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語る・立教大学
語る人



 私は立教女学院を経て立教大学へ進みました。杉並区の久我山にある中学と高校は緑に囲まれた快適な環境で、とても伸び伸びと過ごすことができましたが、そうした環境のよさは池袋にキャンパスがある大学でもまったく同じでしたね。
 心理学を専攻することにしたのは、当時テレビ番組の構成作家かシナリオライターを志していた私にとって、人間心理を専門的に学ぶことが大きく役立つだろうと思えたからです。子供のころからテレビを観るのが大好きだった私は、「将来はテレビに関係した仕事に就こう」とかなり早い時期から決めていました。
 心理学の授業で特に印象深いのは、なんといっても2年生の時の実験です。例えば学食の座席がどのような順番で埋まっていくのかを5、6人の学生で観察し、その実験結果をもとに各自がレポートにまとめるといった内容でしたが、ほぼ毎週実験を行いレポートを提出するのは大変なことでした。新しい実験に着手するたびに「これを来週までにまとめるのは絶対無理!」って思うんですが、毎回不思議と期限内に仕上がっちゃうものなんです。テレビの仕事をしていて、「これはとても取材しきれそうにないなぁ」と思ったものがどうにか1週間後のオンエアに間に合うといったことが少なくありませんが、チームで力を合わせて1つのものを作り上げるという点で、あの実験は今私が携わっている仕事と共通するところがあったように思います 。



 演出家のテリー伊藤さんを尊敬していた私は、立教大学への入学が決まると同時にテリーさんの会社に企画書を送って仕事をさせてもらうようになり、大学に通うかたわらすでに将来への第一歩を踏み出していました。もしも仕事が忙しくなったら中退も辞さない覚悟をしていたのですが、週に2、3日大学へ行けば済むように効率よく授業をまとめることで、予想に反してスムーズに単位を取ることができました。3年生の春から出演するようになった「ニュースステーション」では、毎週月曜から木曜にかけて夕方から局入りをしていましたが、こちらも授業との兼ね合いで苦労したことはまったくありません。
 そんな4年間でしたから、コンパに顔を出したことさえなく、いわゆる「大学生らしいこと」とは無縁のまま卒業してしまいました。だから大学時代というと、何かをしたという記憶よりもまず、キャンパスの美しい風景が蘇ります。正門を入ってすぐのクリスマスツリーにもなるヒマラヤ杉とか、その先の「4丁目」と呼ばれている十字路とか、あのあたりはテレビドラマのロケにも使われたりする、雰囲気のいいところですよね。もうひとつ思い出深い場所といえば、購買部。在学中は時間があくとしょっちゅう本を立ち読みしていましたから。実は今でも大学の近くを通りかかると、購買部に立ち寄って本を物色することがあるんです。



  今、学生時代を振り返ってしみじみと思うのは、「もっと勉強すればよかった」ということ。香港や台湾をはじめ中国語圏のアジア取材に出かけることが多いので、特に第二外国語として専攻していた中国語にもっと身を入れておけばよかったなと思います。当時は、単位を取るためだけに勉強していたという感じなんですよね。働き始めてから勉強の必要性や楽しさに気づくという人は多く、社会人入学して学び直す人が増えているのもそのためなんでしょうけど、後輩たちには「同じ勉強するなら社会に出てから苦労してするより、在学中にバイトの時間を減らしてでもやっておくべき」と言いたいですね。
 ところで、立教の卒業生にはアナウンサーがけっこう多いんですが、これはなぜなんでしょうね。先輩とお仕事をご一緒する機会もありますが、「同じ大学のOB同士」というだけの理由で必要以上に親しくなることはなく、私はこれをとても快く感じています。古館伊知郎さんに初めてお会いした時も「君も立教出身なんだってね」って言われたくらいで、とてもさらっとしているんです。思えば立教の学生って全体的にべたべたしたところがなく、そうした気風が常に中立な立場でいることを求められるアナウンサーに向いているのかもしれません。その反面、みんな愛校心は強く持っているようで、もちろん私にも「自分の出た学校が一番だ」という誇りがありますよ。母校を愛しながら、でもそのことでお互いに馴れ合ったりはしない。うまく表現するのは難しいんですけど、立教の魅力って、その辺にあるような気がします。
PROFILE
いぬい・きみこ 1975年東京生まれ。96年から99年まで「ニュースステーション」(テレビ朝日系)の天気コーナーを担当。以後テレビ・ラジオ・雑誌と幅広いフィールドで活躍している。現在レギュラー出演している番組はフジテレビ「とくダネ!」(火曜8:00〜9:54「淑女で行こう!」コーナー担当)、テレビ東京「シナモン」(土曜25:25〜26:40)、ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」(水曜担当 11:30〜13:00)など。

なかにし礼さん(作家)
服部幸應さん(服部栄養専門学校理事長・校長)
関口 宏さん(タレント)
黒沢 清さん(映画監督)
俣木盾夫さん(株式会社電通社長)
相島一之さん(俳優)
小宮山昭一 立教大学理事長
自分を深く知ることが、異文化コミュニケーションの第一歩です。
(社会学部 助教授 ジョセフ・ショールズ)
立教学院創立130年記念事業旧江戸川乱歩邸公開記念サイト更新しました

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