マンション購入のポイントや住宅ローン、設備に関して解説します。
賢いマンション購入のためのノウハウとアイデアをご紹介。

マンションは、引き渡し後の管理や修繕の責任は、住民(区分所有権所有者)にあります。管理会社に委託はするものの、管理会社の仕事をチェックすることは必要です。マンションを購入したは良いが後々苦労することがないよう、管理や修繕についての知識を得ておきましょう。
分譲マンションは、区分所有権所有者で「管理組合」が作られることになっており、引き渡し後は、区分所有者は自動的に組合員になります。管理組合ができることは「区分所有法」に定められていますが、マンションを購入する前に説明されることはまずないと言って良いでしょう。管理組合で何をしなければならないのか、何ができるのかは、あくまでも購入者=区分所有者の責任範囲と心得ましょう。
管理組合は、区分所有権所有者から集められた管理費や修繕積立金の管理をします。管理責任者として理事長が担当しますが、使途についての会計報告を受け、会計についての責任を持つのは、全組合員の責任です。
管理組合は、入居のルールや管理・修繕、さらには建て替え等に関して、管理組合員が集会を開いて話し合い多数決で決定します。管理組合員は、区分所有者であると共に、議決権の所有者です。議決権とは、原則として専有面積の床面積の割合で決まります。50平米の専有面積の区分所有者が議決権が1つあるとしたら、100平米の専有面積の区分所有者には2つの議決権があります。
管理組合が決定できる事項には、重要度から「普通決議」と「特別決議」とがあり、決定に必要な区分所有者数・議決数が決まっています。集会には、区分所有者が出席して議決権を行使するわけですが、あらかじめ賛否を記した書面の提出や、委任状を持参した代理人による議決権行使も認められています。
| 決議の要件 | 決議できる事項 | |
| 特別決議 | 区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数の決議により決定 | ・建て替え決議 |
| 区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数の決議により決定 | ・建物の価格の2分の1を越える共用部分の滅失の場合の復旧 | |
| ・建物の敷地、付属施設、共用部分の変更(形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く。) | ||
| ・管理規約の設定、変更、廃止 | ||
| ・管理組合法人の設定、解散 | ||
| ・悪質な義務違反者に対する専有部分の使用禁止請求、区分所有権の競売請求の訴え | ||
| ・占有者に対する引渡請求の訴え | ||
| 普通決議 | 区分所有者および議決権の各過半数の決議により決定 | ・建物の敷地、付属施設、共用部分の管理 |
| ・管理者の選任および解任 |
例えば、マンション管理のルールを定めた「管理規約」や、管理を委託する「管理会社=管理者」は、マンションが販売される時点で、事業主によって既に決まっている場合が多いのですが、それらは、実は管理組合の議決によって変えることが可能だということを覚えておくと良いでしょう。
意外と知られていないのが、管理組合の法人化です。例えば大規模修繕が必要になった場合、積み立てている修繕費では費用が足りないことがあり、金融機関からの借り入れが必要になります。その場合に、管理組合を法人化(管理組合法人)すると、借り入れを受けることが可能です。(借り入れには各金融機関の審査があります。)
マンションの中には、管理や修繕への配慮がある物件もありますので、ぜひチェックしてみてください。
■住民が自由に使える集会室
管理組合の集会は、住民全員が参加することが望ましく、建物内に集会室があると便利です。集会室は住民が自由に使えるため、管理会社や建設会社を招いて説明を受けるなどもしやすくなります。
■定期点検サービス
大手ディベロッパーのマンションでは、事業主の系列の管理会社が起用されることが多く、その場合、各住戸の定期点検や点検の記録がアフターサービスとして組み込まれている場合があります。しっかりした定期点検は、不具合をこまめに修理していくことにつながり、マンションの耐久性・資産価値を高めることになります。
