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五十嵐 暁郎 Igarashi Akio
1946年生まれ。早稲田大学法学部卒業。東京教育大学大学院博士課程修了(政治学専攻)。立教大学法学部助手、神奈川大学法学部専任講師を経て、1980年より立教大学法学部助教授、87年より同教授。シカゴ大学客員研究員・客員教授、延世大学国際学部・大学院客員教授、立教大学国際センター長などを歴任。日本平和学会(理事)、日本政治学会、環日本海学会の各会員。90年より『The Journal of Pacific Asia』編集長。主著は『新世代の国家像』(共訳・社会思想社・1986年)、『昭和同時代を生きる』(共著・有斐閣・1986年)、『民主化時代の韓国』(世織書房・1993年)、『田中角栄ロング・グッドバイ』(編著・潮出版社・1995年)、『新・アジアのドラマ』(潮出版社・1995年)、『明治維新の思想』(世織書房・1996年)、『変容するアジアと日本』(編著・世織書房・1998年)、『現代市民政治論』(共著・世織書房・2004年)、『安全保障論の新展開』(編著・明石書房・2005年)、『象徴天皇制の現在』(編著・『象徴天皇制の現在』(編著・世織書房・近刊)。 |
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■設立当初からアジア研究に力を入れるなど、特色ある研究・教育を展開してきた伝統を持つ政治学科。
立教大学の法学部は東京六大学の中で最も若く、1959年に設立されました。法学科1学科でのスタートでしたが、単に法律を学ぶだけではなく、政治学も含めた幅広い知識を身につけさせる教育を目指したのが当初の大きな特色であり、その姿勢は今も受け継がれています。
私の担当する政治学科にも、大きな特色があります。それは「アジアと日本」に重点を置いた政治学教育をしようということで、中国政治の研究者や日本政治の研究者が多く集まって、他大学にはあまり類を見ない講義を展開してきました。今でこそアジアは政治的にも経済的にも極めて重要な存在ですが、立教に政治学科目が開設された40数年前には傍流に過ぎず、その研究や教育の対象はもっぱら西洋の政治でした。そんな時代からアジアに注目してきたところにも、立教ならではの独自性があるといえるでしょう。
法学部は法学科、国際・比較法学科、政治学科の3学科で構成されていますが、法学科と国際・比較法学科の学生には、現実に動いている政治の実態をよく理解してもらいたいですし、政治学科の学生には、社会の制度の中心である法律がどういうものであるかをきちんと理解してもらいたいですね。そのため、他学科の科目の履修は自由にできますし、他学部のかなりの科目も卒業単位としてカウントされるようになっていますから、多様な分野を学んで見識を広げてほしいと思います。
私の授業の1つである日本政治論では、現在の日本の政治の構造とダイナミズムを、官僚制とグローバリゼーション、政党政治の危機的状況、地方政治の可能性、政治と経済との関係、選挙の実態、世論の動きとマスメディアとの関係など、さまざまな側面から考察しています。いわば世の中のありとあらゆる事柄が政治学のテーマになるわけですから、ともすると床屋談義みたいになってしまうきらいがあるのですが、政治学の理論を駆使しながら、社会科学的に取り組むことが重要です。
■演習では沖縄や韓国へ出かけ、安全保障の現場を肌で実感する。
私が大学生だった1960年代後半は学生運動が盛んで、「政治の季節」などと呼ばれていました。そのころと比べると、今の政治はとてもわかりにくくなっていて、学生の政治への関心も一見薄れているようですが、その一方で90年代以降の湾岸戦争やイラク戦争などをきっかけとして平和研究に対する興味が高まっており、そうした側面から政治学にアプローチしようとする学生が増えているという状況があります。平和を考えるには安全保障の問題を研究することが不可欠で、私の演習でも主要なテーマにしています。 |
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その演習では、前期に「構造改革」を、後期に安全保障をめぐって議論しているのですが、1年を通しての最大のイベントは後期の授業の始まる前にゼミ生全員で行く数日間の旅行です。今年は沖縄、翌年は韓国と行き先を交互に変えるので、3年次、4年次を通じてその両方へ行くことになります。沖縄では米軍基地を、韓国では板門店の軍事停戦会議場や独立記念館を見学するなどして、政治と社会の生々しい現場に触れてもらうことが目的です。
沖縄で土地の人から戦争の体験談を直接聞いたり、韓国で分断国家の現実を目のあたりにしたりすることで、学生たちは少なからずショックを受けますが、政治を考えるうえで安全保障や隣国の存在は常に念頭に置いておかなければならないことですから、そうした現場を学生のうちに、自分の目で見ておくことは非常に重要な体験になるはずです。
■旅先にはたくさんのヒントが転がっている。
これから大学生になる方に意識していただきたいのは、大学とは受験勉強とはまったく別の世界で、自分なりのテーマを4年間かけて徹底的に追究できる場所だということです。専攻する学問に限らず、自分が興味を持ったことを自由に追究できる雰囲気がこの大学にはあります。立教大学にはキリスト教の精神があり、クリスチャンの学生は実際には少ないのですが、キャンパスに流れる独特のリベラルな空気の中で、学生たちはいい意味でのびのびと育つという感じがありますね。校歌にも謳われていますが、まさしく立教大学は「自由の学府」だと思います。
自分のテーマがなかなか見つからないという人は、一人旅をしてみると良いのではないでしょうか。一人の旅先には自分で物事を判断しなければならない場面がたくさんありますし、自分自身について深く考える時間もたっぷりあります。イギリスなどの大学には、入学前に長期の海外旅行をすることを奨励しているところもあるそうですが、旅というのは自分が課題を見つけるための格好の機会なんですね。私も大学院生のころから国内のあちこちを旅行するようになり、大学に勤めて給料をもらうようになってからは、ヨーロッパやアフリカやインド、南米などをパックパックを背負って周ったものです。社会に出れば、ゆっくり旅行をする時間がとれなくなってしまいます。「青春18切符」というのがありますが、学生時代にぜひ、あの切符を握りしめて日本中を歩き回ってください。 |
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