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香山リカ対談

2012年7月2日掲載

海外留学により言語運用能力を高め、異文化理解、他者理解を深める

香山 確かに言語はコミュニケーションの道具ですから、それを習得することはとても大切だと思います。しかし、それ以上に相手に自分の意見を的確に伝えたり、相手が何を伝えようとしているかを理解したりすることが重要であると、私も精神科医の仕事を通して感じています。的確なコミュニケーション能力を身に付けるために、どのような教育システムを採っているのでしょうか。

池田 1年次から2年次前期までは、基礎的なコミュニケーション能力に重点を置いて学んでもらいます。今の学生を見ていると、言葉や文字といった情報から知識を身に付けているせいか、それらが血や肉になっていないように感じます。一方、自分の経験や体験から身に付けた知識であれば、自分できちんと消化した上で相手に伝えることができ、相手を尊重して理解することで、お互いが歩み寄る形でコミュニケーションをとることが可能になります。その第一歩として、まずは日本語での的確なコミュニケーション能力を徹底的に訓練します。

香山 2年次後期には学部の全学生が海外留学を経験するというカリキュラムにもインパクトがありますね。留学に向けて、学部ではどのような準備をするのですか?

池田 留学への不安を取り除くため、留学先の選定から現地滞在中に至るまで、きめ細やかなサポート体制を整えています。入学後すぐに、留学に向けたガイダンスがスタートするため、学生はさまざまな情報を入手できます。また、帰国した先輩の体験談を聞く機会や個別の相談会を開催しています。留学先は、1年次後期に英語圏または自分が履修している第2言語圏のいずれかを、自らの興味や目的に応じて選択します。

香山 出発まで時間もあるので、各自目標に向かって準備することもできますね。留学先ではどのようなことを学ぶのですか?

池田 異文化コミュニケーション学部では、学部での学びを実体験の中で生かすことで、より実践的な言語運用能力、異文化理解、他者理解につなげることを目的として、全学部生に留学をさせています。ここでも語学のスキルアップより、異文化を体験することを重視しています。海外では、言葉はもちろん、文化や習慣などの違いから、時に大きな壁にぶちあたります。しかしその壁を自らの力で乗り切ることで、ひと回りもふた回りも成長することができ、その体験こそが今後の人生において貴重な経験となるのです。帰国した学生は皆、留学前と顔つきが変わります。立教、特に異文化コミュニケーション学部は自宅生が多いのですが、価値観や習慣が異なる異文化の中で1人で生活することにより、たくましく成長して帰ってきます。

香山 異文化の中で必要となる知識やスキルを、留学前の学びで身に付けてから出発し、それを正に血や肉として帰国するのですね。