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フォーカス立教

これは史実? リアルな筆致で圧倒する『ザ・ロスチャイルド』で小説家デビュー 1994年経済学部卒業 小説家、人材教育コンサルタント 渋井 真帆

2013年10月15日掲載

ダイヤモンド社主催、経済や企業を題材に描いた小説に贈られる日本初の文学賞「城山三郎経済小説大賞」。第4回の栄冠に輝いたのが、渋井真帆さんの『ザ・ロスチャイルド』。今なお世界経済に大きな影響力を持つロスチャイルド財閥の祖ネイサン・M・ロスチャイルドと英雄ナポレオンの対決を軸に展開する歴史大作だ。フィクションでありながら、審査員を務めた高杉良氏から「史実と思わせかねぬ筆者の筆力に脱帽」と高い評価を得た。昔から歴史が好きで、「初恋の相手は織田信長」という根っからの歴女。日本史も世界史もほぼ完璧で、論文も読むという。

キャリアのスタートは銀行の総合職。「周囲は優秀な人ばかり。財務諸表すら理解していない私は浮いていました」。しかし支店長の「組織は一色では成り立たない。君なりの武器と存在理由があるはず。そのためにも組織をよく見なさい」という言葉に目の前が開けた。人や組織をうまく回す潤滑油の働きがしたいと、28歳で人材育成コンサルタントとして独立。当時必須といわれていた留学歴もなく職歴も浅い。しかし、何もないことが逆に強みになった。「常に変化する業界。謙虚に学び続ける姿勢がなければ生き残れません」。自身の苦労を生かした決算書の本は、出版社の予想に反し15万部のベストセラーに。

  • 城山三郎経済小説大賞 贈呈式にて
    (撮影/平野晋子)

小説家への一歩は夫の一言がきっかけだ。毎夜食卓で自分なりの考察に基づく史観に熱弁をふるっていたところ「書いてみれば」と言われ筆を執った。「きっと聞かされるのにへきえきしていたんでしょうね」。

40歳の記念に果たした半年間のカナダ留学の最後は、ひと月に及ぶ欧州横断列車の旅で締めくくった。その最中、旅先で受けた大賞受賞の知らせに手応えをつかむ。「コンサルと小説家の二足のわらじで行こう」。執筆中の二作目は北樺太に実在した日本の石油会社で働く人たちの戦いの物語。「駄目と決めつけ、いたずらに不安を膨らませるのではなく、自分の可能性を信じて社会で輝かせようとする努力が大切」。渋井さんの快進撃は続く。

雑誌『立教』第226号より

『ザ・ロスチャイルド』

渋井真帆 著
ダイヤモンド社/1,680円(税込)/
四六判、上製本/364ページ/
ISBN 978-4-478-02474-4

渋井 真帆(しぶい・まほ)
1994年経済学部卒業、小説家、人材教育コンサルタント

1994年立教大学経済学部経済学科卒業。都市銀行、専業主婦、百貨店販売、証券会社などを経て2000年、28歳で独立。企業向けの人材教育、販売コンサルティングの受託のほか、TV、雑誌でも活躍。2012年11月に処女小説『ザ・ロスチャイルド』で「第4回 城山三郎経済小説大賞」を受賞。2013年、同作品で小説家としてデビュー。その他ビジネス書の著書多数。