野村證券

企画 制作 朝日新聞社デジタルメディア本部

いままでも、これからも。

Episode 1:出会い

Episode1 出会い

「あなた、お茶が入りましたよ」
「ん、ありがとう」
冬とは思えないあたたかな光が差し込む日曜の昼下がり、妻と二人でのんびりと過ごすひととき。近所の子どもたちの遊ぶ声が遠くから聞こえてくる。
「あなた、長い間本当にお疲れさまでした」しみじみと妻が言う。
きのう満60歳の誕生日を迎えた私は、長年勤めた会社を定年退職した。
「おまえには苦労ばかりかけたな」
「そんなことありませんよ。夫婦じゃありませんか」
いつも優しい妻の横顔を眺めながら、妻と結婚したときのことをぼんやり思い出していた。

妻と初めて話をしたのは、会社主催の運動会。同じ会社の3つ後輩にあたる妻とは部署は同じだったが、担当業務が違うため、日ごろは挨拶を交わすだけの間柄だった。
入社した時から妻のことは可愛い子だなと思っていたものの、私は生来話し下手。話すきっかけも話題も見つからず、二人の間で「おはようございます」「お疲れさまでした」以外の言葉が行き来することはなかった。
大学時代に陸上部に所属していた私は、当然のように運動会の準備委員を任され、また新入社員も準備をサポートするのが会社の通例であり、私たちは初めて挨拶以上の会話を交わすようになった。
30年以上も昔のことなので始めにどんな話をしたかは記憶にないが、いろいろ話すうちにお互いの趣味が映画とわかり、私たちは意気投合。会社で会うたびに映画の話をするようになり、私は勇気を出して妻を映画に誘った。妻は快くオーケーしてくれて、「スティング」を観に行ったのが最初のデートだった。そして何度か映画のデートを重ねていくうち、私たちは自然に愛し合うようになった。
妻との交際は順調にすすみ、私は妻との結婚を考えるようになり、当時リバイバルしていた「小さな恋のメロディ」を二人で観た帰り、私は妻にプロポーズした。
「私でいいの?」妻は私の目をのぞき込みながら聞いた。
「もちろん」私はきっぱりと言い、そのあとに「一生、キミの味噌汁が飲みたい」と続けた。ちょっとキザだったかなと照れたが、妻はうれしそうな、そして恥ずかしそうな顔をして「幸せにしてください。よろしくおねがいします」と言った。

「あ、愛子さんを、わ、私にください」
妻の実家へ行ったときのこと、何度も練習したはずなのに、緊張のあまり、トチってしまった。
妻の父は、まっすぐ私を見つめ、妻の母はその横で笑みを浮かべていた。
…しばらくの沈黙があり、空気の重さに耐えられなくなってきたとき、妻の父が言った。
「岡崎君、いいのか。愛子は気が強いぞ」
一瞬にして場が和んだ。
「なに言ってるのよ、お父さん」半分怒り、半分笑いながら妻が言った。
「岡崎君、私は愛子の父親だ。愛子が本気で君のことを想っていることくらい当然わかる。娘の幸せを願わない父親などいない。私からもお願いする。愛子を幸せにしてやってくれ」
「岡崎さん、お願いしますね」妻の母が力強く言った。
「お父さん、お母さん」涙声の妻。
「岡崎くん、いや、浩一郎君、飲もう」
その日は妻の両親と夜遅くまで飲み、妻の子供の頃の話に花が咲いた。木登りが得意だった話、迷子になった話、川で泳いだ話…どの話も面白く、みんなで大笑いした。
私の両親も私たちの結婚には大賛成してくれて、私たちは結婚に向けて準備をはじめた。

