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香山リカ対談

2012年7月2日掲載

急速に進むグローバル化。多文化が共存するコミュニティの中で、私たちはどのような役割を果たすべきか。そしてそこに求められるコミュニケーション能力とは何か。今大学が取り組むべきグローバル化に向けた人材育成について、2008年に開設され、本年3月、初の卒業生を送り出した異文化コミュニケーション学部の池田伸子学部長と香山リカ教授が語り合いました。

教育理念を体現する異文化コミュニケーション学部の学び

香山リカ(以下、香山) 池田先生が学部長を務められている「異文化コミュニケーション学部」はどのような学部なのでしょう。私も精神科医の立場から、「コミュニケーション」というキーワードにとても関心を持っています。

池田伸子(以下、池田) 立教大学の中で最も新しい学部で、2008年に開設され、今年の3月に初めて卒業生を送り出しました。学科は「異文化コミュニケーション学科」1学科のみで、学生数は1学年115人程度と、こぢんまりしています。それに対し教員は約40名在籍しています。

香山 それは、学生一人一人に目が行き届き、細やかな指導ができる環境ですね。学部の理念や目的を教えてください。

池田 異文化コミュニケーション学部が目指すところは、立教大学の「普遍的なる真理を追究し、この世界、社会、隣人のために働く者となれ」という教育理念をまさに体現するところにあります。学生たちには、激動と呼ばれる現代社会にあっても、移り行く時代の風潮や偏見に惑わされることなく、物事の本質を自分の目で見極め、他者を理解し、共生していくことの大切さを学んでほしいと思っています。そこで、この目的を果たすため、「ことば」「コミュニケーション」「文化」という3つを柱としてカリキュラムを構成しています。

香山 学部の名称から「語学」が学びのメインという印象がありましたが、それだけではないのですね。

池田 確かに入学してくる学生にとって、語学教育への期待は大きいと思います。実際、そうした期待に応えられる学習環境やカリキュラムも用意されています。しかし、ここで大切なのは、さまざまな国や地域が抱える問題を解決に導いたり、異文化交流や理解を促進したりするための「ツール」を手に入れるために語学を学ぶのであって、語学そのもののスキルアップが目的ではないということです。立教大学では、「全学共通カリキュラム」の言語教育科目において、英語に加えもう1言語を必修として学びますよね。その理由として、大学で学ぶ者としての教養という視点もあるでしょうが、異文化コミュニケーション学部では、複眼的視点を大切にするという理由だと捉えています。英語だけでは英語圏の視点、考え方に偏る恐れがあるということです。一つの視点からしか考えられないとか、批判できないということを防ぐため、他の言語の習得を目指します。さらに、異文化コミュニケーション学部では、日本語をきちんと身に付けることで、さまざまな視点があることを理解できるようになると考えています。