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コラム

染谷正弘氏による連載コラム。住まいのお役立ち情報や話題の街の文化・周辺環境などをご紹介します。

街の記憶:大宮・・・伝統と先進のビックターミナル・シティ

大きい宮、大いなる宮居、さいたま市の大宮をそう読み解くと、大宮はなんてありがたい名前をもつ街なのだろうと思えてくる。

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神々がおわします場所を宮居(みやい)という。その宮居は、武蔵国一の宮・氷川神社(写真)。このありがたい宮居を、「大いなる宮居」、「大きい宮」と呼び慣わすうちに、いつしか「大宮」と呼ばれるようになった。それが、大宮という地名の由来だという。

その昔、現在の埼玉県を中心に東京都の一部(隅田川以東)と神奈川県の一部(川崎、横浜)を合わせた地域は、武蔵国(むさしのくに)と呼ばれていた。その武蔵国で、最も格式が高く伝統ある古社が、この大宮の氷川神社だった。その建立は2000年以上も前のことだという。人々が、それほどの悠久の昔から、この地に神々の霊を感じ惹きつけられてきことに、あらためて驚きを感じる。

大宮は、平安時代の頃にはもう氷川神社の参道を中心に集落ができていて、門前町として大いに賑わっていたらしい。江戸時代に入ると、中山道の宿場町として整備、拡張され、大宮宿としてさらに発展、賑わいをみせていたという。中山道を通る旅人は、この氷川神社に立ち寄り、旅の安全を祈願したことだろう。

大宮駅の開設は明治18年。それから120年を経て、大宮駅は、日本の北方面への玄関口として、関東首都圏でも屈指のビックターミナル駅へと大きく変貌をとげてきた。

大宮駅は、とにかく大きい。JR、私鉄を合わせると、14もの鉄道路線がこの駅に結束している。だから、大宮は地の利がいい、フットワークがいい。

特に、新幹線。北陸、東北、長野方面への路線はすべてこの駅から分岐していて、ビジネスにはもちろん、春夏秋冬のレジャーや帰省にはとても便利だ。埼京線が開通してから都心への通勤も楽になり、最近は東京を越えて湘南方面とも直結し、大宮を拠点にした首都圏内の交通時間距離はどんどん短くなっている。

そんな大宮駅のなりたちが、また面白い。地下には埼京線、地上1階には近・遠距離の各路線、3階には新幹線のプラットホームがあり、屋上は巨大な駐車場になっていて、自動車と鉄道の乗り換えが容易でとても便利。また、改札口のある2階にはお洒落な店が並ぶショッピングモール「エキュート大宮」があって、駅の構内にいることを忘れてしまうほどに華やかだ。そして、改札口に面する巨大なコンコース。駅の東口と西口をつなぐその大空間は、いつも人であふれかえっている。

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大宮駅の東口と西口では、全く違ったふたつの街の顔を見せていて、全く違った都市文化を体験できる。それが大宮のもうひとつの面白さだろう。一言でいえば、東口は伝統の旧市街、西口は先進の新市街だ。それはヨーロッパによくある都市形態でもある。新旧の良さを共存させる街づくりをさらに上手に進めてほしいと思う。

氷川神社や中山道があるのが東口。参道や街道を中心に発展してきたのが大宮だから、もともとは東口が大宮の表玄関だった。いまもアーケードがかかる東口駅前商店街は、ヒューマンスケールだけどどこか雑然としていて、迷路のような横丁もあり、日本はアジアだということを思い出させてくれる独特の雰囲気を残している。決して美しい街並みとは言えないが、どこかレトロでノスタルジック、この個性はいずれこの街の貴重な財産となる予感がする。

東口とは対照的に、先進的な都市の顔を見せているのが西口だ。駅のコンコースは、西口駅前広場となるペデストリアンデッキ(人工地盤・写真)へと連続し、さらに中空廊下へと分岐、駅前大通を中空で横断しながら高層ビル群へと伸びていく(写真)。

ペデストリアンデッキの真下は、ノンストップで成田空港や羽田空港へ直行するリムジンバスも発着するバスターミナルとなっていて、明快な歩車分離の近代都市計画が実現されている。だからだろう、その景観はどこか近未来的な感じもする。

その西口駅前ビル群のなかでひときわ目立つシンボルタワーが「大宮ソニックシティ」。大小のホールや国際会議場、ホテルなどの商業・文化施設をあわせ持つその超高層複合ビルは、大宮の伝統のシンボルが氷川神社なら、いまや大宮の先進性のシンボルになったと言っていい。

西口駅前再開発が始まってすでに久しい。これまでは、商業、オフィス、文化施設ばかりが建てられてきた。都市は人が住んでこそ、都市だろう。いま、ようやくこの西口駅前にも超高層マンションが建てられようとしている。伝統と先進が共存するビックターミナル・シティ大宮は、これからもさらに進化を遂げていくことだろう。

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染谷正弘染谷正弘(そめや・まさひろ)
建築家 DSA住環境研究室代表 文化女子大学講師
戸建住宅や集合住宅の設計を中心に、住まいづくり、街づくりにたずさわる。
「コミュニティーをデザインする」という発想のもと、大規模集合住宅のデザイン・プロデュースを数多く手がける。
(株)DSA住環境研究室:http://www.ds-architects.co.jp