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知の枠組みの再編
大学院教育における「知の枠組みの再編」について、北山晴一教授(21世紀社会デザイン研究科委員長)と立花隆特任教授にお話を伺います。
複数言語主義による新たな言語教育
一ノ瀬和夫 

一ノ瀬 来年4月、立教大学池袋キャンパスに「異文化コミュニケーション学部」が誕生します。この学部の目的は、さまざまなレベルで境界(ボーダー)が消滅し、多くの人と文化が混淆するかたちで成立している私たちの世界と社会のあり方を、「言葉」の側面から考えていくところにあります。

カプリオ 国と国、特に地域と地域の間の関係といったものも、コミュニケーションの枠組みとして捉えていくということですね。

一ノ瀬 そうですね。その意味で言語教育を重視していこうというわけですが、ただ、例えば「外国語=英語」という従来の一言語主義的な発想は乗り越えていきたいのです。

カプリオ 私の専門は朝鮮史ですが、朝鮮のことは朝鮮語で学ぶのが、当然一番深く理解できます。他言語に翻訳されたものが伝えられるのは、せいぜい80%程度でしょう。しかし、たとえば日韓関係について、朝鮮語だけを学んで日本・韓国の見方だけで考えていくと、ケンカになってしまう。そこに例えば英語圏といった第三者的な視点を取り入れることで、よりよい道が見えてくることがあるわけです。

一ノ瀬 ですから新学部は、言語教育のレベルから、その点を意識して「複数言語主義」を打ち出しました。具体的には「英語プラスワン」、つまり、高度な英語の運用能力を身につけることを前提に、もう一つの言語(フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、朝鮮語から一つ選択)についても、同時に学んでいくことになります。

少人数制による徹底した言語運用能力の養成

一ノ瀬 言語科目のカリキュラムについてですが、運用能力を鍛える科目は1年次から4年次まで、必修、選択織り交ぜて豊富に設置されています。いずれのクラスも少人数で展開しますが、例えば、1年次の英語のコミュニケーションスキル科目は、1年間にわたって定員6名で指導します。他の言語も、スキル系科目は全て10名前後の少人数クラスになります。

 こういった言語学習システムによって、英語に関しても、他の外国語に関しても可能な限り高度なレベルまで学生の運用能力を伸ばしていきます。しかし、ただ外国語が出来るといったことでは不十分です。英語を例に取れば、「英語を」話すではなく、「英語で」何を語るのかが問題なのです。そのためには普段使い慣れている言語で論理的な思考がしっかりと出来るのか、わかりやすく物事を説明することが出来るのかが大前提です。その意味で、本学部では日本語の運用能力の向上にも力を入れていきます。

カプリオ 新学部では、言語科目以外で、英語で行われる授業もあるわけですね。そういったところで、「英語を」ではなく「英語で」学び、考えていくことに慣れ親しんでいってもらいたいですね。

一ノ瀬 そのためには実践的な語学力が必要になりますが、1年次の語学プログラムに加えて2年次後期の一学期間、全員が履修する海外留学研修を最大限に生かして、生きたことばに触れ、さまざまな文化を体験することで応用力のある語学力を身につけてもらいたいと思います。

カプリオ 海外留学というのはとても貴重な体験ですね。これはもちろん、教室内で終始しがちな従来の日本の言語教育の欠点を改め、運用能力の飛躍的な向上を図るという点で大きな意義があります。しかし同時に、異文化を肌で感じて学ぶという意味でも、非常に重要なプログラムです。私自身、学生時代に留学していなければ、今日本にはいないでしょう。

イメージ
複眼的思考で異文化を考える
マーク E カプリオ

一ノ瀬 海外留学研修から戻って3年次以降、それぞれの専門領域を決めて学習を続けていくことになるわけですが、その領域は、異文化コミュニケーション領域、複合地域文化領域、言語教育領域となります。しかし、出来る限り広く学んでから自分の専門を決めていってもらいたいと考えています。

カプリオ 異文化コミュニケーションとは、ある特定の視点を中心として異なる文化を見るということではなく、自分の文化さえも相対化して文化と文化、人と人の関係を考えていくことですから、広い視野を持つということはとくに大切ですね。

一ノ瀬 その通りです。複眼的な思考で世界を見ていくことが出来る人を育てていきたいのです。

カプリオ 異文化コミュニケーションの現場で活躍できる人材を育てるというのが、学部の目標でもあるわけですから。そういった点で、好奇心に溢れ高いモチベーションを持った学生に集まってほしいですね。


異文化コミュニケーション学部開設記念公開講演会のお知らせ


日時:2007年10月6日(土) 14:00〜16:00
場所:立教大学池袋キャンパス 11号館AB01教室 キャンパスマップはこちら
演題:異文化を「理解」するとはどういうことか?
講師:平田オリザ氏(劇作家、演出家、劇団「青年団」主宰)

問い合わせ先:立教大学異文化コミュニケーション学部開設準備室 (03-3985-4824)
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一ノ瀬和夫 (異文化コミュニケーション学部開設準備室長)
マーク E カプリオ (異文化コミュニケーション学部開設準備室員)
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