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マンション購入ガイド

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マンション購入のポイントや住宅ローン、設備に関して解説します。
賢いマンション購入のためのノウハウとアイデアをご紹介。

第20回住環境を左右する用途地域を知る

終の住み処としてマンションを選ぶ時は、できれば周辺の環境が大きく変わる可能性があるかどうかも確認したいところです。しかし、遠い先のことなどわからない・・・?いいえ、一つの目安になるものが、「用途地域」なのです。

地域の大まかな“方向性”は、既に決められている

マンションは、各都道府県が「都市計画区域」として設定したエリアのうち、「市街化区域」に建てることができます。

都市計画は、都市計画法第5条で、次のように定義されています。

「都道府県は、市又は人口、就業者その他の事項が法令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。」

国土をどのように利用するかは、まず各都道府県が調査しながら決定していくわけですが、“都市として総合的に整備し、開発”する方向性で決定されているエリアが、都市計画区域と言えます。

「市街化区域」とは、次のような区域を言います。

「すでに市街地を形成している区域および、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」

従って、マンションが建てられる地域は、現在人口集積しているか、今後集積していく“市街地”であると言えます。

国土はさらに細分化されて、各市町村が「地域地区」として区分けし、その地域地区をどのような用途や形態で使うことができるかを定めています。それが「用途地域」の指定です。

「用途地域」には、住居系の用途7種類、商業系の用途2種類、工業系の用途3種類の指定があり、それぞれ、開発や建築のあり方が制限されています。(一部、「用途地域」の指定のない土地もあります。)

マンションのパンフレットや広告物の、「物件概要」で、マンションの敷地の「用途地域」をチェックすることができます。さらに各市町村の役場で、「都市計画図」を入手することができ、それには、各市町村の全域で指定されている用途地域が記載されていますので、気になる場合は確認してみましょう。

用途地域を見れば、環境の可能性がわかる

どのような用途地域に、どのような建物を建てられるのか、また建てられないのかは、「建築基準法」で下記のように条件が定められています。

「住宅」であるマンションは、工業専用地域以外はどこでも建てられることになっています。ただし、一部の用途地域内では高さ制限などがあり、“どのようなマンションなら建てても良いのか”は、用途地域ごとに制限があるというわけです。

さらに用途地域によっては、現在は“住宅街”と言える環境にも関わらず、将来は大型スーパーや風俗店、あるいは工場が建つ(建てられる)、ということもあるわけで、用途地域によっては、今後、“住宅街”とは言えない賑やかな環境になっていく可能性もある、ということです。

<用途地域の種類と、用途の制限>
住居系 第1種低層住居専用地域(1低専) 3階までの低層住宅、50平米までの店舗兼用住宅あるいは事務所兼用住宅、図書館、保育園・幼稚園・小・中・高校は建てられる。静かな住宅地と言える。
第2種低層住居専用地域(2低専) 上記の他、150平米までの店舗、飲食店は建てられる。
第1種中高層住居専用地域(1中高専) 中高層住宅中心の地域と言える。500平米までの店舗や 飲食店、専門学校や大学、病院が建てられる。
第2種中高層住居専用地域(2中高専) 上記の他、1,500平米までの事務所、店舗や飲食店が建てられる。
第1種住居地域(1住居) 3,000平米までの事務所、店舗や飲食店、スポーツ施設、ホテルが建てられる。
第2種住居地域(2住居) 上記の他、パチンコ店、カラオケ店、ホテルが建てられる。
商業系 準住居地域(準住居) 利便性の良い大きな道路に面した地域などに多い。200平米未満の映画館や劇場、小規模工場や倉庫業の倉庫、自動車車庫が建てられる。
近隣商業地域(近商) 上記と同様で、住宅地に隣接した、商業施設が集積された地域に多い。
商業地域(商業) 商業の利便施設が集積する地域。映画館や劇場、風俗店と称される「ダンスホール・キャバレー・料理店」に属する店舗が建てられる。
工業系 準工業地域(準工) 上記の他、中規模工場まで建てられる。
工業地域(工業) 工業施設が集積できるように図られた地域が多い。大規模工場が建てられる。学校や病院、ホテル、映画館や劇場、風俗店は建てられない。
工業専用地域(工専) 積極的に工場を集積できるよう図られている地域。上記の他、住宅も建てられない。
用途地域ごとに制限されている、建物の形態

建築基準法では、各用途地域ごとに、

・「建ぺい率(建物の、建築面積の敷地面積に対する割合)」
・「容積率(建物の、各階における床面積の合計)」
・「建物の高さ(低層住居専用地域の場合、建物の外壁の後退距離の制限もある。)」
・「斜線制限(敷地の境界に接して、高い建物が建たないようにする制限)」
・「日影制限(中高層の建築物について、日影を一定時間以上生じさせないことを規制して、住居系用途地域の日照を確保する)」

などを制限しています。実際、どのような制限になっているのかは、建築基準法に詳しい専門担当者に聞くなどで、知識を得るのが良いでしょう。

販売されるマンションの建物が、敷地に対して、制限ぎりぎりの建築面積や高さで建てられている場合、次の立て替えの時には、それ以上、住戸数を増やすことができないことがあります。その場合は、立て替えの際に、新たな分譲住戸を作ることができず、従って分譲利益によって立て替え費用の一部を捻出するといった対策がとれず、所有者だけによる立て替えになることが予想できます。

マンションの敷地の用途地域は一つではないことも

マンションの敷地は、幾つかの異なる用途地域に分かれている場合があります。例えば、大きな道路に面している部分と、その奥の閑静な住宅街の部分では、一つのマンションの敷地なのに、用途地域が異なっていることがあるのです。もともとは複数の地権者がいた土地を、一つにまとめた敷地の場合、そのようなことがよく見られます。

周囲が閑静な住宅環境でも、敷地の一部が低層住居専用地域、一部が商業地域だった場合、商業地域の敷地面に隣接して、商業施設が建てられることがあるということです。注意してチェックしましょう。

マンションの敷地が複数の用途地域になっている場合、それぞれの用途地域ごとに、「棟」が建てられることがあります。例えば、第1種低層住居専用地域の部分には3階建ての棟、商業地域の部分には、5階建ての棟、という2棟建てのマンションもよく見かけます。

これは、用途地域ごとに建築の条件が異なるからです。その場合、建築許可はそれぞれの建物ごとで許可されており、立て替えの際も、それぞれの敷地部分の制限に基づく立て替えにしなければなりません。

用途地域を知ると、マンションの敷地や周辺地域の、本来の性格がよくわかります。今はどのような環境であれ、将来の可能性を含んでおくことは、重要なことですね。

神ひとみ神ひとみ(ジン ヒトミ)
株式会社メイプルノア代表取締役
1964年東京生まれ。リクルート、浜野商品研究所などを経て、1996年よりマーケティングプランナーとして独立。分譲マンションの販売計画、広告デザインと共に、より良い住まいのあり方をディベロッパーに企画提案している。滞在型市民農園(クラインガルテン)の事業プロデュースは1994年から。田舎の農園で暮らすセカンドライフを提案している。