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DeWit,Andrew (デウィット,アンドリュー)
1959年カナダ生まれ。主な研究分野は財政学・政治経済学。ブリティッシュ・コロンビア大学政治学研究科・政治専攻博士課程修了(政治学博士。下関私立大学経済学部助教授を経て、2002年4月より現職。話題の新刊『メディア危機』(共著/NHKブックス)と『財政赤字の力学−アメリカは日本のモデルたりうるか』(共著/税務経理協会)はじめ著書・論文多数。 |
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■2006年4月、立教大学経済学部に「経済政策学科」誕生。
古代ギリシアの数学者アルキメデスが入浴中、アルキメデスの原理を発見したとき「ユーレカ(わかった、発見した)!」と叫んだというエピソード。それは、私たち人間が持ちたいと願う創造性の獲得を表わすエピソードといっていいかもしれません。私は、理想的な大学の役割とは、アルキメデスらが活躍した古代ギリシアの学識の伝統に根ざすものであると考えます。この伝統によれば、大学とは既存の知識を批判し、人々の考え方を形作る規制概念や社会勢力に対して疑問を呈するために存在します。道理や注意深い観察、批判的分析の奨励によって、大学は、社会を迷信や非合理、偏見などから解放する助けとなるのです。
つまり、大学の役割とは社会の強者の求めに応じて奉仕することではなく、批判的思考によって人々を解放することなのです。そして学識経験者の役割は、私たちの理解する現実に奉仕、従うことではなく、発見した事柄について議論し、どのような別の可能性があり得るか、想像したりすることといえるでしょう。
そうした意味で、激動する社会情勢を解明し、政策立案能力と会計情報の分析力で社会変革にアプローチする立教大学経済学部に、来春新設される「経済政策学科」が担う役割は大きいといえます。同学科では、市場システムの変容とグローバル化、分権化、少子高齢化などに対応する政策立案のできる人材を育てることが目標です。そのために、カリキュラムには、政策に関する総合的な知識と思考法を修得する科目、政策分野におけるグローバル化の進行をふまえた豊富な国際系の科目、議論のスキルを身につけることができる実践的科目がバランスよく配置されています。そして、カリキュラムのもうひとつの特色である少人数形式の授業では、ゼミナールのほか、政策に関するシミュレーション実習を行うなど実践的な科目展開にも力が注がれます。経済政策学科は、こうした特色あるカリキュラムを通じて、高度な経済分析に基づく政策立案力と遂行力という創造性を育成する場なのです。 |
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批判的思考とオープン・マインドが真の創造性を育成する。
かつて、グローバル・スタンダードという言葉がさかんに使われましたが、スタンダードと呼べるものなど、本当にあったといえるでしょうか。ある国、ある地方にとって、最もよい財政モデル、経済モデルとは、その国、その地方にとってのみ、最もよいモデルであるといった方が適切ではないでしょうか。はじめから定まった答えはないのです。答えは創るもの。その答えを創造していくために、各国や地方の財政政策や経済政策を比較分析することに価値があるのです。
私たちは常に問いかけなければなりません。米国を手本とした経済モデルは真に普遍的といえるのか。また、そのモデルに比較対照した日本経済のモデル化は適切であるといえるのか。創造的で競争力のある経済制度の設計は、どのように行われるべきであるか。米国型モデルに基づいて主張される「市場に任せる・政府をスリム化する」方法は実際に成功しているのかどうか。それらのテーマにアプローチするとき、忘れてはならないのが「批判的思考」です。それはなぜか。物事にはつねに2つの可能性があるからです。従来の通念が正しいという可能性と、そうでないという可能性です。つねに両方の可能性がある。だから、批判的思考が不可欠なのです。
また、高度に情報化された社会において、私たちが身につけておかなければならないことがあります。それは情報リテラシー、メディアリテラシー、統計リテラシーです。例えば、インターネットというメディアは世界の図書館と呼べるものですが、よりよい情報の集め方、より適切な調べ方を身につけていないと、なかなか活かすことが難しいものです。また、多くの情報の中から抜き出した情報にどれほどの信頼性があるか、を検証することも難しいと思います。そんなとき、よい方法があります。それは「オープン・マインド」であること。何かについて調べるとき、情報の取捨選択を行っているとき、いつのまにか自分が見たいものしか、見えていない状態になっていることはありませんか。それは、思考がとらわれているのです。先程、「批判的思考」とは何かというお話しをしたとき、物事の可能性はつねに2つあると言いました。偏見を捨てて、その情報を見る。統計であれば、そのデータのまとめ方に偏向がないかを検証する。もうおわかりでしょう。すなわち「批判的思考」を持つことと「オープン・マインド」であることは同じことなのです。
私が常識だと思われていることのほとんどが非常識なことであると学生たちに話すのも、そうした批判的思考とオープン・マインドを備えることで、経済分析に基づく政策立案・遂行力を獲得していってほしいと考えるからなのです。
リベラルアーツという理念のもと、学際的な教育を特色とする立教大学に新たに誕生する「経済政策学科」は、この重大な経済的変化の時代の只中で求められる柔軟性を、学生たちに与えるものと確信しています。
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