マンション購入のポイントや住宅ローン、設備に関して解説します。
賢いマンション購入のためのノウハウとアイデアをご紹介。
大手の本屋さんに行くと、「賢いマンション選び」とか「絶対失敗しないマンション選び」、「ダメマンションを買わないために」などのタイトルが目につき、そんなにマンション選びって大変なのかと嘆きたくなってしまいます。これらの本の著者の多くが、実際にマンションのお仕事に携わっている方が多いのですが、その職業はいろいろです。
著者がなぜそんなにマンションに警告を発しているのかがわかるようになると、解説本の見方も変わってきます。著者のプロフィールや立場を客観的に見ながら、“賢いマンション解説本選び”をしましょう。

解説本は、ぎょっとするようなタイトルに惹かれて思わず手に取ることが多いでしょう。しかしまず見ていただきたいのは著者のプロフィールです。
多くの著者の前身は様々ですが、マンションに関わる仕事を経て独立して自分の事務所を持っており、そこでマンションに関わる仕事をしています。設計事務所、不動産鑑定士、フィナンシャルプランナー、税理士、司法書士、そしてコンサルタント等です。
プロフィール覧には、必ず著者への連絡先があります。内容についての質問を受け付けるためでも、本を読んで共感を持った方からの励ましの手紙を受け付けるためではありません。著者への仕事の依頼をしたい人からのコンタクトを受けるためです。
中には著者が主催する「会」のようなものが紹介されていることがあります。登録すると様々な情報がメールでもらえるとか、セミナーに参加できるものです。女性による女性がマンションを選ぶノウハウを教えるセミナー、ローンの組み方や節税対策セミナーなど、一般の人にとっては、マンション販売業者やディベロッパー、銀行が主催するものではないので安心感があります。
本の出版とは、著者が自身が持つ仕事のノウハウを公開し、顧客を増やすと共に、出版物があることで顧客に信用していただくということなのです。著作がある人に対しては、「本を出している先生」という見方になりますよね。
自身の持つノウハウをまとめ、自身のノウハウをより仕事に結びつける「広告宣伝」「集客」の一つとして著作を出している人が少なくないということを、念頭におくと、本の見方が変わってくるのです。
マンションに関わる仕事といっても、「売る側」ではない職業の場合、マンションの存在そのもの、マンションを買うことに辛口の視点を持っている方が少なくありません。
「悪徳業者にだまされないように」「簡単に買わないように」「落とし穴にはまらないように」という語り口は、マンションを買おうかどうしようか迷っている人、マンションを買えない庶民の方々には、「やっぱりそうなんだ」という思いをかき立てます。そのような視点は、マンションを買わない買えないという一部の方にはウケが良いのです。
セミナーや講演会、雑誌へのコラム等、一般の方々を相手に情報やコメントを提供する職業の方々は、社会の動きや一般の方の関心が、今どのようなテーマにあるのか、という時流を読む力があります。今ウケるテーマという視点で、タイムリーな話題を提供することが仕事と言えます。
確かに、悪徳業者にだまされないようにし、慎重にマンションを選ぶことは大切です。しかし、一生マイホームを持たない方がいいのかという話になってしまうので、本当に求められているのは、「ではどのようなマンションならいいのか」「マンションを選ぶ目をどのように持てばいいのか」「買うためにはどのように節約しローンを組み完済していけばいいのか」といった、実利的なノウハウです。
マンションに関わる現場で経験を積み、多くのマンション購入者を顧客として相手にした経験、開発や販売や広告の現場で仕事を積んだ経験を持つ方は、自分の専門分野を持っています。「売り手」と「買い手」を知る現場の真実に基づくカウンセリングやコンサルタントは、提供するノウハウにも迫真のものがあります。
買う側にとって実利的なノウハウの提供は、マンションの「売る側」と「買う側」の両方を知っているからこそできると言えるでしょう。そのようなカウンセラーやコンサルタントであるかどうかを、受け手側はしっかりチェックしたいものです。
えっと驚く衝撃の告発本というようなものは、著者の経験に基づく真実の裏話なので、読み応えがあります。しかし客観的に考えると、「世の中はそのような話ばかりではない」ということもあります。多くのケーススタディに基づくものではなく、あくまでも著者の経験したことに過ぎないと見ることもできるのです。
マンションの話題でよくあるのは、「ダメマンション」と呼ばれるような商品の開発や販売の実態です。その中には、地盤の良くない土地での開発、シャブコンなどを使った手抜き工事、マンションに求められる基本的な性能や設計による特性を知らない業者による設計施工、いい加減な構造計算と検査態勢、売りにくいマンションをいかに売るかという無理矢理な販売テクニックなど、眉をひそめてしまうものもあります。
