井内 雅明 氏
厚生労働省認知症・虐待防止対策推進室長
87年労働省入省、在独日本大使館1等書記官などを経て現職。
厚生労働省は今年7月、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」を打ち出した。これには五つの柱がある。
最初の柱は「実態の把握」だ。2年後をめどに、患者数や有病率の全国推計、医療・介護サービスの利用実態などを把握する。
二つ目は「研究開発の促進」だ。5〜10年後を目標に、予防方法の発見や確実な診断技術の確立、認知症を根本的に治す治療薬の開発・普及をめざして研究を進める。
三つ目の柱は「早期診断の推進と適切な医療の提供」だ。専門性を持つ医師や看護師を育成する。認知症の専門医療の提供や介護との連携において中核機関となる「認知症疾患医療センター」を、全国に約150カ所設置する。
そして「適切なケアの普及および患者・家族への支援」。国内外の認知症ケア事例約1千件を分析、評価し、介護職員向けの認知症ケアマニュアルを作成・提供する。
認知症疾患医療センターと連携する地域包括支援センターを全国で約150カ所選定する。認知症連携担当者を配置し、地域の医療と介護の連携を強化する。
患者や家族に対するカウンセリングや、地域の専門機関の紹介などを行うコールセンターを、都道府県・指定都市ごとに1カ所設置する。
最後に「若年性認知症への対策」だ。相談コールセンターを全国に1カ所設置する。就労についても支援する。
以上の緊急プロジェクトを中心に、厚労省の認知症関連の来年度予算要求額は48億円で、今年の倍以上になった。今後も、患者本人や家族の声を聞きながら、関係者と協力していきたい。
