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フォーカス立教

2013年7月8日掲載

自主映画の登竜門、ぴあフィルムフェスティバルから新たな若き才能が世に出るチャンスをつかんだ。見事2012年のグランプリに輝いたのは、本学現代心理学部卒業生、鶴岡慧子さんの『くじらのまち』。高校最後の夏休みを過ごす仲良し男女三人組の複雑な心の動きを描いた本作は、思春期ならではの危うさやまぶしさを瑞々しく捉えているとして高い評価を得、ジェムストーン(日活)賞も受賞した。「大学の卒業制作として撮ったもので、役者もスタッフも全員、学部やサークルの仲間。常に話し合い、切磋琢磨しながらみんなで協力して作り上げた作品です。いい仲間に恵まれました」。

映画を撮りたいという夢は小学生のころから抱いていた。「ものをつくるのが好きでした。父の影響でいろいろな映画を観ているうちに、スクリーンの中なら不可能も可能にできることに気づいたんです」。立教に進学したのは、「技術の習得だけではなく、映画の理論や哲学もしっかり学びたかった」から。ダンスや演劇を単なる芸術表現として片づけず、身体や人間を探究する行為として捉える深さに衝撃を受けた。「大学で身体について深く学んだ経験は、今後の私の作品にも反映される個性になると思います」。「学びも遊びも全て映画だった」と4年間を振り返る鶴岡さん。映画へのひたむきな情熱が受賞につながった。「“普通”の社会人になるための道からは外れていたかもしれないけど、一生懸命取り組めば、誰かに気づいてもらえるんだと思いました。そのときに興味のあることにひたすら集中できるのが、大学の4年間。学生時代には、全力で突き進んで欲しい」。韓国釜山を皮切りに東京、ベルリン、ブエノスアイレス…と世界の映画祭にも招待され、注目される『くじらのまち』。「たくさんの人に観てもらえる幸せを原動力に撮り続けていきたい」と目を輝かせる鶴岡さんの次回作に、期待は高まる。

雑誌『立教』第225号より

『くじらのまち』

2012年/ 70分/カラー
監督・脚本・編集:鶴岡慧子
撮影・照明・編集協力:佐々木健太/照明助手・助監督:入澤朱陽/制作:永井 浩
出演:飛田桃子、片野 翠、山口佐紀子、佐藤憲太郎、中嶋 健

2012年「第34回PFF ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2012」にてグランプリ、ジェムストーン(日活)賞受賞。東京国際映画祭(2012)、釜山国際映画祭(韓国・2012)、ベルリン国際映画祭(ドイツ・2013)、ドーヴィル・アジア映画祭(フランス・2013)、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭(アルゼンチン・2013)などに正式招待。

鶴岡 慧子(つるおか・けいこ)
2012年現代心理学部卒業

1988年長野県生まれ。2008年立教大学現代心理学部映像身体学科入学、12年同大学同学科卒業。同年4月より東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域在学中。