽警官とは知らない乗務員がたくみな言葉にだまされ車を降りると、犯人は運転席に乗り込みその場から走り去った。

行の手口は、映画でも忠実に再現されている。「誰も傷つけることなく、一滴の血も流していない。奪われた現金も保険でカバーされ、メーカーの実質的な損害はなかったと聞いています。その鮮やかな手口が明らかになるにつれて、これは犯罪史上に残る事件になると思いました」
 鳥越さんが「それまでのどんな犯罪とも違った」と語る事件は、捜査が進むにつれてますます謎の度合いを深めていくことになる。
 明日は「遺留品」について語ります。

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