染谷正弘氏による連載コラム。住まいのお役立ち情報や話題の街の文化・周辺環境などをご紹介します。
東京ベイエリアは、いまも進化し続けている。特に、豊洲がすごい。
2006年春、新交通システム「ゆりかもめ」有明駅〜豊洲駅が開通、さらに勝どきまで延伸予定だという。地下鉄・有楽町線で銀座までわずか3分という好立地にあって、臨海副都心の交通ネットワークに組み込まれ、ますますフットワークが良くなっていく豊洲。その豊洲が、いま街まるごと大変身中だ。
東京湾を埋め立て、海を大地に変えようという開発事業が本格的に始まったのが大正時代末期。そして誕生した新しい大地「埋め立て5号地」は、昭和12年に「豊洲」と命名される。その名には、豊かな恵みをはぐくむ水辺という意味が込められているという。
以来、豊洲は、造船、製鉄等の工業生産拠点として、さらに第二次大戦後は火力発電、ガス等のエネルギー供給拠点として、近代日本の発展に大きく貢献してきた。まさに、豊かな日本を築く原動力となっていたといっていいだろう。
生産と労働の街だった豊洲は、時代とともにその役割を終え、人が豊かに暮らす街にいま変わろうとしている。豊かに暮らすとは、日々生活が充実し、日々生活を楽しみ、日々リフレッシュでき、日々自分らしく生きること。それを可能にするのは、心身ともに「毎日リゾート」できる都市空間ではないだろうか。
まさにそんな都心立地の水辺リゾート・シティとして、豊洲はその新しい姿を現そうとしている。その目玉は、やはり造船所跡にできる巨大ショッピングセンター『アーバンドックららぽーと豊洲』(10月5日オープン)だろう。
この商業施設には、なんと183もの店舗が入るのだという。誰もが知っている有名店舗はもちろん、話題のテーマパーク「キッザニア」あり、映画館あり、イベントスペース・アートスペースありの、大人、お年寄り、子供、そしてペットの犬や猫まで、誰もが思い切り楽しむことができる21世紀のエンターテーメント・スペースになっている。
その水辺の商業エリアには、約1500戸の分譲マンションが隣接。駅前には超高層タワーの賃貸マンションも建ち、新しい豊洲(2、3丁目)には居住人口は22000人、就業人口は33000人想定されている。

ビジネスエリアには、IT企業を中心に21世紀のワークスタイルをめざして超高層タワー・オフィスビル群が建ち並ぶことだろう。また、文教エリアには、すでに芝浦工業大学・豊洲キャンパスがオープン、若者たちはキャンパスライフを謳歌している。
新しい豊洲の一番の特徴は何だろう。それは、たくさんのセミパブリック・スペースがあることだと思う。「私(プライベート)」であって「公(パブリック)」でもあるセミパブリック・スペース。その集積こそが、都市全体を緑豊かにし、都市の豊かな暮らしをサポートする。
天空に伸びる超高層ビル群だからこそ、その足元には緑豊かなオープンスペース(公開空地)が広がる。そこは、私有地だけども公(おおやけ)の広場、遊歩道、公園として誰もが楽しめる都市空間、つまりセミパブリック・スペースとなっている。大学のキャンパスも、商業施設も、ある意味セミパブリック・スペースといっていい。
都心立地だから、通勤時間は少ない。その分、自分の時間がうまれる。その時間を自分らしくデザインする。その舞台こそ、セミパブリックス・ペースだ。豊洲は、リゾート感覚あふれる豊かな都市生活を実現する水辺のリゾート・シティにいまなろうとしている。
染谷正弘(そめや・まさひろ)