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学生のキャリア形成を全学規模でサポート――コオプ教育・インターンシップオフィスの挑戦
 立教大学が昨年11月に新たな試みとして開設した「コオプ教育・インターンシップオフィス」による、ユニークなキャリア教育プログラムがいよいよスタートする。オフィス長補佐・疋田康行経済学部教授と、コオプ・コーディネーターの小島貴子氏に、同オフィスの役割、立教大学のキャリア教育の考え方について聞いた。

■コオプ教育インターンシップオフィス

――「コオプ教育」の内容をお聞かせください。
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インターンシップオフィス長補佐
疋田康行経済学部教授

疋田 「コオプ」は「Co-operation」、協力・協働を意味します。学生のキャリアに対する意識を高め、社会人として必要な能力を身につけさせるために、大学と企業をはじめとする諸機関とが協力して教育を行なおうという考え方です。学生が仕事の現場を経験する中で様々なことを学ぶインターンシップはコオプ教育の典型ですが、社会の第一線で活躍中の方を講師に招いた授業なども一つの形と言えるでしょう。

小島 即戦力の企業人を作る、あるいは就職を有利にするための教育と思われがちですが、それは全く違います。自分の可能性を見て、卒業後の選択肢を広げ、そこから自立した社会人として一つの道を選ぶ力を養うことが大切なのです。

――立教大学が昨年11月に立ち上げた「コオプ教育・インターンシップオフィス」はどのような役割を果たすのですか。

疋田 本学では、文科省がインターンシップ制度をスタートさせる以前の97年に、経済学部で正課としてビジネスインターンシップをはじめました。その後、それが複数学部に広がり、一方でキャリアセンターが就職支援の強化のために正課外のインターシップを考え始めました。しかし、受け入れ先の企業や機関との交渉はもちろん、どの学生をどの仕事にというマッチング、さらに実施中のフォロー体制と、担当学部・部署の負担は通常の授業とは比べものになりません。やはり全学的なサポートが不可欠ということで検討を重ねた結果、設置されたのがこのオフィスです。
 インターンシップは優れた教育方法ですが、それだけで十分に効果を上げるとは限りません。取り組む学生の自主性、キャリアに対する意識などによって、大きく左右されます。ところが学生たちは、社会について机の上の知識しか持たず、仕事がどのように行なわれているのかなど、まるで知らない高校生として大学に入ってくるわけです。ですから、キャリアというものについて、一番基本の自分自身を見つめるところから段階的に教育していく必要があります。そのためのコオプ型プログラムの作成、サポートも、本オフィスの重要な役割になっています。


■初のコオプ・コーディネーター

――オフィスには「コオプ・コーディネーター」を置かれましたが、業務内容をお聞かせください。

疋田 大学と企業などを学生教育の上で効果的に結びつける仕事で、アメリカなどでは一般的です。本オフィスと同じような機関を作り、教授がマネージしている大学の例もあるのですが、どうしても企業とのつながりがカギを握るので、やはり難しい部分があります。やはり、その役割にふさわしい専門家を迎えるべきだと考えました。ただ、アメリカとは大学生と仕事や社会との関係が全く違いますから、「日本型コオプ・コーディネーター」というものを一から作っていかなければならないのです。

――その第一号が小島さんということですね。

写真
コオプ・コーディネーター
小島貴子
小島 企業は優れた人材が欲しい、大学は優れた人材を育てたい。そこで目的は一致するのですが、いざ具体的に協力をお願いするとなると、利益を追求する企業の生々しい本音が出てきて、なかなか簡単にはいきません。CSR(企業の社会的責任)の範囲でできることではありませんからね。やはり、学生はもちろん、受け入れる側にもはっきりメリットのあるようなプログラムを、まさに共同作業で作っていくことがポイントなのです。
 ここで私がとても大切だと思うのは、立教大学では何をやるにしても、常に「学生のために」という大前提があることです。だからこそ、企業でも公共機関でも、理解と協力が得やすいのです。就職率アップのためとか、大学生き残りのためといった意図が見え透いたらうまくいかないでしょう。
 そして、立教大学の伝統、多くの素晴らしいOBの存在、これも私の仕事をやりやすくしてくれています。
 今後、コオプ・コーディネーターは、各大学だけでなく、受け入れる企業・機関の側にもいて、互いに最良のコーディネーションを探っていくという形になっていかなければいけないと思うのです。このオフィスのミッションの中には、そうしたコーディネーターの養成も含まれています。


■今年度から始まるユニークなキャリア教育プログラム

――オフィスが関わるキャリア関連のプログラムとして、具体的にはどのようなものが組まれるのですか。

疋田 1年次は、様々な仕事への関心や意識を高めるとともに、自分の適性を確認していく段階です。前期には、複数のゲスト講師による「仕事と人生」の全学カリキュラムを設けるほか、各学部が工夫したキャリア導入科目を設け、そのコーディネートにも、本オフィスが関わることになります。

小島 1年次後期の「キャリアワークショップ」は私が担当しますが、ゲスト講師のほかに「メンター」と呼ばれる授業の補助・協力者に入っていただき、「インプット」だけでなく「アウトプット」も意識した、かなり実験的な授業になるはずです。メンターの皆さんには、プログラム開発にも関わっていただきます。

疋田 2年次の終わりに「基本インターンシップ」を設けるのは、ほかにあまり例のない大きな特徴でしょう。そして3年次には、夏期「発展インターンシップ」を設けます。

小島 ここでは、受け入れ企業や学校が用意したプログラムに飛び込むのではなく、学生が自らやりたいことを見つけ、プログラムを組むということもやらせていきたいと考えています。

疋田 そして4年次には「キャリアグランドデザイン」の科目を設ける予定です。もちろん、各学部も独自のキャリア関連科目を準備しています。
 同時に、たとえば受け入れ企業のメリットをより大きくするインターンシップ・プログラムなど、教育方法の研究開発も重要な目的となっています。

小島 「キャリア」の語源は「わだち、道」。どの企業に就職するかといった小さなことではなく、人の歩む人生そのものなんです。おそらくほとんどの学生が、生まれて初めて大きな選択を自分で行なうことを迫られるのが大学卒業の時。私たちのコオプ教育が、よりよい選択の手助けをしてあげられればと思います。

――ありがとうございました。

こじま たかこ(Kojima Takako)
富士短期大学経済学部卒。銀行、埼玉県庁を経て 2005年より立教大学コオプ・コーディネーターとして勤務。
現在、厚生労働省「若者の人間力を高める国民運動」実務委員。埼玉県「ニート対策評議委員会」「2007年問題委員」を務める。
主な著書『もう一度働く55歳からの就職読本』(筑摩書房、2006年) 『我が子をニートから救う本』(すばる舎、2005年)『子供を就職させる本』(メディアファクトリー、2004年) 『がんばる中高年実践就職塾』(メディアファクトリー、2003年)

ひきた やすゆき(Hikita Yasuyuki)
1973年 一橋大学 経済学部 卒業。 1981年 一橋大学 経済学研究科経済史専攻博士課程単位取得退学。
研究分野は日本経済史・日本経済の研究で、現在は、旧満州への日本企業の進出の共同研究に取り組み、またアジアにおけるグローバリゼーションの実態を多国籍企業のネットワーク 形成を軸に解明する研究に取り組んでいる。
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