■定期点検や修繕がしやすい二重床
住戸内の上下階の間に通っている配管や配電は、住戸内の床下、つまりフローリングやクロス敷の床とコンクリート床スラブの下にあります。二重床を採用している場合は、フローリングやクロス敷の下に配管や配電があるため、定期点検が行き届き、取り替えや修繕がしやすいメリットがあります。
■給水管が取り替えやすい「さや管ヘッダー工法」
二重になった樹脂製の給水管です。劣化した中の配管を取り出せるため、非常に交換しやすいのです。樹脂製のため、折り曲げやすく、つなぎ目がないため、水漏れがしにくいメリットがあります。ヘッダーとは、給水・給湯を管理するユニットのことで、途中で分岐を設けることなく各水栓まで直接、給水・給湯をするシステムです。水量や水温変化を受けにくい他、取り替え工事もしやすいものです。
管理のトラブルの多くは、管理会社のサービスの悪さ。修繕のトラブルの多くは、修繕費が足りなくなることです。多くの場合は、最初に試算されていた修繕よりも、実際には費用がかかってしまうことになるケースで、その費用は、積立金を値上げするなどして、区分所有権所有者が拠出しなければならなくなります。
管理組合自身のお金にまつわるトラブルも少なくありません。徴収された管理費や修繕積立金の会計報告が滞っている場合、管理組合の理事長が管理費や修繕積立金を使い込んでいたり、代行徴収した修繕積立金を、管理会社が自社の資金繰りとして使ってしまっていたなどのケースがあります。いずれも裁判に持ち込むことは可能ですが、理事長が自己破産したり、管理会社が倒産すれば、まず戻ってくることはありませんので、管理組合でのチェックが重要です。
■修繕費用の明細が曖昧
建設会社に依頼した修繕費用の一部が、実は管理組合の理事長や理事にキックバックとして渡っていることは良くあります。中・大規模マンションの場合は、最初から第三者のチェック機関として、弁護士、税理士、コンサルタント会社、設計事務所などを入れ、見積や会計をダブルチェックする防衛策をとるのが良いでしょう。
■管理の品質が悪い
管理が行き届かない場合の多くは悪質な管理会社であることが多く、委託料がサービスの割には料金が高い設定になっていることもあります。日々の管理記録、定期点検や保守メンテナンス、修繕の記録は全て保管することが必要ですが、それがずさんな場合、査定にも影響します。管理組合で議決をとり、管理会社を変更するケースは増えています。
■機械式駐車場の建て替え
5年ごとの塗装、10年ごとの部品取り替えなどのメンテナンス費用がバカにならない機械式駐車場。駐車場利用料は管理費に組み込まれて管理会社への委託料に充てられ、メンテナンスは区分所有権所有者が負担する修繕費で賄うことになっている場合もあるため、修繕計画にはあらかじめ目を通しておくのが良いでしょう。大規模修繕が必要になった時に、思い切って撤去して自走式駐車場に立て替え、メンテナンス費用をカットする収支に切り替えたケースもあります。
■「排水管の取り替え」という長期修繕
給水管と比べて排水管の取り替え時期は長く、30年くらいの場合があります。短期・中期的な修繕には組み込まれておらず、長期的には必要になるものです。実際には計画よりも早期に取り替えが必要になることがあり、その場合には高額な取り替え費用がかかります。従来より前倒しで取り替えを想定しておくべき項目の一つになっています。
■修繕積立金の資産運用
大規模マンションの場合、長期修繕計画に向けて修繕積立金を資産運用するケースがあります。定期預金の他、マンション修繕債権積み立て「すまい・る債」、積み立てマンション保険の利用は増えていると言われています。ただし運用商品によっては大切な資金が元本割れする問題も出ています。管理組合で運用に関する責任の所在を明確にし、万が一の場合の理事長の個人免責を規約にしておくことなどが重要と言えます。
管理組合ができること、すべきことを心得ておくと、例えば定期的な保守点検をきちんとするようになり、小規模な修繕を積み上げることで、マンションの劣化を防ぎ、資産価値を上げるなどの効果が期待できます。あらかじめ決まっている管理も、管理組合でチェックすることで、本当に住み心地の良いマンションにすることができるのです。
神ひとみ(ジン ヒトミ)