確かに世の中には良くないマンションもあります。悪い商品を生み出す実態も存在するでしょう。告発本は、安易な開発や建設や販売に警鐘を鳴らすものなので、マンションに関わる業者、業界人には、自らを正す契機になるでしょう。その意味で、告発本の果たす役割は大きいと言えます。
しかし多くの告発本の使命は、「悪いものを駆逐すること」にあるようです。良いマンションに巡り会いたい方にとっては、「良いものを手に入れること」が目的なのであり、悪いマンションを見分け良いマンションを選ぶことが必要なので、告発本が本当に役に立つかどうかは別です。
「世の中には良いものと悪いものとがある」ということと同時に、「悪いものをチェックするにはどうすればいいのか」という、買う側の視点を持って告発本を読んでみると、実はチェックをするノウハウが書かれていない本も少なくありません。
そのような本はワイドショーのような気持ちで一読すれば良く、同時に、チェックするノウハウが書かれた本をたくさん読んでみてください。
税理士による節税対策、建築設計士による住みやすい設計事例、銀行の融資担当者が語るローン対策といった本は、やはり現場の実務そのものが書かれていることが多く、買う側がモデルルームに行っても銀行に行ってもパンフレットを見ても雑誌や新聞やインターネットでも知ることができないノウハウを得ることができます。
毎年お正月明けになると、翌年の税法改正や新金利、あるいは地価やマンション販売数の実績数字が発表されますので、その種の解説本があふれ出るように出版されます。
税法改正に伴う関心事は、何と言っても住宅ローン控除。特にこの2、3年は実質増税措置がとられており、だんだん税の控除は厳しくなっていく傾向にあると考えられますので目が離せません。金利は上昇傾向にありますが、住宅ローンは、扱う金融機関が増えて低金利合戦になっていることもあり、金利やローン商品の知識が欲しいところです。
問題は、専門家による解説本は少々難しいということです。使う単語も専門用語で、覚えなければならない知識も多いので、半分まで読んで挫折することも少なくないでしょう。特にお金にまつわるテーマは、最も得たい知識ながら、数字が苦手な人には頭が痛いものです。
でも根気よく知識を得るしかありません。なので、最初は単行本よりマネー雑誌やマンション情報誌、一般の方向け情報サイトのコラムを読むことをお薦めします。(このコラムも、マンションに多少興味を持っているというレベルの、ごく一般の方向けです。)
雑誌や情報誌のほとんどはビギナー向けで、コラムも短いので読みやすいはずです。わかりやすく図解入りで解説されていたり、ローンの組み方も標準的な購入のケーススタディを紹介したりと、一般の方が知識を得るには入りやすいでしょう。雑誌や情報誌の特徴を掴んで定期購読するのもお薦め。そのうちに知識もたまってきます。
専門家と言えば、著者だけではありません。不動産に関する出版物を多く出していたり業界紙を発行している出版社は、偏った情報ではなく、ニュートラルで公共性のある姿勢を持っている会社が多いので、注目してみてください。出版目録を取り寄せたり、webサイトを定期的にのぞくと、面白そうな本を発見できるかもしれません。
信託銀行のコンサルティング部などから出ている「不動産マーケット本」も、最近はだいぶわかりやすい本が増えてきました。「不動産マーケット本」は、かつては大学の経済学部の教授や、大手コンサルタント会社による著作が多く、ディベロッパーの開発部門担当者や機関投資家が読む本だったのですが、最近は一般向けが出ています。
不動産投資がごく一般的な方にも馴染むようになり、例えばJ-REITに投資する一般の方が増えてきたこともあって、「不動産マーケット本」は読みやすい解説本にシフトしてきています。書店に並ぶ単行本は、出版時期が市況と若干遅れることが否めないのですが、たまに読んでみると、国際的な金融情勢や景気で不動産が動いている構造がよくわかり、基本的な不動産マーケットの知識を得るには参考になります。
信託銀行の顧客は一般の資産家も多いので、解説本も一般向けでこなれているようです。そもそも信託銀行は、資産となる動産、不動産を活用して利回りを上げることが業務。金融状況や景気を読みながら、投資家となる一般の資産家や資産を持つ企業、機関投資家の動きも熟知しています。
不動産マーケットに敏感になると、マンションをいつ買うか、どのようなディベロッパーから買うか、どうやって手持ちの資金を増やしてマイホーム取得をするかという情報に目が向いていきます。
情報には、たくさん接しながらも自分で判断していくことが重要。情報を選ぶ視点をしっかり持つと、情報を客観的に受け取ることができ、下手に煽られたり迷ったりすることがなくなります。賢い解説本選びをしてください。
神ひとみ(ジン ヒトミ)