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多彩な経験の場を提供することで学生の自立をサポート 吉岡 知哉(立教大学総長) × 香山リカ(立教大学教授・精神科医)

2012年4月1日掲載

今、大学において、学生の社会的自立のサポートやキャリア教育をいかに行うべきかが、大きな課題となっています。それに対し、立教大学ではどのような教育を行い、どのような学生が育っているのか。また、これからの大学が果たすべき役割について、吉岡知哉総長と香山リカ教授が語り合いました。

大学の方向性について学生と認識を共有する場を創出

香山リカ(以下、香山) 吉岡総長は立教大学に着任されてどのくらい経ちますか?

吉岡知哉(以下、吉岡) 早いもので、もう31年になります。

香山 その間に社会情勢は大きく変わりましたが、学生についても何か変化したと感じることはありますか?

吉岡 世間でよく言われるほど、学生の質そのものが変わっているという印象はありません。ただ、最近の学生は興味の境界線がはっきりしていると感じます。一昔前は、教員が話すことに対してはそれほど興味が無くても耳を傾けたものでしたが、今の学生は自分が少しでも興味を持たないことには関心を示しませんね。そのため、大学には知的好奇心を満たす多くの種があるにもかかわらず、そのことに気付いていない学生も多いのではないでしょうか。少しもったいないような気がします。

香山 一方で、自分の興味のあること、得意分野について尋ねると、とても丁寧に説明してくれたり、教えてくれたりしますよね。「そんなことも分からないの?」という態度ではなく、どこか誇らしげで素直な態度でとても好感が持てます。これは立教生らしさでもあるのかもしれないですね。

吉岡 そうですね。それから、立教大学には在学中に自分が進みたい道、学びたい分野を見つけ、それまで自分でも気付かなかった可能性を伸ばしていく学生が多いように思います。

香山 私も学生と接していて同じ様に感じることが多々あります。ところで、総長に就任されてからは、学生との接し方に変化はありましたか?

吉岡 これまでは講義を通して学生と接する機会がありましたが、総長に就任して以来、学生たちと触れ合う時間が減ってしまいました。教員として、それはとても寂しいと同時に、大学の構成員である学生たちの声を直接聞きたいと考え、昨年10月、学生たちと意見交換する場として、「YoshioKafé(ヨシオカフェ)」を学生委員たちと企画しました。

香山 それは面白そうですね。具体的にはどのような取り組みなのですか?

吉岡 「YoshioKafé」という名前は、私の吉岡(Yoshioka)とカフェ(Café)を組み合わせて学生が付けてくれました。私と学生がカフェにいるかのようにテーブルを囲んでお茶を飲みながら、自由なテーマで意見交換をするイベントです。テーブルを囲む学生はあらかじめ決まっているのですが、気軽に立ち寄れるカフェのような趣向で、立教生は誰でも自由に参加することができます。これまでに3回開催しましたが、各回でテーマを変え、活発な意見交換が行われました。

香山 学生の反応はいかがでしたか?

吉岡 参加している学生以外にも、周りでイベントの様子を見ている学生が飛び入りで意見を交わしたり、立ち止まって話を聞く学生がいたりと、さまざまな反応がありました。当日の模様は、ツイッターで実況しています。大学は教育改革のためにいろいろなことを試みているのですが、学生はそのことをあまり知る機会もないでしょうし、関心もないというのが実際だと思います。このイベントは、学生たちの意見を聞くだけでなく、立教大学の現状や方向性について、大学の最も重要な構成員である学生たちと私たち教職員の間で、共通の認識を作り出すという点で意義があると思っています。今後も引き続き開催する予定ですので、香山先生もぜひ一度いらして下さい。