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香山リカ対談

女子学生支援とワーク・ライフ・バランス 山極 清子(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授 「女子学生キャリア支援プロジェクト」座長) × 香山リカ(立教大学教授・精神科医)

2011年8月8日掲載

立教大学では2009年度から「女子学生キャリア支援プロジェクト」を立ち上げ、多様な角度から女子学生のキャリア形成をサポートしています。今回はその座長を務める山極清子特任教授をゲストに、女性のキャリア形成と日本社会や企業の変化について語り合っていただきました。

女子学生キャリア支援プロジェクト

香山リカ(以下、香山) 山極先生とは「女性就労とワーク・ライフ・バランス」の授業でもご一緒しているのでよく存じ上げています。先生が座長を務めていらっしゃる立教大学の「女子学生キャリア支援プロジェクト」について、まずご紹介いただけますか?

山極清子(以下、山極) 「女性就労とワーク・ライフ・バランス」は、「女子学生キャリア支援プロジェクト」のうちの正課の授業です。女子学生のキャリアを対象とする背景は立教大学の特徴として在学生に占める女子比率が5割を超えているところにあり、そのキャリア形成のサポートが重要な意味を持っていることが挙げられます。しかし、それ以上に、本学の調査によると、女子学生は正課の授業やゼミでも非常に勉強熱心で、成績が優秀にもかかわらず、進路に関する悩みや不安が大きく、「結婚」や「育児」の仕事への影響を現実以上にネガティブにとらえているので、ここから抜け出す必要があります。そして、自分の将来の目標を立てることに正面から向き合い、社会的・職業的に自立し、仕事とライフイベントとの両立が可能となる人生をデザインできるような力を身につけるよう支援することが、今こそ求められています。
本来、男女ともに仕事か家庭かの二者択一ではなく、普通に仕事をしながら子育てするということが大事で、今、日本の社会全体がそういう方向に舵を切っています。しかし、実際には仕事を続けたくても続けられない、希望と現実の間にギャップが見られるのです。

  • ロール・モデルを迎えての
    夏期集中プログラム

香山 それは、立教がとりわけというより、日本の多くの大学をめぐる問題でもありますね。正課の授業のほかにはどんな取り組みが行われていますか?

山極 年間を通して系統立てて行っており、まずは就職活動前に自分自身の軸を持ち、目先の情報に惑わされず活動を進めていくために「働く意味」を知ってもらう就職ガイダンスを実施します。続いては、企業で実際に活躍しているさまざまなロール・モデルとなる女性たちを大学に招き、その企業を選んだ理由や、どんなキャリアを積んできたか、仕事で生き甲斐を感じるときはいつか、苦しいときはどう乗り越えたか、といったことを話してもらいます。
秋休みに入ると、今度は学生が企業に出かけて行く「企業訪問会」を行います。進路を考え、実際に企業で働いている社会人と交流し、企業現場を直に感じ、社会に踏み出すことを実感してもらいたいからです。

香山 実際に出かけてみると、それぞれの企業で、文化や企業風土が大きく違うことを肌で感じますね。

山極 その通りです。そして同じ企業でもさまざまな職域や分野があることなども企業で働く人たちから直接うかがうことで理解が進みます。
プロジェクトがスタートして3年目ですが、今後取り組みたいのは、学生だけではなく教職員や学生の保護者の皆様を対象にしたシンポジウムです。保護者は学生の進路や将来に対して影響力を持つ方々ですから、現在の経済と雇用環境、今後の展望について、とりわけ女子学生が直面している状況に対して正確な情報と知識を共有していただきながら、大学と一緒になって学生を応援していただきたいと考えています。