ところが、である。結婚するための資金がない。結婚式、ハネムーン、新居…結婚には私の想像以上のお金が必要だった(※1)
私とてまじめに仕事をこなし、残業もし、決して多くはないが、人並みの収入(※2)は得ていた。しかし、貯蓄(※3)というのは実にむずかしく、私にはわずかな普通預金があるだけで結婚資金に充分ではなかった。
私は妻に正直に言うことにした。
「実は、話したいことがある…。結婚資金があまりないんだ」
私の深刻な表情とは対照的に、妻は優しく微笑んだ。
「なーんだ、そんなこと。私、何を言われるか、ビクビクしちゃった。私のことが嫌いになっちゃったのかなとか不安だったんだから。もう」
「だって、大切なことじゃないか」
「それはそうだけど、これから私たちは夫婦になるのよ。だったら、私のお金も使えばいいじゃない」
結婚を決めてから、妻はいっそう私を信頼し、より献身的に尽くしてくれた。
当時私が住んでいた、きれいとはいえないアパートにしょっちゅう掃除をしに来てくれたり、ご飯をつくってくれたり、風邪をひいて寝込んだときは朝まで看病してくれた。
私が妻を選んだことは、人生で最大の成功だと心から思った。

それにしても妻のお金? 妻はそのとき25歳。入社してまだ3年しか経っていない。そんなにたくさんの貯蓄があるのだろうか。
「もちろん、私だってそんなにたくさんは持ってないわよ。でも、前から少しずつ貯めていた投資信託(※4)があるわ」
投資信託?
お金を貯めるというのは銀行にお金を預けることだとしか考えていなかった私は、妻の頼もしさにただ感心させられるだけだった。
妻は優しさだけでなく、経済観念と計画性(※5)を持ち合わせている女性であることがわかった。もちろん、美しさも。
結局、私のわずかな普通預金と妻の投資信託、そして双方の両親からの資金協力(※6)を得て結婚式を挙げ、私たちは夫婦になった。
同時に、私が妻に頭が上がらない歴史の始まりでもある。

To be continued...
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ライフプランと資産運用を考える

【 1. 結婚するための資金 】

結婚資金の平均は
約550万円

結納から挙式、新婚旅行、新生活の準備など、結婚費用の平均は549.3万円。ひと頃に比べて結婚披露宴などにお金をかける傾向は弱まったと言われていますが、男女とも「結婚のための最大の障害は結婚資金」と答えるなど、結婚費用の負担感は大きいことがうかがえます。(内閣府『平成17年国民生活白書』より)

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【 2. 人並みの収入 】

勤労者世帯の1カ月平均の
生活費は32万円

平成18年の勤労者世帯(いわゆるサラリーマン世帯)の平均月収は52.6万円。そこから税金などを除いた手取り額は44.1万円となっています。手取り額のうちの32万円が、食費や住居費などの生活費に使われています。(総務省『平成18年家計調査』より)

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【 3. 貯蓄 】

1世帯あたりの平均貯蓄は1741万円

豊かさの指標である貯蓄。1世帯あたりの平均貯蓄は1741万円となっています。年代別で見ると、20代は351万円、60代以上は2436万円となっており、かなりの開きがあります。若い育児世代は高齢者層に比べて経済的に厳しい状況にあることがわかります。 (総務省『平成19年6月家計調査』より)

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【 4. 投資信託 】

投資信託とは?

投資家から集められた資金を専門の委託会社(運用会社)が運用し、その成果を出資額に応じて投資家に還元するもの。元本保証はなく、リスクもリターンも投資家に帰属します。(野村證券『証券用語解説集』より)

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【 5. 経済観念と計画性 】

自分に合った
無理のない計画で

ふたりの恋が順調に育まれて結婚となったら、新居や家電など新生活の資金が必要。恋愛期間のうちに結婚資金を貯めておきたいものですね。「結婚」という大切なライフイベントに備えるために、資産を賢く運用して殖やすことを考えてみてはいかがでしょうか。(野村證券ホームページへ)

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【 6. 両親からの資金援助 】

約80%が親からの
支援を受けている

大きな負担となる結婚資金ですが、既婚者の約80%が親の資金援助を受けているようです。実際の金額を見ると、平均的な結婚資金549.3万円のうち、約半分の267.8万円が親の援助という結果が出ました。なお、回答者のうち80.2%が双方の親から援助を受けています。 (内閣府『平成17年国民生活白書』より)

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