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マンション購入ガイド

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マンション購入のポイントや住宅ローン、設備に関して解説します。
賢いマンション購入のためのノウハウとアイデアをご紹介。

第44回家計緊縮時代は“在庫調整マンション”を狙え

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原油や穀物価格の上昇分が物価に反映されるようになり、家計はいよいよ緊縮ムードになってきました。「買いたいものを我慢」「車で遠出も我慢」という人も増えてきたようです。外食産業や観光レジャー産業など客足が落ち業績が悪化し始めている業界も少なくないようです。

こんな時、やっぱり高額商品であるマンションも売れていないのでしょうか。そして緊縮家計の庶民にとって、マンションは高嶺の花と諦めざるを得ないのでしょうか。

景気動向をにらみ、住宅の新規着工数は抑えられている

昨年の新規住宅着工数は戦後2番目の減少率

昨年2007年に着工した新設住宅数は、前年比19.4%減の103万5,598戸と大きく減少しました。(国土交通省調べ)これは1966年以来41年振りの低水準で、前年比の減少率は、第一次オイルショックの1974年(前年度比28.5%減)に次ぐ戦後2番目です。

昨年6月に施工された改正建築基準法によって建物の建築確認が厳しくなり、建築着工時期が何ヶ月も遅れてしまう物件が目立っていましたが、それだけではなく、景気の先行き不透明感が物件の新規着工を鈍らせたと判断できるでしょう。

  新設住宅
着工戸数(万戸)
マンション契約率 マンション発売戸数
首都圏(%) 近畿圏(%) 首都圏(%) 近畿圏(%)
2004年度 119.3 78.7 76.2 82,561 30,967
2005年度 124.9 83.2 76.0 83,577 33,177
2006年度 128.5 77.5 72.3 70,804 30,947
2007年度 103.6 66.3 66.3 58,156 28,592
2007年1月 125.8 74.1 60.6 2,868 1,033
2007年2月 121.1 77.5 70.8 4,804 3,392
2007年3月 128.9 80.5 67.1 5,463 3,464
2007年4月 126.1 74.3 58.1 4,090 2,046
2007年5月 114.6 75.7 70.4 5,343 2,393
2007年6月 135.6 69.1 70.8 5,716 2,768
2007年7月 96.0 74.1 68.3 6,409 2,533
2007年8月 73.6 65.6 56.4 3,337 1,076
2007年9月 73.0 65.9 69.7 5,202 3,640
2007年10月 85.7 62.5 78.1 5,731 2,648
2007年11月 95.6 64.0 58.9 3,868 2,332
2007年12月 105.0 59.3 70.4 8,190 2,894
2008年1月 118.7 52.7 57.6 2,320 1,492
2008年2月 115.0 60.1 63.1 3,460 2,226
2008年3月 108.8 65.3 59.2 4,490 2,544
2008年4月 115.1 63.1 62.7 2,875 1,248
2008年5月 71.0 56.3 4,398 1,791

新規着工できない住宅業界

今年2008年3月の新設住宅の着工戸数は、前年同月比15.6%減の8万3,991戸。4月は、前年同月比8.7%減の9万7,930戸と10ヶ月連続の減少です。4月に入って減少幅は縮小しましたが、相変わらず着工数は抑えられています。(国土交通省調べ)これは何を意味するのでしょう。

国交省では、鋼材価格の高騰や金融情勢の影響によって、新設住宅の着工に影響が出ているとしています。過去、景気上昇機運の時に高い土地仕入れをしてしまった以上、建築コストが高くなり資金調達しにくい今、新規着工にくくなっていると考えられます。また販売低迷のため在庫が増えることを懸念したディベロッパーが、今は着工を見合わせているとも言えるでしょう。

契約率は意外と好調

では、販売状況はどうでしょうか。5月のマンション市場動向を見ると、首都圏の新規発売戸数は、前年同月比17.7%減の4,398戸。この9ヶ月連続して前年比を下回っています。

しかし、5月に首都圏で発売された戸数のうち契約になったのは71.0%で、実に10ヶ月ぶりに契約率が上昇しています。

実はマンション発売戸数における契約率は、70%を越えると「好調」と見られます。1物件で100戸の分譲住戸があるとすれば、70戸が売れればその物件は「好調」という判断です。ですからこの5月はマンションは好調期だったと言えるわけです。

マンションの市況動向を見てみると、昨年、契約率70%ラインを大きく下回り始めたのは、2007年8月から。年末年始は50%台と特に売れない時期だったことがわかります。(下記「マンション市況動向」参照)

