マンション購入のポイントや住宅ローン、設備に関して解説します。
賢いマンション購入のためのノウハウとアイデアをご紹介。

家族構成やライフスタイルが様々になってきた昨今、マンションの設計が実際の購入者にとって、ちょっと合わない、使い勝手が良くない、という声が聞かれることが多くなっています。購入する住戸を自分好みの設計に変えてもらうことはできるのでしょうか。マンションの設計変更で、できること、できないことを確かめてみましょう。
マンションのモデルルームや図面を見て、間取りや設備に、ちょっと使い勝手が良くないなと感じることがあります。マンションを早く売るために、購入層が多く、購入ニーズの高い間取りや設備配置を想定して設計しているためです。
しかし今や、生活者の家族構成やライフスタイルはそれぞれです。一昔のように、「子供1人か2人で、妻は専業主婦、夫は家で仕事をしないサラリーマン」というモデル家族ばかりではありません。
例えば子供がいない夫婦で、「LDや居室が広くウォークインクローゼット付きの2LDK」を希望している場合。総面積が広い郊外のマンションの多くは3LDKで、一つの居室は広くても7?8畳。3LDKの住戸を設計変更し、LDに続く居室をなくして広いLDにしたり、2つ分の居室を、ウォークインクローゼット付きの広い居室にしたいという希望は少なくありません。
また、お菓子やパンを作りたいのでキッチンのカウンタートップを広くしたい、あるいはホームパーティーのために大人数の料理をしたいので広いキッチンが欲しい場合、対面カウンター型キッチンのカウンターを取り払い、ダイニングと一帯のオープン型やアイランドキッチンにしたい人もいます。
実は新築分譲マンションの設計変更は、ケースによっては決して不可能ではありません。まずは率直にモデルルームで相談してみることです。そのためにも、新築分譲マンションならではの制約をあらかじめ知っておくと、交渉がしやすいでしょう。
新築分譲マンションの設計変更は、可能ではありますが、希望する内容や条件によって「設計変更できるケース」と「設計変更できないケース」、「受けられる物件(ディベロッパー)」と「受けられない物件(ディベロッパー)」がいるということです。
マンションには、「共用部分」と「専用部分」があり、区分所有者が設計変更できるのは「専用部分」です。ただし住戸内でも、外観に出てくる部分、例えば玄関ドアや開放部のサッシは、変更することができません。これは、購入した後のリフォームも同様です。
マンションには、階層の上下が同じ構造になっている必要があるため、構造上動かせない部分があります。駆体=柱、梁、戸境壁、床、天井の厚さは全体設計に関わる部分なので変更できません。隣戸と調整しながら住戸の総面積を増減させることや、上階と調整しながら天井を高くすること、その住戸だけ梁をなくすことはできないということです。
上下に配管を通す給水管、排水管、ガス管は、「パイプスペース=PS」という部分を通って、いったん住戸内に入り、キッチン、洗面化粧台、浴室、トイレに配されています。トイレの汚水管は他の生活排水とは独立しており、そのためパイプスペースも2カ所ある住戸があります。床が二重床になっていない場合、配管はコンクリートの梁や壁の中を通ることになり、そのルートはほとんど動かせません。
多くのマンションは、パイプシャフトが住戸内に位置しており、住戸内の配管ルートを動かせないため、水回りの位置の設計変更ができないのです。
設計変更が可能なのは、水回り以外の空間部分の設計変更、つまり間取りや収納部分の変更です。それに伴い、電気コンセントの位置や電話回線のジャックは、パイプスペースでいったん住戸内に引き込んでおいてから床下や壁内で配線をするため、動かすことは可能です。
設備や内装はどうでしょうか。ありきたりの設備ではなく、システムキッチンやバス設備を好みのメーカー、デザインのものにしたい、気に入った色やデザインのクロスにしたい、ドアや床を変えたいといったことは可能でしょうか。床暖房にすることはできるでしょうか。
実際には、それらの設備や内装を変更することは、技術的には十分可能です。リフォームが可能なことは、購入前でも可能なのです。しかし実際には制約がある場合が多いです。それはなぜなのでしょうか。
技術的に設計変更が可能でも制約となる一番大きな点は「工期=工事のスケジュール」です。工事には手順があり、下階から順番に仕上げていきますので、同じ作業を同じ階で行う必要があります。
また既に仕上がってしまった行程で設計変更をする場合は、技術的に可能であってもリフォーム扱いになってしまうため、場合によってはいったん引き渡してから、リフォームとして請け負うことになります。
実は多くのマンションは、技術的にも工期としても可能なはずでも、設計変更を受けません。それはなぜなのでしょうか。
マンションはたくさんの住戸分の建材、設備、内装材を一括発注することによって、材料費や建設業者の人件費のコストダウンを図っています。幾つかの住戸が設計変更によってその設備や内装を使わくなっても、既に一括発注されたものはキャンセルできないことが多く、また、他の住戸と異なる工事をする場合、建設業者の手間が余計にかかることになります。
個別の希望を受けるという細かい仕事になる設計、小ロットの建材や設備の手配、業者への連絡、個別の施工・内装の行程調整や監理監督といった様々な業務を受けるとなると、かなりの割高な別料金をとらなければ合わなくなります。そのため多くのマンションは、技術的にも工期としても可能であっても、設計変更を受けたくないのです。
しかし中には、最初からある程度の設計変更=用意された中から選ぶというサービスを用意している物件があります。住戸タイプごとに、幾つかの間取りプランから選べる「プランメニュー」や、システムキッチンのデザインや面材の色、フローリングの色やクロスのデザインを選べる「セレクトメニュー」などです。
最近では、ウォークインクローゼットやDEN(書斎)が欲しい場合に、1つの居室をつぶしてそれらのスペースにしたり、壁面の一部を造り付け収納にしたりという、その住戸だけの特別な設計変更を受ける「プランオーダー」のある物件もあります。
やはり生活する側の好みが取り入れられるサービスは人気が高く、特に間取りのプランメニューは、様々な家族構成やライスタイルの要望に応えることができるため、ディベロッパー側にとっては販売しやすいというメリットがあります。
しかしその場合も、受けられる時期は、発注や工期の日程として決まっており、それ以降は原則として受けません。
最初から用意されたサービスでも、料金は様々なケースがあり、販売価格の中に組み込まれている料金の中でできる無償な場合と、オプション価格として別途料金が必要な場合があります。特に「プランオーダー」の場合は、設計料も含めて料金も個別に異なりますので、最初に見積をとり、早めに検討、決断する必要があります。
マンションの躯体=柱、梁、戸境壁、床、天井を「スケルトン」、住戸内の空間、設備、内装を「インフィル」と称し、その2つを分離させた設計が、「スケルトンインフィル(SI)工法」です。
スケルトンインフィル工法は住戸内に柱や梁がほとんど出ませんし、何よりもパイプスペースを住戸外の共用部分に設け、配管を床下(二重床)に通すため、住戸内の間取り設計は、水回りも含めて自由にすることが可能です。
この工法を用いているマンションは、最初から住戸設計をオーダー設計にしている物件もあります。割高にはなりますが、自分の暮らし方に合わせた住空間を望む人は、スケルトンインフィル工法のマンションなら、かなりの部分で希望が叶うでしょう。
マンションの快適さは、自分が暮らしやすいか、という点の一言に尽きます。そのためには、ある程度、自分の生活の仕方や好みに合った設計が欲しいところです。間取りプランのバリエーションも含めて、きめ細かい対応が可能なマンションが増えています。ぜひいろいろな物件を研究してみてください。
神ひとみ(ジン ヒトミ)