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生涯学習の現場
「立教セカンドステージ大学」開校に向けて
立教大学 副総長
笠原 清志

4月1日掲載


「立教セカンドステージ大学」は、シニア層の「学び直し」と「再チャレンジ」のサポートを目的とした1年制(専攻科も入れると2年制)の新たな学びの「場」です。プレスリリースで2008年4月に開校予定であることが公表されると、多くのマスコミや大学関係者からのインタビューの申し込みがありました。また、約1,000件もの電話の問い合わせと資料請求がありました。このことは、団塊の世代を中心としたシニア層のセカンドステージを、社会がどのようにサポートすべきかという問題を改めて浮き彫りにしたように思います。そしてまた、従来の生涯学習制度がすべての年代を対象としているところから、シニア層の希望に十分に応えるものではなかったということも明らかになったと思います。


学びの情熱尽きることなし

  • 立教大学イメージ

今回、70名の定員に対し170名の応募者がありました。応募者には2,500字程度の自分史をベースにしたエッセイの提出が義務づけられ、それに関連した面接試験が全応募者に対して実施されました。応募者の男女比はほぼ同数、そして学歴構成では、高卒26%、高専その他7%、短大・大学卒64%、大学院卒3%となっていました。応募の際のエッセイや面接では、次のような記述や発言が数多くありました。

「家庭の貧しさから、大学で勉強したいと言える状況ではなかった。しかし、子育ても終わり両親も見送ったので、やっと自分が学べる環境になった」
「70歳をすぎて、死への旅立ちを心の中で準備し始めたが、立教セカンドステージ大学のパンフレットを見て、忘れていた学びの情熱に火がついた」
「大学時代、紛争やアルバイトでキャンパスで学んだという記憶がない。定年後、何をすべきか分からず、本当に困っている」

応募者において、高卒では女性の応募者の比率が男性の2倍以上であったこと、そして短大・大学卒者の比率が思った以上に多く、大学院卒もいれると67%であったことが印象に残りました。面接を終えて、改めて団塊世代を中心としたシニア層の「学び直したい」、「今後の人生をどう生きていくべきか迷っている」といった、悲痛な叫び声が聞こえたような気がしました。


新しい生涯学習をめざして

年齢も50歳から84歳の方まで、学歴も高校卒から大学院卒まで、そして多様なキャリアと人生経験をもった約100名の方々が、今年の4月から立教大学のキャンパスで学ぶことになりました。授業は立教大学教授や著名人の講義だけではなく、すべての受講生がゼミナールに参加し、NPO・NGOへのインターンシップ、そしてフィールドワークや合宿も行い、共に語り、共に学び合うという全く新しいタイプの生涯学習の大学がスタートします。授業を担当する私達スタッフも、この新しい試みに多少の不安と大きな希望がいっぱい、といったところです。

「立教セカンドステージ大学」は、「学び直したい」という一人ひとりの希望が、「今後の人生をどう生きていくか」というような形で捉え直されるようにカリキュラムがデザインされています。そして、シニア層の一人ひとりがこの大学で学ぶことを通じて、自立した市民として21世紀の社会をどう考え、どのようにデザインしていくかを考えるきっかけになればと思います。

笠原 清志(かさはら・きよし)
笠原 清志(かさはら・きよし)
立教大学 副総長

1981年慶應義塾大学社会学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学。社会学博士。1986年立教大学社会学部社会学科助教授、1998年〜02年立教大学総長補佐、2006年4月より経営学部経営学科教授、2007年12月より 副総長、現在に至る。主要研究テーマは、組織論。

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