年末の市場動向は、春の市場につながります。売れない=在庫がだぶついている+資金繰りが厳しい、というディベロッパーの事情は、マンション市況にどう現れたのでしょうか。

ディベロッパーはマンション価格の引き下げに動いている

マンション1戸あたりの販売価格は、前年同月比0.4%上昇して4,821万円。18ヶ月連続で価格が上がっているのですが、上昇幅は縮小傾向にあります。

しかし首都圏の郊外では、マンション価格の下落が始まりました。埼玉県では前年同月比6.5%下落の3,397万円、千葉県では前年同月比21.1%下落の3,111万円です。(以上、不動産経済研究所調べ)

JR総武線沿線(秋葉原?千葉駅)のマンション価格を見ると、2007年までの2年間では平均29%上昇したにも関わらず、昨年末より今春では16%程度下落していると見られています。売れない在庫物件の値引きが、平均価格の足を引っ張る形になっているということです。(調査会社トータルブレイン発表)

マンションの場合、建物の竣工・引き渡し後は、売れない在庫住戸が「中古物件」となってしまい、広告でも新規分譲とはうたえなくなります。また、売れない間は販売センターを現地に出し販売スタッフが物件を担当し続けることになり、販売管理費や広告費などがかかり続けます。それよりは、値引きをして早く処理してしまいたいというのが、マンションディベロッパーの本音なのです。

購入適正価格より高すぎる都心マンションのゆくえ

かつて“買えるマンション価格”は、「年収の5倍」と言われていました。子供2人を育てながら住宅ローンを支払い、老後の貯金をする適正価格の目安です。しかし東京都内では、この基準は大きくかけ離れています。

2007年に東京都内で発売されたマンション価格は、専有面積70平米の平均価格は6,122 万円で、前年比13.3%の上昇。この価格は、「平均年収」の9.85倍の価格です。2006年は8.58倍なので、マンション価格は昨年、急騰したのがわかります。しかも平均年収そのものは2007年は前年比1.4%減。(東京カンテイ発表)

都心マンションは一般的な所得層が買えない価格となっているのです。それは地価高騰や資材費も含めた建設コストの上昇によるものと言えるかもしれませんが、平均所得レベルの世帯が買えない高級物件が多く出され、売れない物件を生み出しているということは、紛れもない事実かもしれません。

一時の景気上昇機運で、高額商品マーケットは活気づきました。それに乗じてマンション業界も、都心の高級物件や湾岸エリアのタワーマンションをたくさん開発してきた背景があります。しかし、実際に存在する層はもう購入を一巡してしまった、市場そのものが小さくなっているとも見られています。

それならば、今ある在庫は値下げしてでも売り抜けねばならない。そのような判断をするディベロッパーがマンション価格を下げ始めており、マンション価格の下落傾向が実感できる過渡期の市況と言えるでしょう。

マンションを買うなら、市況動向によって今や割高となってしまった物件の「値下げ」を狙うべし、ということかもしれません。商品性が悪くて売れなかったのではない物件なので、これはお得です!

今年はベイエリアのタワーマンションが狙い目かも

Yahoo!が運営する不動産取引サイト「Yahoo!不動産」にはこの春、一昨年あたりに分譲され昨年入居が始まったばかりの話題の都心タワーマンションが既に売りに出されているといった報道がありました。

3年ほど前は、都心タワーマンションは希少価値があったため投資目的で購入した人も多かったものの、ここに来て投資利回りをそれほど期待できないとして手放す人が増えたと見られています。

タワーマンションの新規分譲価格は、このような「今、市場にどれくらい物件が出回っているか」も価格設定の参考にされます。物件がだぶついていると過剰供給になり売れないからです。これから値付けする物件は値下がり傾向になると考えられます。

マンション業界は、地価や建築資材といったコストだけではなく、景気動向やその時の市場での供給量に敏感に反応します。緊縮ムードの今、新規着工を見合わせたり、価格を下げたり、在庫調整のために値引きして処分するという動きは顕著です。

そのような動きを見逃さず、“お得傾向”なマンションを確実に買う、という賢い選択をしましょう。

神ひとみ神ひとみ(ジン ヒトミ)
株式会社メイプルノア代表取締役
1964年東京生まれ。リクルート、浜野商品研究所などを経て、1996年よりマーケティングプランナーとして独立。分譲マンションの販売計画、広告デザインと共に、より良い住まいのあり方をディベロッパーに企画提案している。滞在型市民農園(クラインガルテン)の事業プロデュースは1994年から。田舎の農園で暮らすセカンドライフを提案している。