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教員メッセージ RIKKYO CLOSE-UP 連続シンポジウム RIKYO VOICE 伊集院静エッセイ
経済を学ぶ理想の環境を実現--経済政策学科新設で生まれ変わる経済学部
 2006年の大学改革の一環として、社会学部も大きく生まれ変わる。「メディア社会学科」を新設する一方、「産業関係学科」は「経営学部」に形を変えるため、既存の「社会学科」「現代文化学科」を併せた新しい3学科体制となる。学部全体のカリキュラムを見直し、理想的な学習環境が整うという新・社会学部の特徴を、木下学部長に聞いた。

■問題解決能力の土台となる「社会学力」――本来の社会学を学べる理想的な環境に

 「身の回りで起こる様々な問題について何らかの疑問や不安、危機感を持ち、大学で学ぶ中で自分なりの解答・解決策を探してみたいと考えている高校生は少なくないでしょう。「社会学」は、そのための強力な「知的道具」となってくれる学問です。たとえば法学が法律、経済学が経済と研究の対象がはっきりしているのに対し、社 会学の場合はその法律や経済も含め、人間が関わるあらゆる問題が対象になるとい っても過言ではありません。重要なのは「何を」扱うかを見極めるだけではなく、「どのように」扱うか――研究すべき意義のある問題を見つけだし、調査とデータの分析を通して現象を把握し、理論に基づく考察を加えて問題の本質を明らかにし、必要ならば解決策・改善策を提案する。それが社会学の学門的特性です。

  この社会学の方法論は、応用範囲が非常に広く、変化に機敏に対応できる柔軟性を持っています。だからこそ、社会が複雑化している今、その有効性はますます高まっているのです。社会学を身につけた人材の活躍の場も、これからさらに広がっていくでしょう。

  ところが、こうした「社会学」を本格的につっこんで学べる大学が、実はあまりあ りませんでした。社会学部を設置している大学でも、多くの場合その内容は、社会学 以外の専門分野を持つ教員の担当する科目が並ぶ、総合的・学際的なものになっているのです。「社会」への理解は深まっても、肝心の「社会学」への理解は……とい う状態で卒業する学生もいる
のではないでしょうか。

  立教大学・社会学部は来年度、「メディア社会学科」を加えた新体制となりますが 、同時に既存学科もあわせた学部全体で、カリキュラムの大改編とスタッフの大幅な増強を行ないます。その結果、学生は、どの学科を選んだとしても、まず社会学の基本的な理論と調査法を段階的にきちんと修得することになります。その上で、他学科を含めた多彩な科目群から自分の興味に沿ったテーマを選んで掘り下げるとともに、演習を通じて理論や調査技術を使いこなす「社会学力」を磨く。それを、社会学のエキスパートが顔を揃える教授・講師陣がサポートする。本来の「社会学」を学ぶ環境が整うことになるのです。

  「社会学部」のあるべき姿、いわばその「完成形」に近づくといってよいでしょ う。

■様々な分野で要求される「メディア・リテラシー」を身につける――「メディア社会学科 」を新設

 
インターネット、携帯電話といった新しいメディアが爆発的に普及する一方、放送 ・出版という既存のマスメディアも大きく姿を変えつつある。私たちのコミュニケー ションの手段となる「メディア」の世界のこのような動きは、社会のあり方そのもの にも多大な影響を及ぼしています。

  本学部ではこれまでも、「メディア」を研究・教育テーマとして重視し、社会学科のカリ キュラムの柱の一つとして関連する科目群を置き、特に力を入れてきました。多くの 卒業生が、ジャーナリズム、マスコミといった直接にメディアと関わる分野の第一線で活躍し、「メディアに強い立教」というイメージも積まれています。その実績 を踏まえつつ、カリキュラムの内容、教員をさらに充実・強化して、新たに「メディ ア社会学科」を創設します。

  新学科が目指すのは、一言でいえば、高度な「メディアリテラシー」、様々なメデ ィアを通して流れてくる情報を批判的に読み解き、その価値を正しく判断して選別す る能力の養成です。これは、メディアに関わる仕事をする人間はもちろん、メディ アを離れて生活することが不可能となっている現代人のすべてに求められる能力です 。特に、市民との情報の的確なやりとりとその管理が重要となる公務員、情報の扱いが成否を分ける最先端ビジネスの世界などでは、今後、不可欠な資質となっていくで しょう。

  具体的なカリキュラムとしては、「マスコミュニケーション」「情報社会」「メディ アコミュニケーション」の3つの領域に分けて、魅力的な専門科目を配置します。コ ース制ではないので、学生は興味に沿う自分なりの体系を作って履修することが可能 です。

  また、この学科ではとくにジャーナリズムの世界で活躍する人材の育成に力を入れ たいと考えています。そのために、実務経験豊富な講師を起用して、読者・視聴者に情報を確実に伝える高度な文章技術を身につける実習科目を置くなど、カリキュラムを工夫しています。さらに、放送・出版などメディア関連企業へのインターンシップも予定しています。

■3学科の連携を強化――学生の関心の広がりにも対応

  メディア関連科目が新学科に移るのにともない、「社会学科」のカリキュラムも大 きく変わります。いわば原点に戻って、理論・調査法に基づく問題解決への社会学的プ ロセスをきちんと訓練すると同時に、「自己と関係」「生活と人生」「公共性と政策 」「構造と変動」というユニークな領域設定のもと、現実の様々な問題の背景が理解できるような科目群を提供します。学生はここで、骨太でしかも柔軟な、応用範囲の広い「社会学力」を身につけることができるはずです。

  「現代文化学科」は創設4年目で、今回おおきな改革は行ないません。国際化の中 での多くの民族・文化の「共生」の問題を考える「多文化化」、そして「環境」、「 都市」のそれぞれをキーワードとする3つの領域を設けて、きわめて今日的な問題に 取り組むこの学科は、フィールド調査を重視する特徴的なカリキュラムも含め、学生からは高い評価を得ています。

  そして、今回の改革では以上の3学科の垣根をぐっと低くします。社会学の基礎 を身につける共通必修科目を設けるほか、選択科目の卒業要件単位数の約半分まで他の2学科の設置 科目を履修できるようにするのです。「社会学科」が社会学の土台をしっかり固めた上に、「現代文化学科」「メディア社会学科」の個性的・先端的な科目群が並ぶという、社会学部全体のバランスのとれたカリキュラム構成のメリットを、学生は充分に享受できることになるわけです。

  また、「社会調査士」の資格も、どの学科でも取得できるカリキュラムになっています。

  「社会学」という 便利な道具を使いこなして自分の問題関心を掘り下げてみたい、さらに、将来のキャリアにその 能力を生かしていきたいという意欲的な学生諸君をお待ちしています。

(談)

木下 康仁(Kinoshita Yasuhito)
1953年3月生まれ。1976年立教大学社会学部社会学科卒業。1984年カリフォルニア大学(サンフランシスコ校)人間発達・エイジング研究科博士課程修了(Ph.D.)。研究分野はエイジングとケアの社会学、質的研究法である。大都市郊外地域をフィールドに高齢化諸問題と地域社会との関係を多角的に研究している。また、福祉国家における一連の改革に関する国際比較研究も行っている。

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