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教員メッセージ RIKKYO CLOSE-UP 連続シンポジウム RIKYO VOICE 伊集院静エッセイ
  立教大学は、2006年の大学改革の柱の一つとして、「現代心理学部」を新設する予定である 。「心理学科」「映像身体学科」の2学科からなる新学部は、従来の心理学のワクにとらわれず、「心」「身体」そしてそれを取り巻く「映像」といった3つの側面を切り口に、21世紀の「人間学」を構築していくとともに、映像制作や身体表現の実践を取り入れたユニークなカリキュラムにより、様々な分野で活躍できる幅広い人材育成を目指す。新しい学問、そして新しい文化の発信基地となることが期待される「現代心理学部」について、現代心理学部開設準備室長の前田英樹教授に伺った。

■キーワードは心・身体・映像――現代のリベラルアーツ(教養)を身につける場

  「心の時代」ともいわれる現代ですが、実はその一方で、「身体」への関心が世界的に高まっています。身体を心や精神が支配する「機械」のように考える西洋哲学的発想が見直され、身体の持つ自由さ、創造性が大きく注目され始めているのです。平たく言えば、心と身体を一体としてとらえなければ、本当に人間を理解することはできない。そのことが、改めて認識されつつあるということでしょう。

  そして、心、身体両方に大きな影響を与えていると考えられるのが「映像」なのです。20世紀に、写真から映画、テレビ・ビデオ、さらにコンピュータなどのデジタル画像へと急速に発達し、今や私たちの生活環境の大きな部分を占めるようになった「機械映像」。現代人を理解する上で、カギを握る要素と言ってよいでしょう。しかし、映像が人間の思考や身体にどのような影響を与えてきたかなど、学問的に充分な研究はまだ行なわれていません。

  現代心理学部では、「心理学科」「映像身体学科」の2学科を置き、「心」「身体」「映像」を切り口として、現代に生きる「人間」について学び、研究していきます。それも、従来の心理学のように、集計・調査に基づくサイエンス(科学)の視点からだけでなく、後で詳しく述べるように、フィロソフィ(哲学)の視点、アート(芸術)の視点から、多角的・総合的に心、身体、映像の関係を考えていくのです。授業方法として、ワークショップ(実技・実習)形式も多く取り入れる予定です。

  つまり、立教大学現代心理学部は、発想も視点も方法論も新しい21世紀の「人間学」を創造する場であるといっても過言ではないでしょう。本学で学んだ学生は、人間と現代社会に関する深い知識とともに、柔軟な発想力、企画力を身に付けることになるはずです。それは、次代を担う人材に不可欠な真のリベラルアーツ(教養)として、どのような分野で活躍する場合にも役立つことと確信しています。

  また、映像作家をはじめ「表現者」を目指す人にとっても、技法・技術だけでなく、その意味や理論的裏付けを学べる貴重な場となるのではないかと考えています。

  新しいものに挑戦する勇気に溢れた、個性的な若い友人たちが、本学部に集ってくれることを願っています。

■科学・哲学・芸術を融合したアプローチ――第一線のアーティストも講師に

 
「心理学科」は現在文学部に所属していますが、教員を大幅に増員し、内容を拡充して本学部に異動します。とくに、セラピー、カウンセリング、精神分析などの臨床心理学関連分野、人間が五感を通して外界・環境をどのように認識するかを研究する認知科学分野という、近年その重要性が高まっている分野の充実を図っています。

  また、映像の認知やその心理的影響などについても研究します。

  つまり心理学科は、本学部が生みだす「人間学」のサイエンスの部分を主に担うと言っていいでしょう。

  これに対して、フィロソフィ、アートの視点を担う「映像身体学科」は、その名称自体が造語で、全く新しい学問領域といえます。ここでは、最新の「身体論」や、機械映像の社会的影響、文明史的位置づけなど、身体や映像に関する「哲学的」な考察を行ないます。また、ダンス、演劇などの身体表現からヨガ、気功にいたるまで、身体にかかわるあらゆる知恵・技術をとりあげ、それをワークショップ(実技・実演)を通して「体得」することを含めて学んでいきます。なお、世界的舞踊家である勅使川原三郎氏の教授就任が決まっており、同氏によるワークショップのデモンストレーションを6月のオープンキャンパスで行なう予定です。

  さらに映像についても、第一線で活躍中の作家による講義やワークショップがカリキュラムに組み込まれています。本科卒業生により映画界に立教発のウェーブが起こることを願い、立教出身の映画監督、万田邦敏、篠崎誠両氏を教授に迎えます。

  なお本科では、映像、身体パフォーマンスなどの卒業制作を卒業論文に代えることを考えています。二つの学科の間で共通科目を設置するほか、互いに取り合える科目のワクを増やし、より多角的な学習ができるよう配慮しています。

■新座キャンパスに最新設備の新研究棟――現代心理学部発の文化にも期待

  現代心理学部は、新座キャンパスに設置される予定です。同キャンパスには、やはり人間社会の現代的な問題を扱う「コミュニティ福祉学部」「観光学部」があり、3学部が揃うことで、新しい人間研究の一つの拠点となることが期待されます。具体的に、「人間にとっての『楽しみ』」といったテーマで3学部を基礎とする研究科で協同研究を行なうことが決まっています。

  現在、新座キャンパスではこうした研究のための新しい施設を建設中です。
  こうした施設は、上映・上演会、講演会などの催しを企画して、広く社会、地域の皆さんにも積極的に開放していく予定です。

  また、池袋地区の映画館が組織する「池袋シネマ振興会」と提携して、学生の作品の上映会などの企画も実施する予定です。

  こうして、立教大学現代心理学部が、新しい学問だけでなく、新しい文化の発信拠点となることを、大いに期待しています。

(談)

前田 英樹(Maeda Hideki)
1951年大阪生まれ。1980年中央大学文学研究科フランス文学専攻博士課程単位取得退学。フランスを中心とした文学、哲学、言語学を研究。近年では、映画、絵画を題材として、知覚、記憶、時間、物質、身体、歴史といった問題を論じることが多い。主書に『沈黙するソシュール』(書肆山田)、『映画=イマージュの秘蹟』(青土社)、『セザンヌ画家のメチエ』(青土社)、『絵画の二十世紀』(NHK出版)など

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